ダンジョンバトルツアー〜魔族が建設したダンジョンを壊して回るのが課題です〜
もぐもぐはむ夫
第1話 クラスメイトが卵になった
「なんだよこれ……」
目の前の景色は、あまりにも異様だった。
その異様さに自分が今見ている景色が現実なのか? 非現実なのか?
そんな簡単なことすら判断がつかなくなっていた。
「卵……」
教室の扉の前で、すっかり腰が抜けて立てなくなっていたヨル子が、口元を手で覆いながら呟いた。
俺たちの目の前に広がるのは、何十個もの卵だった。
それも、人間の大きさほどの、巨大な卵だ。青白く、手術室を彷彿とさせるような不気味な色をしている。
巨大な卵が、俺たちの教室中に並んでいた。そしてなぜかどの卵も丁寧に椅子の上に乗っているのだ。その席にいつも座っていた人間の代わりに。
「こ、この卵の像、なんだよ……? クラスの奴らはどこに行ったんだ」
俺の問いかけに、ヨル子はためらった様子を見せたが、絞り出すような声で、到底信じ難い事実を告げたのだ。
「その卵は、クラスのみんな……」
「卵が、クラスの奴ら……?」
有り得ない事実のはずなのに、言われてみると、否定するよりも受け入れるしかない証拠の方が揃っている。
椅子の上に綺麗に並んだ、クラスの人数分ほどの卵。入れ替わるように消えたクラスの連中。
「!?」
ガシャンと大きな音が教室中に響き渡り、俺たちは動きを止めた。
「誰だ!?」
俺たちの居る方とは反対側の扉から、誰かが入ってくる音がした。
「お前、それって……」
その人物の顔よりも、その手に掲げているバットの方が、真っ先に俺の目に入った。今にもそいつは、そのバットを卵に振り落とそうとしていたからだ。
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