…
いちおう言い訳をしておくと、守護霊は特定の人間の一番そばにいる分、その人の影響を受けやすいらしい。
それで、このご時世メンタルを病んでいる人が多いが、そういうのに憑いてしまった守護霊もまた、メンタル危機を迎えるリスクがあると言われている。
そのようなこともあって霊界でも休職者が増加傾向にあり、そもそも守護霊は有資格者のみが就けるとあって、近年目立って人員不足感が出てきているという。
それで一人が複数の人間の守護霊を掛け持ちするケースもあり、過労によって"業務"に破綻を来たし、やっていることが守護霊だか背後霊だか分からなくなるトラブルが目立ってきている。
この悪循環が、霊界における喫緊の課題であったりする。
って、ほんと質悪すぎるだろ……。
「あとはよろしく頼む」
僕はそういって多良さんを後にしようとした。
それに気づいたのか、多良さんは振り向く。
守護霊がいることを信じている人以外は、その霊の声も自分の心のそれと思い込んでいるから、僕の存在に気づいていないはずだが、彼は飲みかけの缶を手にしたまま動きを止めた。
僕も思わず彼の顔に見入る。
すると彼はへっぴり腰で叫び、小ぶりなパンチを繰り出した。「あちゃー!」
僕は思わず笑ってしまう。
「わっはっは、燃えよドラゴンのなり損ないだな」
多良さんは眉間にしわを寄せた。
「いや、それを言うなら、萌えよジャクダンだぜ?」
(え?!)自分の言ったことが聞こえているのかと思って、僕はびっくりしたが、彼は自己対話の感覚なのだろう。
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