【通算ブクマ100】前世で若くして病死した私は、今世の持病を治して長生きしたいです
ルリコ
0章 すべてを賭けた誓い
第1話 いつもの朝
太陽がてりつけるあたたかい朝。
わたしは、ひさしぶりに体がだるくなかった。
「おはようございます、お嬢様。体調はいかがですか?」
彼女はわたしに仕えてくれているリエ。
ライトブラウンのかみとうっすらハチミツいろのまじっためを持つ、きれいなおばあさまだ。
「おはようリエ。今日はめずらしくどこも痛くないわ」
「それはよろしゅうございますね。今日は外出できるかもしれません」
「ほんと!? うれしい」
じゃあどこに行ってみようかな?
いえの外にでたきおくは数えるほどしかないから、外について知っていることは少ない。
まえはこーえんに行って、そのまえはおみせに行った。
もーそーでいっぱいになっていると、リエがくすくす笑っていることにきづいた。
「リエ?」
「失礼しました。あまりにもお嬢様が楽しみになさっているので」
「楽しみに決まっているじゃない!」
「ではまず朝のお支度をしなければなりませんね」
「そうね、おねがい」
「かしこまりました」
うきうきした気持ちでしたくをいつもより早く終わらせ、1階の食事をする広間に向かった。
父と姉はもう席についていた。
「おはようございます、おとうさまっ、おねえさまっ」
「ミュラー、おはよっ」
「おはようミュラー。今日は調子がいいのかい?」
まえから、おねえさま、おとうさまの順だ。
「そうなのです。外にもでれそうなくらいですわ!」
「それはよかった」
ちょうどそのタイミングで、おかあさまがおとうとのカイレーをだいてあらわれた。
彼女も調子がよさそうだ。
「おはようございます、ケイリー様、ロイリー、ミュラー」
「ああ、おはようアマリ」
「おはようございますお母様」
「おはようございます、おかあさまっ」
ケイリーはちちの名で、アマリはははの名だ。
「カイレーも挨拶しましょう」
「………?」
くびをかしげてカイレーはははを見上げる。
すごくかわいい。
「母上の言葉を復唱するのですよ? おはようございます」
「~~~~~」
なにを言っているかよくわからないけれどかわいい。
まだ2才なのにそれだけことばがわかるなんて、この子はかしこいんだ!
ぜったいそうだ!
めしつかいが、ごはんがのせられているワゴンをはこんできた。
今日のあさごはんはなんだろう?
「白身魚とにんじんのソテー、コンソメスープ、白パンでございます」
やった、にんじんだ!
やさいの中でもっとも好きなのはにんじんである。
だんぜん、にんじんである。
なまでもやいてもおいしい。
これをたべられない人は、じんせいをそんしてるわ。
「お嬢様? お召し上がりにならないのですか?」
いけないいけない。
しかられるまえにたべよう。
にんじんばかりをたべすぎてリエにしかられていた頃。
おとうさまがまいあさのルーティーンである、かぞくかいぎを始めた。
といっても、ほーこくや今日のよてーぎめなどである。
「今日はミュラーの体調がよいので私は2人で外出しようと思っている。アマリはどうする?」
もんだいなく外出できるみたいだ。
「そうですね、私は溜まっている執務をしようかしら。あなたにばかり負担を押し付けていては悪いですもの」
「そんなことを気にする必要はないが………君はいらないと言ってもやるであろう。
少しでも体調が悪くなれば必ず側仕えに訴えることを条件に認める」
「ありがとうございます」
「カイレーは乳母に預けるか?」
「いえ、執務室の端にベビーベッドを設けました。同じ部屋にいたほうがこの子も安心でしょう」
おかあさまはいとおしそうにカイレーをなでた。
かれはにこりと笑い、すうっとねいった。
「そうだな。ロイリーは?」
「お昼まで家庭教師の先生が来てくださいます。その後は礼儀作法のレッスンが入っていますわ」
「分かった。頑張りなさい」
「はい、お父様」
「その他報告はあるか?」
これは、そばづかえたちからのほーこくという意味だ。
「ございません旦那様」
「わかった。今日も職務に励むように」
「「かしこまりました」」
しよーにんがいちれいする。
「ミュラー、2の鐘が鳴ったら出発する。それまでに準備しておきなさい」
「はい、おとうさま!」
ようやく外出だー!
キーンコーンカーンコーン。
2のかねが鳴った。
わたしたちは、きょーかいが鳴らすかねに合わせて生活している。
1のかねで起きて、2のかねで市場や店がひらき、
3のかねでランチ、4のかねでおやつを食べたりきぞくのおちゃかいが始まったりして、
5のかねでディナー、6のかねでねる。
父がかいだんを降りてきた。
「おとうさま、早く行きましょう!」
「待ちなさい、1日は長いのだから慌てるな」
「1日は長くても、わたしが外にでられるときは少ないですわ!」
「………だとしても。そもそも私たちが行くところを知らないだろう?」
「そうでした。どこに行くのですか?」
「ミュラーは本が好きだろう?」
つまりとしょかんに行くんだね!
ゆめにまで見たとしょかんにやっと行けるんだ!
「ありがとうございます、おとうさま!」
まい上がってしまい走りだしたが体勢をくずしてしまった。
おとうさまの手が支えてくれたので転びはしなかった。
「ミュラー? もう少し淑女らしさというものをだね………」
「申し訳ありません、旦那様」
「ごめんなさい………」
リエは悪くないのにあやまらせてしまった。
「まあいい。行くぞ」
「はい」
でも図書館は楽しみだわ。
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