未亡人
伍代 太郎丸
未亡人
昨年祖母が亡くなった際に高校生の私が書いたエッセイです。
未亡人というのは本来夫を失った妻のことを指す。しかし、彼は存外この言葉に当てはまっていたのだ。
生との関わりを祖母に委ねていた彼だが、祖母の最期で彼の顔に涙はない。
ただ、祖母の額に別れの口づけをした。
彼は虚勢を張った。
彼は不合理を装った。
告別式の後、祖母を荼毘に付す際、彼は喪主として、夫として、最愛の男として先頭に立つ。
最期の別れである。半身が火葬炉に引き込まれた。
彼は「また、会おうな。」と、涙ながらに震えた発声をし、冷たい地面へと崩れ落ちた。
人間は形ある大切な何かが失われたときに最大の悲しみを感じるらしい。
人間は「ある」ものが「無」に代わるときに絶望感を味わう。
どちらにせよ、信念や愛情は頑固な虚勢の殻を打ち破る。
彼のように。
未亡人 伍代 太郎丸 @iwaiwa1708
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