2024年12月15日 00:45 編集済
カイソウロクへの応援コメント
光の届かない海の底で、閉鎖的に語られる世界に、とても魅せられました。浅瀬や陸へと進んでいく半魚人の様子は、コロンブスがアメリカ大陸を見つけた時のようで、わからない地を開拓する楽しさがありました。まだ文明が発達していない、半魚人視点の価値観を描く文章もお見事です。 物語の構造上、最後まで語られないものが多く生まれる点が、カク甲でどう評価されるかを考えてしまいました。個人的にはリアリティがあって、そこもまた好きです。 テーマとしてはコンプレックスの話として解釈いたしました。自身の見た目を愛せない半魚人と、ニンゲンとの結婚に縛られる人魚ラデン。ふたりが出会い、向き合うことで、それぞれの悩みに気づく展開に、胸が鳴りました。ラデンがデートDVを受けていることの香る表現が、所々に散りばめられており「結婚しなくてはならない」という条件を、パートナーに利用されてるのだと、かなしく思いました。 寄り目気味の友達のお姉さんを攫ったのはニンゲンで、いまはハクブツカンに展示されているのですね。そのショックでお母さんが心の病を患ってしまったとなると、辻褄が合います。いつか妹(寄り目気味の友達)にも、ちゃんと話す機会があるといいですね。 傷ついた人魚を見た時に、主人公の心で膨れ上がる「不気味な気持ち」は、わかるような、わからないような。触れちゃいけない傷だから、触れて明らかにしたい。それはどこか「あなたを知りたい」という愛情の肌触りもするような、そんな気がいたしました。 最後、パートナーと上手くやれず「泡になって消えてしまう」と言い残したラデンが、再度姿を現して物語は終わります。正直に言えばここは余白が多く、解釈を読者に委ねるものであると思いました。 前述にナイフを借りるシーンがありましたので、ラデンはその後「結婚をしなさい」と他のニンゲンを脅しに行ったのではないかと、私は考えました。結婚届を出せば、どんな形でも泡にならないのであれば、ニンゲンを脅迫する形で結婚をしても、ラデンは人魚でいられるからです。「今の人魚の世界を変えられるかもしれない」 ラデンの言葉は、恋愛を経て結婚をするという今までの概念を変えるもので、脅迫でも話し合いでも「結婚をした」という事実を作ればいい、という画期的なものであったと解釈いましました。私だったら後期高齢者と結婚して、相手が亡くなり次第、永遠の海に戻ることを考えます。 解釈に委ねられた点が多かったため、コメントの文量も多くなってしまいました。お忙しいようでしたら、返信も結構です。素敵な作品をありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。お見事、などたくさんお褒めいただきすごく嬉しいです。秋冬遥夏さんもお忙しいと思いますが、そんな中拙作に多くの時間を割き素敵なコメントを二つもくださったこと、本当に感謝しております。秋冬遥夏さんの代表作はカク甲受賞も頷ける素敵な作品でした。こちらは実は締め切りぎりぎりの10日間くらいで急いで書いたものなので、中間で選ばれていたのは驚きました。色々粗が目立つかと思いますが、気に入っていただけたようで安心しました。リアリティを感じていただけたのも嬉しいです。胸が鳴ったとのお言葉、本当にありがとうございます。DVの話は正直書くか迷いました。伏線やテーマ、そして姉が博物館で母親が心の病気という流れも、わかりづらいかなと思っていましたが気づいていただけて嬉しいです。不気味な気持ちは私はわかるような気がします。意味不明な部分だったかもしれませんが、秋冬遥夏さんなりに捉えていただけて嬉しく思います。相手を知りたいとの解釈、とても素敵です。ラストは文字数的にも話のまとまりとしても必然的にこの形になりましたが、想像を膨らませていただけて嬉しいです。脅迫したのでは、という解釈はすごくおもしろいなと思いました。確かに新しい概念を作り上げたとなり、話としてもうまく繋がりますね。この場合後期高齢者と結婚するというのも納得です。私もそうすると思います。ちなみに、ラデンは人魚の母を殺したのではないか、と言われたこともあります。作者としては期限内に書き終えることで手一杯でしたが。読み手によって様々な解釈が生まれるお話を書いてみたいと思っていましたが、それは読んで考えてくださる方がいなければ成り立たないことです。やってみたかったことを実現させてくださりありがとうございます。私は読んだ作品が素敵だなと思っても色々考えてしまって応援コメントを書かないことが多いです。ですので小説に対し真摯に向き合い、気持ちのこもったコメントを書かれる秋冬遥夏さんの姿勢に感銘を受けました。下手ではありますがどれも頑張って書いたものなので、たくさん考えを巡らせたコメントをいただけて、今まで書いてきたことを肯定してもらえたようで感動しました。何度も読み返し、宝物にします。今回いただいたお言葉を支えにこれからも励んでいきます。丁寧なコメント、本当にありがとうございました!
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カイソウロクへの応援コメント
光の届かない海の底で、閉鎖的に語られる世界に、とても魅せられました。浅瀬や陸へと進んでいく半魚人の様子は、コロンブスがアメリカ大陸を見つけた時のようで、わからない地を開拓する楽しさがありました。まだ文明が発達していない、半魚人視点の価値観を描く文章もお見事です。
物語の構造上、最後まで語られないものが多く生まれる点が、カク甲でどう評価されるかを考えてしまいました。個人的にはリアリティがあって、そこもまた好きです。
テーマとしてはコンプレックスの話として解釈いたしました。自身の見た目を愛せない半魚人と、ニンゲンとの結婚に縛られる人魚ラデン。ふたりが出会い、向き合うことで、それぞれの悩みに気づく展開に、胸が鳴りました。ラデンがデートDVを受けていることの香る表現が、所々に散りばめられており「結婚しなくてはならない」という条件を、パートナーに利用されてるのだと、かなしく思いました。
寄り目気味の友達のお姉さんを攫ったのはニンゲンで、いまはハクブツカンに展示されているのですね。そのショックでお母さんが心の病を患ってしまったとなると、辻褄が合います。いつか妹(寄り目気味の友達)にも、ちゃんと話す機会があるといいですね。
傷ついた人魚を見た時に、主人公の心で膨れ上がる「不気味な気持ち」は、わかるような、わからないような。触れちゃいけない傷だから、触れて明らかにしたい。それはどこか「あなたを知りたい」という愛情の肌触りもするような、そんな気がいたしました。
最後、パートナーと上手くやれず「泡になって消えてしまう」と言い残したラデンが、再度姿を現して物語は終わります。正直に言えばここは余白が多く、解釈を読者に委ねるものであると思いました。
前述にナイフを借りるシーンがありましたので、ラデンはその後「結婚をしなさい」と他のニンゲンを脅しに行ったのではないかと、私は考えました。結婚届を出せば、どんな形でも泡にならないのであれば、ニンゲンを脅迫する形で結婚をしても、ラデンは人魚でいられるからです。
「今の人魚の世界を変えられるかもしれない」
ラデンの言葉は、恋愛を経て結婚をするという今までの概念を変えるもので、脅迫でも話し合いでも「結婚をした」という事実を作ればいい、という画期的なものであったと解釈いましました。私だったら後期高齢者と結婚して、相手が亡くなり次第、永遠の海に戻ることを考えます。
解釈に委ねられた点が多かったため、コメントの文量も多くなってしまいました。お忙しいようでしたら、返信も結構です。素敵な作品をありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。お見事、などたくさんお褒めいただきすごく嬉しいです。
秋冬遥夏さんもお忙しいと思いますが、そんな中拙作に多くの時間を割き素敵なコメントを二つもくださったこと、本当に感謝しております。
秋冬遥夏さんの代表作はカク甲受賞も頷ける素敵な作品でした。
こちらは実は締め切りぎりぎりの10日間くらいで急いで書いたものなので、中間で選ばれていたのは驚きました。色々粗が目立つかと思いますが、気に入っていただけたようで安心しました。
リアリティを感じていただけたのも嬉しいです。胸が鳴ったとのお言葉、本当にありがとうございます。
DVの話は正直書くか迷いました。
伏線やテーマ、そして姉が博物館で母親が心の病気という流れも、わかりづらいかなと思っていましたが気づいていただけて嬉しいです。
不気味な気持ちは私はわかるような気がします。意味不明な部分だったかもしれませんが、秋冬遥夏さんなりに捉えていただけて嬉しく思います。相手を知りたいとの解釈、とても素敵です。
ラストは文字数的にも話のまとまりとしても必然的にこの形になりましたが、想像を膨らませていただけて嬉しいです。
脅迫したのでは、という解釈はすごくおもしろいなと思いました。確かに新しい概念を作り上げたとなり、話としてもうまく繋がりますね。この場合後期高齢者と結婚するというのも納得です。私もそうすると思います。
ちなみに、ラデンは人魚の母を殺したのではないか、と言われたこともあります。
作者としては期限内に書き終えることで手一杯でしたが。
読み手によって様々な解釈が生まれるお話を書いてみたいと思っていましたが、それは読んで考えてくださる方がいなければ成り立たないことです。やってみたかったことを実現させてくださりありがとうございます。
私は読んだ作品が素敵だなと思っても色々考えてしまって応援コメントを書かないことが多いです。ですので小説に対し真摯に向き合い、気持ちのこもったコメントを書かれる秋冬遥夏さんの姿勢に感銘を受けました。
下手ではありますがどれも頑張って書いたものなので、たくさん考えを巡らせたコメントをいただけて、今まで書いてきたことを肯定してもらえたようで感動しました。何度も読み返し、宝物にします。今回いただいたお言葉を支えにこれからも励んでいきます。
丁寧なコメント、本当にありがとうございました!