世界最強の悪役子息と悪役令嬢〜悪役子息と悪役令嬢の前世は勇者と魔王です〜

量産型勇者

第1話 勇者と魔王は幼馴染です

ーーー俺には幼馴染がいる。

平民としては珍しい金髪で、りんごの様に赤くとおっている赤目。

性格はちょっととがっていておかしいところもあるが、健気で守ってあげたくなるような幼馴染だ。

お互いに産まれた村は同じ幼馴染。


育つ環境も同じーーーーーとはならなかった。


なぜなら俺はスキル覚醒の際に勇者のスキルをさずかった。

魔族との生存をけた戦争中だった人類は俺をすぐさま人類国首都に呼び出して、勇者としての教育、訓練を受けた。


では肝心の幼馴染はどうなったか、それはーーーーーー




「‥‥着いたぞ、大広間」


息を切らしながら重々しい巨大な扉を開けると、明るめの照明で照らされた広間につながった。

辺りには数多の魔剣が突き刺さっていて、その中央の1人の女の子が座っていた。


「ーーー本当に全部の防衛線を突破したのね」


そこには、幼少期と変わらない金髪で赤目の‥‥俺の幼馴染であるノアがいた。


感動の再会ーーーーと言いたいが、勇者のスキル「勇者特攻」で自分の意思をつぶす様に殺意、憎悪が湧いてくる。

向こうも同じ様に冷酷な視線と共に強い殺意を浴びせてくる。

同じ様なスキルがあるのか‥‥‥‥本心からかはわからない。


「まさか、休戦終了と同時に精鋭兵で特攻してくるなんて思わなかったわ」


「それはお互いに決めた契約をうまく利用した結果だ‥‥勇者と魔王、どちらでも死んだら停戦するという契約ーーーー忘れてないだろう?」


「えぇ‥‥今まで一度たりとも忘れたことはなかったわ」


俺に勇者のスキルが覚醒すると共に、向こうも魔王のスキルが覚醒した。

そして魔王を保護しようとした魔族側と、俺を首都に連れて行こうとした人類側が会った際に交わした三つの契約。


一つ、お互い勇者と魔王を育てるために10年間は休戦すること。

二つ、勇者と魔王をお互いの代表としどちらかが死んだ際、終戦すること。

三つ、二つ目以外で2種族が終戦することはない。


つまり勇者と魔王どちらかが死なないとこの戦争は終わらないのだ。

例え、その魔王が自分の幼馴染だったとしても。

それがどんなに想い人であろうと、この100年にも及ぶ戦争は終わらない。


「っっ‥‥」


震える手を抑えるため、勇者特攻を抑えていたスキルを外す。



ーーー勇者特攻発動完了。攻撃力500%上昇。速力400%上昇。魔術無効化発動。



聖女によると、女神の声と言われている無機質な声が聞こえる。

魔術無効化。つまり魔族の主な攻撃手段が効かなくなる。

それは俺は以降、魔剣での攻撃のみ通用するということを意味する。おそらく

向こうも同じなのだろう。


「ーーー聖剣召喚」


「ーーーーーーーー魔剣召喚」


俺より少し遅れて魔王は魔剣を召喚した。


勇者が持つのは女神に祝福された聖剣。

魔王が持つのは邪神に祝福された魔剣。


真逆の存在と示すかのような色合い、覇気。

そしてどちらもお互いを倒すために存在している。

どちらも正義をかたどっている。

再現さいげんしている。


今度は魔王が先に動いた。


「っ!」


速い、目で追えなかったがわずかに感じる殺意で位置が把握できた。

ギリギリの位置で受け止めると魔王はニヤリと笑った。


「ーーーーさすが、勇者」


不適な笑みを浮かべながら顔を近づけて、話しかけてくる魔王。


「っっ、話している余裕があるってか!」


剣を振ると魔王は受け止めたが、後ろに吹っ飛ぶ。


(ーーーなるほど、速さは魔王が勝っているが力はこちらが勝っている様だな)


「ーー主よ、彼の過ちをゆるし清めどうか救い」


「干渉!!」


魔王が上位魔術を唱えるが、魔力を加えることによる妨害で詠唱を阻止した。


ーーーだが今のはおそらく囮、本命の魔術発動のための時間稼ぎか


「ーー火よ氷よ、主の元につどえ{氷の盤上}」


干渉による魔力介入の前に詠唱が終わってしまったため、魔術が発動した。


瞬時に辺り一面が氷と炎につ包まれる。



(魔法で塗り替えるか?いや、魔王城にいる時点で魔法対策はされているはず)



そう考える暇も与えてくれないのか、多方面から魔剣が飛んでくる


「ーーこんなので倒せると思っているのか?!」


そう聞くが返事は返ってこない。

もはや未練があるのは俺だけか。


「っっ、前か!」


炎に人影が映ったのですぐさま斬るが、そのまま炎ごと消えた。


(後ろか)


すぐさま振り向くと、予想通り魔王がいたので首に向け剣を振った。


剣が魔王の首に届くまで、コンマ1秒ーーーーーそれと同時に俺とノアは10年ぶりに目線が重なる。


「なっ?!」


思わず剣を握る手が弱くなり、気づくと離していた


「しまっーー」


刹那、俺は


「‥‥‥っ隙あり」


「ぐっっ」


魔剣により心臓付近を貫かれていた。


貫かれたーーーそう思うと同時に全身が燃えるような苦痛を感じ、その場に膝をついてしまう。


「がぁあ!!」


自動的に勇者のスキルと聖女からの加護が発動し、回復と再生が始まるがそれ以上に魔剣が刺さったところからの侵食が速い。


「い゛息がっ!」


なんだこれ、魔剣に刺されるとこんなに痛いのか。


やっとの思いで俺を刺したであろう、ノアを見上げると無表情で何かをーーーつぶやいた


ーーーー刺して、と


「!」


確かにそう聞こえた。小声で。


「あぁっっ!!」


震える手をなんとか動かして聖剣を召喚し直して弱々しく、鈍い攻撃をしたが

魔王は何も抵抗しないで、俺に心臓を貫かれる


それと同時に俺の魔力も尽きたため、その場に倒れてしまった



ーーーーー今の会話で最後か



「聖女の加護を解除」


そう呟くと、一層痛みが増した。これでいい、俺以外こんな痛みを受けよう必要はない。


(ーーー俺、死ぬのか‥‥ノアと一緒に)


どちらか死ぬのは確定事項、だがこうなって欲しいと心のどこかで願っていた。

実際、俺が勝っていたら同じことをしただろう。

どちらかが生きていたらまた、戦争が始まるかも知れないーーーーーーーーーいや、それは建前か



本音は‥‥ノアを一人にさせたくなかった。

こんな痛み、ノアに請負うけおいさせたくなかった。だから俺も一緒に死ぬ、死のうと


あの村で引き裂かれた時からずっと思っていた。



女神に聞きたい‥‥‥‥悪に恋してはいけないのか。


邪神に聞きたい‥‥‥‥どうしてノアを魔王にしたのか。


世界に聞きたい‥‥‥‥なぜこんな戦争するのか。


ノアに、君に聞きたい‥‥‥‥‥‥‥‥君は

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2024年9月21日 18:00
2024年9月22日 18:00

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