奥歯をかみなさい

太刀山いめ

第1話奥歯をかみなさい

 最近色々な事が有りました。辛いこと、嬉しいこと、出会い、別れ…


 様々な事が有りました。長年寄り添って来たと思った相手との別離等は私の心に深い傷を残しました。


「貴方他人ですよね?」 

 相手の親から浴びせられた言葉は忘れられません。私はお歳暮も欠かした事が無かったので、相手も何かしら「理解」してくれていると思っていたので。

 ですが相手は貰えるものは不幸以外は何でも貰う「ダボハゼ」でしたね。

 あー嫌だ嫌だ。そんな人間達を「仮の親」としてお歳暮を贈っていたなんて。


 ですが私もカッとなって言い返したんですよね。通話で。まあ此方の言い分を聞く前に「格子付きの病院に入れ!」と罵倒されて切られて仕舞いましたが。


 これまたほぞを噛む思いでしたわよ。


 そんな時は「涙活」です。泣くというのは女々しい事と言われたのは昔。ジョジョのエシディシだって「あんまりだぁ!」と泣いたら強くなりましたもんね。泣くのはストレス発散に良い。


 手元には丁度取り寄せたヴァイオレット・エヴァーガーデンが有りました。制作は京アニ。


 美麗な映像もさることながら一話一話が感情を揺さぶる揺さぶる。

 気が付くと涙がボロボロと。まあ「スッキリした」とは簡単にはいきませんが兎に角良かった。


 そうして落ち着いたら当人同士の「別れ話」になりました。


 相手は「酷い人間に捕まったと思って振って欲しい」と申します。

 私は相手を憎んではいなかった。だが都合が悪くなるとすぐに逃げる所は気に食わなかった。


 『私は奥歯を噛んだ』

 憎らしい事を封印したのだ。相手の親と激突したからには最早良好な関係とはいられない。

「お互いに嫌い合っての事ではないから…」

 そう言って強がりを言いました。『奥歯を噛みながら』


 なんて、何処にでもある別れ話ですよね。

 世界で私だけが別れた訳では無い。毎日何十組も別れているんだ。

 こればかりはどうにもならん。


 これは実体験なので山無し落ち無し意味無しだよ。


 だが言いたい。相手の親よ。「赤の他人」から貰った熨斗付きあんぽ柿は美味かったか?

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