第26話
「だから、まあ、解決ってことで良いと思う」
次の日の昼休み、僕は部室で佐藤に事の顛末を説明していた。
浅野が泣き止んで、話ができる状態になった後、浅野と竹内の二人は、すべてを話合い、これからはちゃんと助け合って生きていくことを約束した。僕と木島については今まで通り生活してほしいとのことだった。浅野も今日は学校に来ていて、木島とはもう一度一から関係を創ろうとしていた。
「そうですか。宮崎さんは今の方が元気そうです。やっぱり覚悟を決めたと言っても、どこか苦しそうでしたからね」
そうか。彼女は彼女で大きな傷を失った。それがいい方向に作用するといいが。
「早退したのは大丈夫だった?」
「その、すみませんでした。連絡が遅れてしまって」
佐藤は気まずそうに言った。
「大丈夫だよ。それはあんまり気にしてないから。それより体調の方は?」
「体調はもう大丈夫です。ご心配をおかけしました。それより浅野さんはホワイトフラワ―について何か知ってしましたか?」
「浅野は僕たちが知っていることしか知らなかったよ」
浅野と竹内の話が終わった後にそれとなく聞いてみたが、浅野からはいい反応は得られなかった。
「でも他に詳しい人がその場に居たんだ。田中先生だ」
「え?」
佐藤はキョトンとした。
「僕がホワイトフラワーの名前を出した瞬間、田中先生は焦ったようにいろいろ聞いてきたんだ。『何か祈ったのか⁈』とか『どこでその名前を聞いた?』とか」
「浅野さん、その場に居たんですよね」
「ああ、だから僕は全部否定したけど、浅野はいろいろ話を聞かれてた。それで、田中先生は帰り際に言ったんだ。『これは研究データに加える』って」
「先輩、今日の放課後は先輩の教室に行ってもいいですか?」
「ああ、わかった」
そう言って、僕たちはお弁当を広げ始めた。
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