帝国の栄光と終焉
K.N
グロリア帝国建国期
プロローグ
~現在~
「君達、ちょっとこっちにおいで」
年老いた男が子供達に声を掛ける。
「おじさん、誰なの??」
「今から、面白い話を聞かせてあげるから」
「なに?なに?」
大勢の子供が自分の近くに詰め寄ってきた。
今から自分の話すことに、目を輝かせ興味津々で聞こうとしている。
「これから話すことは『かつて存在した一つの国』の生涯の話になる」
「どういうこと?」
子供達は混乱している。無理もない、もう存在しない国の話だから…
「その国は短命だったが、世界の覇者にもなった国だよ」
「???」
余計に困惑したようだ。
「さぁ、これからその国の始まりから終わりまでの話をしよう」
~回想~
1798年、とあるヨーロッパ地方での出来事。
巨大な帝国の従属国アビリア王国が反旗を翻し、独立戦争を起こした。反逆は成功し、アビリア王国は独立国家となる。
「グローリアス、其方をアビリア王国の国王に命ずる」
「承りました。父上と母上に恥じず、誇れる国王になると誓います」
独立して間もなく、アビリア国王は王太子である息子のグローリアスに、王位継承をした。
「これより、私がこの国の国王となるグローリアスだ!」
「独立したばかりだが、周辺諸国に進軍をする」
「失われた領土を取り戻し、かつてのアビリア王国を取り戻そう!」
戴冠式においてグローリアスの自信と覚悟、決意の宣言がなされた。
こうして、アビリア王国の歴史がグローリアスを下に動き出した。
しかし、それが世界最大の帝国の誕生を意味するとは、まだ誰も気づいていなかった。
~現在~
「君達、ここまでの話で何か質問とかあるか?」
年老いた男が子供達に尋ねる。
一人の女の子が聞いてきた。
「その…アビリア王国?が、かつて存在したっていう国なの?」
「あながち間違ってはおらんよ、アビリア王国は名前を変えたのだ」
子供達が首を傾げる。
「今からその疑問も解くから安心しなさい」
どうやら子供達は、その言葉で少し安心できたようだ。
「では、話の続きをするぞ」
~回想~
1799年、これまでアビリア王国により周辺諸国は次々に植民地とされてきた。
アビリア王国による最後の侵攻も終わりを迎えた。
~アビリア城内~
「これで、アビリア王国が失った領土を取り戻すことができたぞ!」
「戦場で戦ってくれた兵士の皆には感謝する!」
グローリアスは兵士全員に向け、労いの言葉を送った。
「今後の国家方針を伝える」
城内は騒いでいたが、その言葉で静寂になった。
その場の全員が次の言葉を息を呑むように待っていた。
「最初に、これまでの二年間で植民地化した国々はアビリア王国に統合する」
「それに伴い、国名を変更して、王国から帝国へと生まれ変わる」
「帝国の統治はこの私、グローリアスがする」
この知らせはアビリア王国全土に伝わるのはそう遅くはなく、後の世界最大国家となる帝国が誕生するのだった。
~現在~
「それでアビリア王国が帝国になるの?」
一人の女の子が聞いてきた。
「そうだよ。だが帝国は長くは続かなかった」
「なんで?なんで?」
「まぁまぁ、落ち着きなさい」
子供達をそう言って宥める。
「それをこれから話すから、まだまだ長い話になるけどついておいでよ」
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