【十首連作】シャツの皴でも揃えてみる

御厨カイト

シャツの皴でも揃えてみる

焦げ付いたトーストと朝の無言さえぼやけた色にすべて吸い込む


水たまり映る信号変わる色踏みつけ走るいつもの帰り


自販機で冷たい缶を買うたびに秋が来たんだ君に言いたい


降る雨に曇りガラスを指でなぞり君の笑顔はいつか滲んで


見えないね君と私の違いさえシャツの皺でも揃えてみたけど


すれ違い増えていくたび寂しくて空の色だけが変わらずにいて


曇り空君の返事はやっぱまだ曖昧なまま流れる雲よ


どうしても出会うたび思う無口だねスカイグレーの空が似合う人


カフェテラス彼女が言ったさよならは霧のように残り香もなし


洗われて真っ白なだけのタオルにも忘れられない過去が染み込む


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【十首連作】シャツの皴でも揃えてみる 御厨カイト @mikuriya777

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ