アイラブユー
わたあめ
第1話 ラブユー
「お父様!? 何故ですか!? 私はこんな仕打ちをされる覚えはありませんわよ!? どうして捕縛されないとダメなんですか!! 」
この日、一人の王族の姫が犯した罪にて王が直々に裁判を行った。
「民よ。 兵士よ。 我の下僕達よ。 ただいまより我が娘 ハレンの課すべき罪を唱える裁判を始める」
国王の一言と共に 街全体に2つの映像が浮かび上がり、そこには王と姫の顔がしっかりと映し出され、皆の視線をそこに集める。
その後の裁判は流れるように進み、王の目の前で変わりゆく姫の顔は大衆の注目を更に集めた。
「さぁ...判決の時間だ。 我が娘、否、罪人国賊ハレン!!!! 貴様を永久に国外に追放すると共に、強制転移の刑に処す!!!! 攻めてもの情けだ。 親として貴様に家庭用ナイフと皮の手袋だけをさずけよう。 それを持って、何処か遠い場所で勝手に生きておれ」
姫の拘束が解かれ、彼女の身体に魔法による束縛が起き、足元から魔法陣が展開され、彼女は眩い光に包まれていく。
「あっはははぁ!! 父上!? この私を夜に解き放つ愚行……得と後悔してくださいまし。 私は何が何でも性格を変える気も 生き方を変える気もございませんので」
そのまま彼女は消え去った。
___________________________
「ん、んー。 今日も学校疲れたなぁ」
太陽が沈み始める午後3時頃、 僕はいつもの様にベッドに寝転んで、ゲームをしていた。
「ゆうた〜!! 宿題したの」
そんな母の声が響き渡る部屋で、僕はしたーと答えると、母は満足そうに、もうすぐご飯だよとだけ伝えて、リビングへと戻って行った。
「まったくー。 僕が宿題しない子に見えるのかなぁ。ママは。 本当に困っちゃうよ。 ふんっ」
そう小声で言いながら後ろを振り向いた時、ドレスを着た可愛い女の子が僕の目の前で立っていた。
「こんにちは。 僕。 ここは何処か分かるかな。 あ、それと、宿題をやってるのかって親が聞いてくるのは嫌だよね〜 わかるよ。 そんな一々聞いてくる親って邪魔に思わないかな」
目の前にいる彼女は、僕にそうやって話しかけてくるが、僕は、そんな人に警戒をしていた。
どうしてか...もう一言に尽きる。
「君、どうしてそんなに笑っているの...ねぇ、怖いよ」
そう、彼女はずっと笑顔なんだ...でも、普通の笑顔じゃない、顔が少し赤く、頬に両手を当て ふひふひと軽く笑うのを繰り返す……そんな感じた事の無い感情が押し寄せる。
「無視してんじゃねえ」
笑っていたと思ったら 今度は彼女が目の前から消えたと思うと、次の瞬間腹部に強烈な痛みが走り、何かと思ったら僕のお腹に包丁が突き刺さっていた。
「ぐっ、、、っあ」
余りにも重く、冷たく、そして痒く感じるこの痛みの中、僕は叫ぼうとしたが、痛さのせいで声が出ず、絞り出そうとした声も更に突き刺されたソレの方が上回り、おぁっという声と一緒に口から血液が零れ始めた。
「聞いてんだよ...。 ここは何処かって。 何?私の命令を無視する気? いい気になってんなよ。おい。 何故無視するのかなぁ!! いや、無視するってより、構って欲しいのかな〜 ねぇ。 僕〜? 話聞いてるの? 返事は? ハイだよね〜……ふひ、ふひひ、あぁ、素敵な血液さんだ事。 こんな出来損ないから出るなんて不相応ねぇ」
彼女は目を細め、何度も腹や口から溢れ出る血液を見ては顔を赤めて 可愛い……可愛いと、何度も言いながらも、急にキレたり褒めたり、意味のわからない感情を僕にぶつけてきた。
そして、意識が遠のき始めた中……急に痛みが引き……何かと思うと、彼女の手が緑色に光だし。
僕の傷を癒してきた。
「簡単には死なせて上げないわよ……だって、転移先で初めて会う人だもの。 見た感じ年齢も似たぐらいだし。 私が「最期まで」愛してあげる」
そこで、母親が入ってくると、彼女は今までの顔が嘘かのように、1人の元気な女の子の顔をして母に近づいた。
「あら! 可愛らしいお洋服。 ゆうたのお友達かしら」
「こんにちは、お母様。 私、ゆうたの『彼女』のハレンと申します。 父は外人 母はこの国で生まれた人で、私はそのハーフでございます。 口調に関しましては、父が厳しい人でして、こちらが話しやすいのでこのままでお願い致します。」
彼女は、スカートを手に持ち、お辞儀をすると母はそれを見て 可愛い!!と言ったあと。
「じゃあ、ゆうたのこと宜しくね」
そうして僕は、我に返り、辺りを見渡すと先程まで散ったであろう血液も包丁も一切なく、彼女のお辞儀姿だけが残っていた。
「はい、私は彼の「ラブユー」が欲しいので、誰にも渡しませんよ」
こうして、僕と彼女の恐怖の日々が始まる
アイラブユー わたあめ @shi-chan8250
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