酔いは、理解不能の小説を呼び起こす。
うめ生徒
第1話 死ねよ
「死ねよ」
そう言った私は、右手の中指をピン! と立てる。
私の話し相手は、仕返しをするかの如く、中指をピン! と立て返した。
「お前は、生きろよな」
「中指を立てながら生きろよなは、意味が分からない」
「意味が分からない? は?」
「いや、だってさ。中指は、死ね系の意思表示じゃん。中指を立てながら、生きろと言うのは、矛盾が生じるよ」
「矛盾が生じたところで、何の問題があると?」
「だからさ、言っているんだよ。中指の示す死ねが本音なのか、口から出た生きろが本音なのか、伝えたいことの意味が理解できないって」
「ほうほう。ちなみに、お前はどっちが本音だと予想する?」
「知るかよ」
「まあ、私にしか分からないだろうからね」
そう言った話し相手は、上を向いた。
「死のうが生きようが、勝手にせい」
「何なんだ? コイツ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます