第2話Idealist/Fatigue

“Becoming the only light in the world that keeps reverting itself.”


 真っ暗な日々の流れの中、繰り返す痛みが終わりなく、毎分毎秒迫ってきて、命の味を奪っていく。それなのに、今日もまだ生き続けている。


 そんなに負けたくないの?勝ちたいものはそんなに大事なの?諦めては決してしないって、最後までやりつけるの?


 全然わかんないわ、優先順位だって、私なのか、仲間なのか、他人なのかって、もう無茶苦茶すぎるんだ。


 全ては自分次第だけど、どうしても何を選べても、悔いはきっと残る。どっちらでも正しい、どっちらでも間違い、そんなもんだらけだ。


「ごめん、もう一度言ってちょうだい。」


 もう落ちたんだな、こんなに騒がしくても、こんなに人が‘多くても、こんなに大事なことが起こっても。自分の足で歩けないって、馬鹿みたいだ。


 そばにいてくれるのはずっと彼女だった。どんな大きな間違いをしても、ずっと頼りになるんだ、依存しているみたいだ。


 かつて湧き上がる音も今は痛くなり、悪い思いだけが浮かび上がり、まるでトラウマのように。なのに、みんながまだ燃えているようだ。これは自分だけなのか、他には感じられないのか、どうしても答えはないみたいだ。


 ここは賑わう、最初から同じ程度でも、最近だけが耐えられなくなる。それは駄目、耐えられないなら成し遂げないから。


 どうしても、現状のような生き方が大嫌いだから、いつまでも逃げては駄目だ。あいつらの言葉など、命令など、従ってたまらないんだ。


 自分のことを見ると、正直泣きたいんだ、特に比べられる人がいれば。連中が苦心して動力しても、自分だけがここに、誰かの背中に傾けている。


 こっちの方が好きだ、同時に嫌いだ、今こそが大事、緊急な瞬間だから。でも、ここだけが愉快だ。


 社会の、老人の、仲間の、自分の期待までも添ってなくてもいい気がしているが、やっぱり何かが違うんだ。本当は私素直じゃないか?


 撫でている手が暖かいんだ。こっちから見たら、あの顔がとても素敵、とても綺麗、彼女に夢中してしまうみたいだ。


 永遠であればいいな、こんなものって。けど、永遠など絶対にないんだ。全てがずっと変わってゆく、昔のことも、現在のことも、未来のことも。


 ねえ、日々の流れも数えられなくなるよ、数えたくないから。もう何日後かなっても、全く掴まえなくなる。


 逃げたい時は、昔のページを見てみたらいいと、単純なことでも、もう充分だ。だから、今日はあの道を沿いに行く。


 かつては二人で一緒に歩いた帰り道であり、数年ほど変えられぬ、ずっと同じ公園を越して、他人など割に見えぬ、風の音が小さくても聞こえる道だった。


 この道を歩くには時間がなくなったんだ。でも、あの部屋にいると聞いたから、大事なことを放置し、すぐに見に行くんだ。


 何も変わらない、景色や背景もそのままだ。寛いでいる、そんな感じみたいだ。毎日がこんな風だったらいいのになと思いながら、ぴんぴんと走っていく。


 ここだけが以外と変わっているんだと、もう一度「永遠」などこの世で存在していないと覚えさせた。返事はなかったって、隠されることがあったから。


 虚しい、虚しすぎる。吊った姿を見たのは虚しすぎる。冷たい空気、真っ暗な部屋、凍える体。あの時は全てが透明になる。


「……まだ……まだ何も言ってないのに、まだ何も知ってないのに……」


 暖かさを失った体を抱きながら、隠した思いが零れ続ける。あの日、心が闇に落ちた、完全に。全てを失った私は、取り戻せようとして、あんなこともやってみたんだ。哀れだよ。


 休む時間もない、遊び時間も、嘆き時間も。悼み悲しみでも、負担が重ね続け、あの人とあの人も次々と邪魔して、呼んでくる。否定する力がないままに。


 まだここから出たくないのに、まだここから離れたくないのに、もっと彼女と時間を過ごしたいんだ、もっと休める時間が欲しいんだ。


 外に出ると、風が全く別なものになり、見たことのない景色が目の前に。また新しき戦いに連れさせていく。


 あの部屋が遠すぎるかな、戻るまでは何時間もかかった。夕焼けが来ても、まだ道の途中。間に合わなくてもいいけれど、悔いがある。


 空の色が濃紺に変わったら、皆の声が薄くなっていく。誰も呼びかけぬ、メール一つも届かない。変だが、なぜかちょっと幸せになる。


 籠が壊れた気分で、自由に飛べる気がしている。何も考えなくても、何も従わなくてもいいと、社会のことも、仲間のことも、自分のことも。


 広すぎる道も、遊び場になれるように。頭の力で、全ての可能性が解けている。理由一つも必要ない瞬間に、その果て、いつの間にか終わりに近づいて、冷たい現実に戻ってしまった。


 たどり着いたら、変なことが気づき始める。灯りが暗すぎる、音が低すぎる、人の姿と影も見えない、場所が間違えたのか。


 確かめたくても、繋げる人はいなかった。電話もメールも無駄のままで、自身が中に入って、全てを確認するために。


 暗すぎる、本当に暗すぎる。こんなのはパーティーになれないと、最初からこのような案など聞いたこともない。もっと深くなる時は、小さな声が聞こえ始める。


 廊下が暗すぎて何も見えなかったが、声がある方向には灯りが見えている。全てが明るくなり始めたら、破片に染める赤が見えて、その時にはもう遅かった。


「まだ女性があるんだな、オイ!」


 口が挟まれて、体が動けなくなる。周りには落ちた仲間たち。殺されたものがいる、足掻いているものがいる、そして、犯されるのも。


 次は私だって、それはもちろん。奴らはもう獣みたいだ、論理も道義も、奴らにはもうないんだ。獲物を放題に、そういう獣だ。


 動ける気もないんだね、抵抗するとか。起こることが起こる、なるようになる、簡単なものだ。もう失敗に落ちた、最初からやりつくすもの全てが。


 胸を刺して、血が零れて、そうであるままに奴らがやり続けている。多分、尽くした後に、すぐに死んでしまうように。


 で、これで本当にいいのか?そもそもこんなことこそが私が嫌いだ。恐らく、最初から反対してきたものだ。だから、本当にいいなのか?


 空っぽい頭は、今が初めてかもしれない。何も考えたくない、何も考えられない。まるで、されても良いって、全然気にしないようだ。


 いいのか?負け犬みたいに……いいのか?全部捨てるのが……いいのか?……。

「——踏み潰されてたまるか?!!」


 あの頃、暗闇も眩しい光で輝いている。心の悩みが消えていて、心の情熱が上がっていく。恐怖のないままに、私が目覚めた。


 体が軽くなり、初体験だ、力なきでも金属壊せる。本当だろうかと知らないが、全てが血色になったら、頭蓋骨も握りつぶしたと気付いたんだ。


 怖がっている奴らの顔が、惑われながら、体が震えて、銃を私に向ける。臆病者たちの叫びとともに、鈍感な手で銃弾が飛び出している。


 当たったよ、真ん中にいるから。当然なことは、それと、奴らは銃弾が尽くすまで撃ち続けること。けれど、痛くもなかったんだ。


 逆に、私は騒がしなんかしていない、無意味だから。素早く全てを片付けて、反応時間を与えずに、容赦を見せずに、動けないまで、死ぬまではしない。


 大事なことをもう気づいているぜ。そのため、臆病者たちが出血している間に、私が準備して、復讐の心で敵を向かいに行く。


 私が強くなり、私が最強だと、そんな私がこの手で全てを変えられるんだ。腐る世界にはもうさよなら。頼りなども必要ないさ、今はただ、ただ……。


「——痛てえっ!!」


 こんなになってはいけないと、そう思った瞬間には、私がまるで罠に落ちたんだ。そう気づいたのが他の誰かの陰が見えているから。


 まだ、まだ終わらないはずだ、って、もう胸に刺した、長い槍が。霞む瞳で犯人の顔を見て、笑える男の顔が見える。もう絶望だと思う時に、彼は拳を挙げて、私の胸に。その拳が……。


 ……壊れたガラスの音がする。そう、そんなことなどあるわけないんだ。実際にあるのは、飛び入れた私がごみのような人達の集会に。


 ちょうどいい、狙いたい人が全員ここで揃えている。馬鹿みたいな顔しているが、それは真顔だろう。これこそ乱暴だ。


「——なあ!女の出来事って子供を産んで育てってあんたが言ったんだよな!?ムカつくわ!!」


「あんたなら、不景気は若者が怠けすぎるからって、どういう意味だ!?ああ、ごめん!頭が壊しちゃって、聞こえなくなるのです!!」


「そこのあんた!外国人は我々に関係ないって何だ?!まるで鎖国に似てるけど、ねえ答えろうよ!!」


 戦うばかりか、逃げるのもできないんだ、ただ大声で叫び続けて、状況を読めないままに。生きる気がないなら、終わらせますよ。


 メインディッシュがもう残られないんだね。でも、残されるのは面白いものたちだ。女性だ、他の女性を侮辱している女性、即ち政治家の夫人たち。


「——死ねえ!!——なっ、何だ?!」


 体は確かに最初から血まみれだけど、大人の血だけだったんだね。この手にいるのは……まさか……う、嘘だ……。


「怖そうだな!どんな罪を犯したんだ?残酷なもんなのかな?」


 悲惨の時、後悔の時、嘆きする中、いなかったはずあの男がここにいる。私に近づいている、私をあざ笑っている。


「こんなもんなら、後にもまだあるんだろう。複数だぜ。」


“We hate ourselves, no matter how much we have changed.”

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