第6話 1周まわって冷静です その1

このラスラトファミリーの治めるスラムにはいくつか診療所がある。ぶっちゃけ医学の知識なんて無くても治癒術さえ使えればお医者さんを名乗れる世界のなのだ。戦うよりかは安全に稼げる。


最近僕は親分ラスラトにある提案をした。


それは『健康診断』である。


ここらは夜のお店ばかりだし性病や体調不良とは切っても切り離せない。最初は思いつきだったが女性の幹部に聞いてみたところこれが意外と好感触。働く時間は増えるけどアガりの足しになればなぁなんて思ってた。


が、この話は幹部会に持ち込まれあれよあれよのうちにファミリーが取り仕切るデカい仕事になってしまった。


終わってみれば月1で他の診療所の闇医者やモグリの神官、俗に言う教会から追い出された神官などと協力して行われることに。言い出したのは自分だけどめんどいことになっちゃったね。


ただ言われたことは

「それぞれでできることをやる」

という非常に曖昧なものだった。


あと追加で

「護衛に風俗狂いを選ばなこと」

だとさ

ごめんねシャノ、一緒に綺麗なお姉さんのとこ行けないね。どんまい。


_______


所変わって僕は、僕たちはプロメオンという娼館に来ている。そして僕の横にいる金髪ショートのスタイル抜群の人の名はヴェーラさん。元神官だという。ギャンブル仲間に聞いてみたけど誰も神官を辞めさせられた原因を知らないらしい。


なんでも神官は才能の世界で余程のことがない限り追放なんて有り得ないらしい。


ミステリアスなお姉さん、かっこいいよね。言葉を交わす前はそう思ってたんだ。


だけど僕は分かってしまったのだ。この人が神官という立場を追われた原因を。


この人多分ショタコンとかそういう類の人間だ。


僕は基本ふざけたクズ人間だが割と容姿には自言がある。声変わりしても高い声、女顔に少しのくせっ毛に少しの筋肉と細い身体。全部遺伝やないかい。


で、顔合わせの時の最初の一言なんだったと思う?!


「うわー、どタイプだわー」


だよ?同年代の子に言われるなら嬉しいけど一回りも上の人に言われるとこんなに怖いんだね知らなかったよ!!無断で服の中に手を入れられて上半身まさぐられるし顔や首を一生ぺたぺた触り続けるし本当に怖かったんだから。


ほら今だって


「ねぇシオくん?お尻、触ってもいいかな。大丈夫服の上からだし変なことはしないからさ?」


「嫌ですよ、すでに変なことしてるじゃないですか。別に人の性癖のこととやかく言いたくないですけど絶対治した方がいいですよそれ。」


「うわーシオくんもそんなこと言うんだー違いますー、タイプが小さい頃から変わってないだけですぅーブーブー。」


「28歳がそんなことやっても可愛くないで「あ"ぁ"?テメェ今なんつった?」………」


さすがにこれは僕が悪いね。


「……ごめんなさい」


「うんうん、素直な子はワタシとっても好きだよ!じゃあお尻、触るね。」


「それは嫌です。」


「あ、そう………

じゃあゴミを見るような目で罵ってくれない?」


「……もっと嫌です。」


「ありがとう!ご馳走!」


サルサ、シャノ、助けて。僕この人かなり苦手かもしれない。

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