白い花

羽咲

プロローグ

 大人たちはお酒を飲んでいる。

 談笑する声が聞こえてくる。


長いロウソクの火が揺れた。


振り返ると、老人がいた。


「お嬢さんこんばんは」


「この地域では秋に雪が降るんですね」


「ええ。雪は花びらの化身と言われていてね。生き抜こうという契りの意義があると言われています」


「ロマンチックですね」


「このこの村の白い花びらの伝説があります。興味はありますか?」


「とても。興味があります」

 

老人は瞳を輝かせながら、ぽつり、語り始める。


「昔々。海へ続く大きな川の近くに青年を恋い慕う一途な娘がいた」


……

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