8月31日の夜明け

月渚

第1話

8月31日。

なんとも悪辣な響きではないか。

たかが一日。たかが24時間。たかが1440分。たかが86400秒。

この「たかが一日」にいったいどれほどの学生が苦しめられ、絶望してきたことだろう。よく考えてみたまえ。一年間は365日もある。

しかし、これほど忌み嫌われている日はあるだろうか。

これほど恨まれている日はあるだろうか。無い…と断言したいが、素敵な聖夜に浮かれた人々を静かに凪いでいる目で見つめる日があるのも確か、だが…


おっと、話が脱線してしまった。


吾輩はこれほどまでに悪逆非道なやつはいないと思うのである。

我が国お得意の「擬人化」とやらを、365体、「日」に創ったとしてみよう。

それはきっと物語の悪役、いやゲームのラスボスやら魔王のように…

あぁ古典的に風流な言葉にしてしまうならば「第六天魔王」にもなるやもしれぬな。

なんとも禍々しいキャラクターが創られるのか楽しみでもあるが、いかに素晴らしいビジュアルのグッズが、お手頃な価格で発売されようと…買うわけにはいかない。


ここで固い決意をもって宣言しよう。

邪悪で忌むべき「8月31日」なんてものの要素を持つ輩を、吾輩のテリトリーに入れるわけにはいかないのだ。たとえファンのイラストレーターさんが担当しようとも、顔が、顔がよかろうとも許してはならぬのだ。


おや、また脱線しているのではないかって?ひっそり囁いていても聞こえているとも。いつになったら本題に入るのか、なんて吾輩に聞くもんじゃない。

これは重要な伏線なのだよ、たぶん。きっとそうなのだ。


そうだな、いつまでもいじいじ、ジメジメとしていてもしょうがない。

これ以上自体が深刻になっては、乾燥機の援軍を求めても無意味になってしまう。


さあ、愚痴もほどほどに


ここからは吾輩が経験したなんとも恐ろしく、思い返す度に震えてしまう終末の夏休みについて語ろうではないか。








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