悪いのは胸糞であって俺ではない
@torati0923
第1話 悪いのは自分
最後の授業のチャイムが鳴った。
クラスのみんなが「おわったー」と一息つき
俗に言う1軍と言われるメンバーたちは机に座りながらこの後の話をし始める。
俺は陰キャでもなければ陽キャでもない。
自分でも言うのも恥ずかしいが、周りからは「あいつはほんと良い奴だよな。」
とか「和也君は可愛い系だよね」とか言われている。
そんな普通の生徒であり、平凡な日々を送っている。
帰りのショートホームが終わり、1軍は彼女や女子生徒と一緒にだべっていたり
一緒に帰ったりなど羨ましい青春を送る。
実は俺にも好きな子がいる。
誰にも言ったことが無ければ、周りからすれば俺が恋愛なんて無縁と思っていると思う。
だが、好きな子がいる。
そう、あれは高校に入学してすぐのことだった。
クラスに同じ学校から入学した生徒が居なくてうまく馴染めずにいた時のことだった。
いつも通りに授業が終わり、そそくさに帰ろうとした時、彼女に
「ねえ、和也君も一緒に運動会の準備を手伝ってくれない??」
と声をかけられた。
俺は断ろうか悩んだが、顔がめっちゃタイプだったっていう理由で
「もちろんいいですよ!何をすればいいですか?」
と少しきょどった感じで答えた。
俺らの高校は5月に運動会があって、入学してから1か月後にすぐあるわけだ。
もちろんこの1カ月でクラスに馴染めない奴はこの先の3年間も半分非リア充で終わる可能性が高くなるわけだ。
そして俺も馴染めず半分終わりかけていた一人だった。
そんな時に声をかけてくれた彼女が俺にとっては救世主であり、憧れであり好きな人になっていったわけだ。
手伝いをしていく中で、重いものがあれば率先となって運んだり、汚れ作業も何もかも率先となってこなした。すると男女共に
「お前めっちゃいい奴だな!!」
なんて言われるようになってクラスに溶け込むようになった。
そして運動会の準備が一段落して俺は1軍のメンバーと一緒に帰っていた。
正直ノリが合わなかったが1軍と一緒に帰っているというのが最高に気持ちよかった。途中でカラオケの誘いがあったが俺はバイトがあると言って駅に向かった。
駅に着いてホームに座っていると後ろから
「おっつ~、今日はありがとね!!」と声がしたので振り向くと
好きな子がいた。
ちなみに好きな子は花音っていう名前だ。ちなみにはなねって読む。
花音にまた声をかけられることが嬉しすぎて
「ぜーんぜんおっけー!」
って言いながら親指を立てたりした。
「はい、これ」
と花音からスポドリをもらった。
その日から俺はそのスポドリ以外はあまり飲んでいない。
それから俺は花音が好きになった。
そして今も花音が好きだ。
今は自分から話しかけにいくことはないが、ちょいちょい話しかけてくる。
花音は1軍メンバーで先生からの信頼も厚い。
成績も優秀で運動もできる。
性格も明るく、誰にでも優しい。
そんな人が俺に話しかけてくるのは自然のことであり、好意があるからではない。
それでも花音と付き合いたい。と本気で思っている。
その為には1軍にならないといけないだろう。
今のままじゃとても釣り合わない。
色々考えたら自分を嫌になってきた。
悪いのは積極的に話しかけたり、明るく接したりクラスの中心になろうとしない自分ではないか。平凡で面白みがない自分が悪いんだ。と思った。
色々考えていると、ふと思った。
「あの時、声をかけてきた花音が悪いんだ。」
こう思ったとき俺の学校生活は激変していくのであった。
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