レレーフォルの雨上がり

ふみ太

プロローグ

「おはようの孤島」

 いくつもの緑の大山に包まれているこの島は、周辺に他の陸地が一切見えない、完全なる、――孤島。



 ―― 2015年 5月24日 ――



 目を覚ますと、僕は見知らぬ砂浜にいた。

 青空から降り注ぐ太陽の日差しが地を照らす。

 寝ぼけ眼をこすりながら半身を起こすと、その際軽い頭痛に襲われた。


「――っててて……」


 すぐに治まったので辺りを見渡す。

 けれど僕の見える限り誰一人としていなければ、人工物すら見当たらない。

 正面には海、背面には山が広がるだけ。


「……どこだ、ここ」


 遥か遠くにある水平線を見つめながら、波打ち際まで寄せては返す波の音を聞きながら、僕は少しの時間で精一杯思考を巡らせる。

 それでも全くもって、答えに辿り着くことはできなかった。


「なあ、ここどこか知ってる?」


 傍らで砂浜を漁っている一羽の小鳥に尋ねてみる。

 けれども案の定、返事を貰えるはずもなく、小鳥はピヨピヨとどこかに羽ばたいていった。

 こんな状況だと、何だか小鳥にも見捨てられた気がしてしまう。


「はあ……」


 大きなため息を吐きながら立ち上がる。

 仕方無しに島の方を向く。


「……入ってみるか……。誰かいるかもしれないし……」


 このままここにいても埒が開かない。

 そう結論付いた僕は、すぐ近くにある山へと向かった。

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