国民的女優は息子の相思相愛を許しません!
鹿島薫
第1話
朝日は、春の穏やかさを
こだわって揃えた和食器に、それぞれ
──
主演映画の撮影がクランクアップを迎え、今は
毎日五時に起きて、栄養バランスを考えた、丁寧な朝食を作ることが、
「おはよう」
紺色のブレザーとグレーのスラックスの制服姿で
優樹の制服姿を
今日は優樹の高校の入学式だ。
新品の制服は、まだ優樹の身体に馴染んではおらず、動作に反して真っ直ぐに伸びようとする
優樹の春休み中に、
「やっぱりそのヘアスタイル、素敵ね。それに、そこら辺の若手俳優より、よっぽどスタイルが良いしイケメンだわ! 新しい制服も、とっても似合っているわよ!」
優樹は
──朝食を食べ終えた後、新調したベージュのスーツに袖を通し、姿見で確認する。
「分かってる、今日も美しいわ!」
◇
──美山高校の校門付近には、立派に咲き誇った桜の木が等間隔に並んでいる。
入学式に参加する生徒や保護者はすぐに
時折、甲高い興奮したような声が聞こえてきたり、遠巻きに見つめる様子が
校舎の玄関口に向かっている時だった。
「優樹くん!」
後ろから、優樹に向かってとびきり明るい声が掛けられた。
「
パッと一瞬にして花が咲き誇るような、美しい笑顔だ。
なんて可愛い子、と
ぱっちりとした大きな瞳はわずかに目尻にかけて上がっていて、愛らしさの中にもどこか凛々しさを感じさせる。
背中まである髪は、少し茶色がかっていて、ふんわりとウェーブがかかっている。
「お人形さんみたいね……」
思わず
そんな呟きが聞こえたかは定かではないが、その少女は
そして、「おはようございまーす!!」と、まるで小さい子どものように声を張り上げた。
「おはよう。あなた、優樹のお友達?」
「はい!
「優樹くんとは塾が同じで、志望校も同じだったので、二人で勉強してたんです! だから、同じ学校に通えるのが、すっごく嬉しくて!」
きっと、
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