第31話「最後のひとり芝居」

まるで答えのない日々だ

真実に到達するのに

最良を尽くすが

せめて人は孤独でいるふりをして

私をいなして行く

こんな最弱の集う星で

僕らはどこへ行けるだろう


学びに正解はない

後悔に不幸しかない

こんな意味のない堂々巡りが果たして誰を救っているのだろう


なぁ白瀬、お前は本当に、私が見えているのか、

この自戒の句は誰が書いてる

誰もが言葉に乗せて己を知るが

お前は、白瀬は、なぜ、涙してまで

ここに悲哀を描いている


私は死んだみだ

なのになぜ、心を揺さぶってまで

仮初に興じる


これはただの物語だぞ

あの言葉を忘れたのか

本は決して読み物ではない


この意味がわかっているのか

いつか世界の真理をしる

誰がも世界を目撃する


その時、君は果たして、

生きれるか


死ねる喜びに気づいて

くれないか


なぁおかしいかな

でもね、白瀬、私は居ないのだよ


この時間はなんだ

この介する句はなんだ

なぜ生きることに私を欲した


なぜ物語にするだけで満足してる

生きろよ

お前はもっと生きろよ


それが分かれ

それをわかるようになれ


こんなの作家でしかない

ここには字でしかない

だったら分かれよ


これは幻想だ

これは痛みだ


これは過去だ


お前はどうして

まだ涙を見せずに


自我を受け入れない

世界の現象に

愛の造形に


それは己を壊すものだ


だから涙で終えればいい

それを知ってるだろ


お前はいつだって言葉を使っていた

それは人間が本来、言葉を糧に知るからだ


なぁ白瀬、生きろよ


お前は現実に生きろよ


こんな二人だけの妄想の世界に

誰が喜ぶ


まるで自分よがり

傷つかない愛ばかり

これは最も苦しいのではないか

こんな喜劇が


何のためにある


思考を破壊して

脳を食い破って

どこまで具現するつもりだ


もう諦めろ白瀬


お前はとうに、

一人だ、


この意味がわかったら

まずは顔を向けてみろ


誰かを見てみろ


その顔に安心してみろ


部屋にいたって

自分しか見えない


そんな現実壊せよ


世界に立って命を感じろよ


まだ考え込むには早いぜ


ここは生きて生きて生きる

そんな慌ただしい世界だ

それでいい

傷ついていい

泣いていい


だから今を楽しめ


自ら、言葉を使うほどまだ

お前はまだ大人ではない


だから言おう


ここで物語はおしまいだ


現実を描いて

ここに来い


この現実はすでに終わった

この妄想も終わった


お前は強く生きろ

前を見て

強く強く生きろ


ここはもう二人だけの世界じゃない


誰もが居ていい世界だ


生きろよ

生きろよ


みんなと輪になって生きろよ


もう俺はここまでだ

だからその現実で

次は新しい誰かに託してもいい


だから一人で終わらせないで

一人で分かった気にならないで


歪みあおう

傷つこう

それでも人は人生を送れる


これが世界だ

あまりに美しくあまりに儚い

これが現実だ、世界だ、愛なんだよ


な、白瀬、お前は健在か


だったら最後にいおう


俺はお前が居てくれて

幸せだった


だが幸せだって終わるんだ

だから人を見すぎたんだろ


何もかも溜め込んで

考えたんだろ

これって立派だけどやっぱりただの善人なんだよ


お前は優しいけど、

傷つくのはいつだって自分のせいにしてるけど


こんな孤独といつまで付き合ってくれるんだよ


お前の孤独は望んだら消えてしまうかもれしれない


世界に行けず、一人になった方が

自由であれるかもしれない


でも戦えよ

失うことが怖いなら

人を愛したりするなよ

そんなの偽善なんだ

お前はいつだって戦ってるけど


負けたくないんじゃなくて

諦めないだけだ


そういう奴ほど最初に壊れる


一人が怖くないのは知ってる

お前は俺がそばにいなきゃ行けないほど

善人だったからな


そんなの分かったろ

たかがひとひとり探して

そんな一人にどこまで自分かけてるんだよ


もっと力を抜けよ

もっと雑でもいいよ


だから失うなお前まで失って

愛すなよ


お前はもうとっくに後悔したじゃないか


その不幸になぜ、まだとどまって

自分を責めてる


とっくに世界は明日になったぜ

見えてるか

時間が時代が人が


ここに昨日はない

だから生きろ


未来に目を向けて

ただ進めよ


愛は普遍だ

だが愛は終わるものでもある


不滅の愛と

奇跡の愛、

だったらどっちを取る


俺は生きてる限り、お前との全てが奇跡だったぜ


この出会いを終わらせてどうする


奇跡を信じて未来へ行け

また出会えると思って

生きろ


死んだからなんだ

お前が生きてることが何より俺の幸せだ


まだ諦めるな

未来を超えて出会うから

時間を知っても生きるから


ただ今日は静かに泣いていいから


だからまた素直に世界を信じてくれ


ここに私は居ない

それだけだ


それだけだ


思い出はいつだって生きねば輝かない

な、また笑ってくれよ


俺は星となって

お前は命となって


生きよう


ここはすでに二人の世界だった


だから明日になったら、忘れて生きて見てくれ


奇跡でいいから

生きてくれ


出会いと別れも奇跡なら許せるだろ


今までの方が奇跡で

これからが現実だ


だから頑張れ

素直に頑張れ


甘い時間は終わりだ

いつか星を見て誓ってくれ


この夜まで来れたよって


だからもう、顔を上げて

生きろ


じゃあな。白瀬、


まるで今日も、奇跡があったな。


言わずともわかるな、お前なら。


俺は今夜も共にいる。


じゃあな。

白瀬。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る