悪役令嬢ゲームに転生してヤリ〇ン目指してたらヤンデレに囲まれた
みねし
第1話 悪役令嬢ゲームに転生した
「うっ………」
激しい頭痛により意識が強制覚醒する。
「いって………」
頭だけではない。身体中が滅多打ちにでもされたみたいに痛い。
いつもベットで寝てるから寝入りの問題ではないはずだ。
原因がわかんなくて戸惑ってしまう。
「って、どこだ。ここは?」
痛みを訴える身体と裏腹に冴え切った意識のせいか勝手に瞼が開いた。
網膜に降り注ぐ情報に戸惑いの声があがってしまう。
見渡すかぎりがらんどうの木造の室内。
お馴染みのベットも最近新調してはしゃいだ記憶のあるゲーミングパソコンもない。
スマホなんて当然持ち合わせていない。
「ってことは裸の可能性も………!」
見ず知らずの部屋で裸になるのはどう考えても逮捕される未来しか見えない。
そんな恐怖が一瞬よぎったものの服はちゃんと着てるみたいだ。
今きょろきょろして衣擦れ音が響いたし、視界の端にちらちらとオレの服がしっかり映ってる。
「よかった。とりあえずここから出るか………どこかわかんないし」
身体を起こし、ひとまず光が集中しているところへ向かう。
「転生したのか………マジか」
外に出て最初に聞こえたのは我ながら頭のいかれた己の呆れたセリフだった。
「あり得ないだろ………」
見渡す限り中世のような街並みと活気あふれる人たちの声。
商売の宣伝のため声を張り上げるもの、でっかい剣を腰にぶら下げているもの、その隣にいる魔法使いらしき長い杖を抱えているものなど。
それらを一望できるところについさっきまでオレが寝ていた家がひっそり立っている。
この景観、間違いない。
つい最近、そこそこに楽しめた悪役令嬢ゲームの世界だ。
ごくっと固つばが喉を通る。
「よりによって乙女ゲームの世界に転生するか———」
異世界転生物の主人公とかけ離れた、落胆しきった声が出てしまう。
だってそうだろ?
異世界転生って言えばまずは女神を経由するかしないかだ。
次は男に夢あふれる世界に転生してハーレム築くか、ファンタジー系で成り上がりするかがセオリーだろう。
しかしオレこと
「ああ神よ。どうしてオレにこんな試練を」
悲劇のヒロインみたいに両手を合わせてまま跪いて空に向かって大げさに呟く。
いつも愛用してる激短い短パンに鎖骨がチラッと見える半袖のTシャツ姿だった。
最後に着ていた服装まんまで転生したのか。
つまりは容姿も変わってないんだろう。
やや小さめの身長に女っ顔の上、女っぽい短髪がデフォの姿。
昔からそれがコンプレックスで人一倍男っぽい物に憧れていた。
一人称も可愛い系の外見に似つかわしくないオレって強調する感じで発するようになり、ハーレム物やファンタジー物にドハマりしたのは自然の摂理。
そんなオタクになったオレだ。当然異世界転生する妄想なんか死ぬほどやったし、ハーレム築くのが密かな夢でもある。
そんなオレに乙女ゲームの世界に転生なんてあまりにも酷な仕打ちと思わないか?
「神なんかあったらマジで一発ぶん殴ってやりたい………!」
祈りの姿勢は崩さないまま不敬すぎるワードで毒つく。
「はあ………とりあえず、街に出てみるか」
ファンタジー系の異世界だ。もしかするとオレの憶測の可能性もまだある。
てかあってくれ。
「実は男性向けゲームだった!?」って淡い期待を胸に、ひとまず町へ行ってみることに。
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