十六夜

桜吹雪

落花-雪花

 女は言った「別れよう」と

 なにも不思議なことではない

 何の変哲もな

 男は言った「嫌だ、別れたくない結婚しよう」と

 女は呆れたようにこう言い放った

「無様にも程があるだろ、何度言わせれば気が済む別れろよ」

 これは何度目かの別れ話で男は女の気分屋に負けんと

「嫌だね、絶対、だって僕は君の事が好きだから」と

 女は少し悲しそうな顔をしながら、

「君は綺麗で、優しい子だだから傷付けたくないし

 …私は天邪鬼なんだ」

 男は叫んだ

「おい、いい加減にしろよ、傷付いてるのはそっちだろ何で僕に言わないんだ」

 女は澄まし顔になりこう言った

「君の見てたものは全て幻だ、もう諦めろよ」

「僕は好きだよ」

 と、男の声が重なった

 どちからが折れれば良いものの、この話は何日も繰り返された

 女は✕✕✕✕✕、よく他の男と話していた

 その時に危ない橋を呼吸する暇もなく歩き回り、四肢から汚れていった

 目の前が真っ暗になり見えず、聴こえなくなった

 ふと、した時女の目の前に見慣れない者がいた

 それは男か女かも分からんが確かなことは拭いきれない血の香り

 とても美味しそうで、残酷で、可哀想で、惨め、可愛い

 そんな子は私に向かって鎖を巻き付けた

 棘のついた簡単には外れない代物だ

 そして、えらく痛かった

 蝶は舞い花は彼岸と雪花が入り交じり銃口が頭に触れる

 この地に地獄があって消滅したとしても

 私は空っぽの器であり続けると幼少ながら理解した

 それも愛した光が、救ってくれると

 信じ待ったいても結果を残るのは残像に等しい思い出の

 だから女は今日も言う「別れよう(✕✕✕✕)」と

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