河港
翌朝、アランはトランクケースを開き、荷物を確認し、依頼の品を魔法で丁寧に収納した。すべての準備が整うと、しっかりとトランクケースを閉じ、旅立つ準備を整えた。
宿屋の主人にしばらく世話になったお礼を言い、多めに代金を支払うと、主人は驚きながらも感謝の言葉を返してくれた。心地よい宿だったため、アランは少し名残惜しさを感じながらも外へと出た。宿での静かな時間や、運河の風景を楽しんだ日々が心に残っていたが、次の目的地が彼を待っている。
外は朝の爽やかな風が肌を撫で、ゼーゲン川の流れが静かに聞こえてきた。川沿いの道を歩き、港へと向かい、上流に戻る船を探した。今回の旅では確実に素早く届ける必要があるため、コネツヴィルへは船で向かう。
河港にたどり着くと、そこにはさまざまな種類の船舶が停泊していた。大小さまざまな船が並び、朝の光を受けてその船体が静かに輝いている様子が見られた。旅客船から商船まで、多くの船が川面に揺らめき、港には活気が満ちていた。
「すみません、コネツヴィルに向かう船はありますか?」
船主は首を振り、少し困ったように言った。
「コネツヴィルね。うーん、コネツヴィルへの船は今日は出てないな。ただ、ヴィエルナとの国境近くの町まで行く商船がある。あの船なら向かうぞ。」
船主は向こうに停泊している船を指差し、教えてくれた。
アランは少し考え、十分に目的地に近づけると判断し、船主に頷いた。
「ありがとうございます。乗せてもらえるか聞いてみます。」
アランは礼を述べ、港を進んで船へ向かった。船は大きくはないが、頑丈そうな船体であった。船に乗ることができれば、旅の時間と疲労を少なくできる。
船主と交渉すると、船主は快く受け入れてくれた。
「ちょうど商品を売り切ったところでね、いくつか新しい商品を買ったが、まだ船に余裕があるんだ。安くしてあげるよ。」
アランはその言葉に感謝し、料金を支払った。
出発まで待っていると、さらに乗客が乗り込んできた。彼は旅人で、荷物を持ちながら船内に入り、明るい声で挨拶を交わしていた。そしてアランに気づいて話しかけてきた。
「おや、あなたもこの船に乗られるのですか?」
アランは軽く頷き、「ええ、そうです。」と答えた。
旅人はにっこり笑い、「それなら道中、よろしくお願いしますよ」と言って腰を下ろした。
出港までの間、アランは静かに船の外を眺めていた。今回の旅路を思い描きながらゼーゲン川の景色を楽しんでいた。太陽の光が水面に反射し、夏の空気が暖かく、川の流れは穏やかで美しかった。
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