はみ出し者の私たち
葉名月 乃夜
プロローグ
『──ありがとうございました。では続いて、同じく生徒会長立候補の
「はい」
機械を通して拡散された声に、私は返事をして立ち上がる。元々見晴らしが良かったステージの上は、立つと全校生徒の表情が鮮明に見渡せた。
全校生徒に注目されている中で、緊張しないわけがない。心臓は今にも飛び出してきそうなほど激しい鼓動を繰り返しているし、手は冷や汗でベッタベタだ。
でも、臆することはない。
小さなマイクスタンドが立つ教壇の前まで足を運び、そこから見える景色を一望する。体育館は、所狭しと人で埋め尽くされていた。生徒はもちろん、ほとんどの先生もいる。全員の顔を見るのは流石に無理がある。だが、誰がどのようなことを考えているのか。それは、手に取るように分かった。とりわけ、私の頭髪を見てお喋りをしている人たちは。
すうっと息を吸って、それからマイクに話しかける。
「皆さんこんにちは。この度、生徒会長に立候補しました、2年の山本
大切なところで、喉が詰まる。続きを話さない私に、体育館内が小さくざわめく。頭が真っ白になりかけたが、自分の胸に「大丈夫」と言い聞かせ、深呼吸を一回、行った。
「私の目標は、この学校を、誰もが生きやすい場所にすることです」
届け。この想い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます