第5話 ここは、別の世界なんだよね? みみっく

 危うく別の世界から来たと言う事を言いそうになり、途中で言葉に詰まってしまった。



(親切な人だけど、他の世界から来たと言っても頭のおかしな子供だと思われるだろうな。もし信じてもらえたとして、どうなるんだ? 助けてくれるのか? 元の世界へ戻れる方法を知ってるとは思えないしなぁ……。しばらくは、警戒をしておいた方が良いよな)



 「そうかい! よう、と言うのかい。よろしくね! それで、あそこにいる子はルナ、お互いに仲良くしてね。ケンカは許さないからね!」


「ママ、そんな事を急に言われても……困るよっ」


 ルナが俺の方をチラチラと見て、恥ずかしそうにしていた。そんな反応を見てしまい、こちらも意識をしてしまって目を合わせるのが恥ずかしくなってきた。


そんな二人を見ていたセレナがニヤニヤした表情をして、二人を観察して楽しそうにしていた。



「ほら! そろそろ食事の準備をするから、二人で仲良く薪を用意をしてきてくれるかい」


「はーい。分かったわ」


「は、はい」



(薪か……やっぱり、ここは異世界なんだな。いくら田舎でも薪を使っている家庭は、珍しいよなぁ)



 場所も薪割りも分からないので、ルナの後に着いていき外に出た。やっぱり時間が経っても、漆黒の夜空が広がり見ていると吸い込まれそうだった。



「あのさ、まさかとは思うけれど……薪割りくらいした事はあるわよね?格好は見たこと無い格好をしているし……」



(さっきのあのチラチラと見てたのは……そういう事か)



 少しガッカリした気分になった。そう言えば二人ともアニメやゲームで出てきそうな服装だよな。



「あ、これは……その学校に通っていて、そこの制服なんだよ」


「学校……? 制服……? そう? 聞いた事があるような……」



 ルナが何かを考えるような表情に変わり、しばらく動きが止まっていて宙を眺めていた。



「お、俺が薪を割ってるから休んでて!」


「え? あ、悪いわよ。お客さんに働かせたら……。それより薪を割れるの? さっきの表情だと薪割りした事が無いんじゃないの?」



(え? 凄い観察力だな……)



 ルナに疑いの目で見られて思わず目を逸らした。



「あっ……。やっぱりっ!」



 ルナの予想が当たって嬉しそうな声を上げた。



「そうだよ。薪割りなんかしたこと無いって! 薪じゃなくてガスを使って料理するのが普通だろ」



 恥ずかしさを誤魔化すために、何も考えずに先程考えていたガスの事が口に出てしまった。



「ガス? ……それで料理をするんだ? へぇ……」



 ルナは特に驚いた反応も聞き返して来ることもなく、斧を手に持ち薪を割り始めた。



「良く簡単に割れるね?重くないの?」


「斧は重くないと割れないよ? 斧の重さで割る感じだからね」


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