第55話 性行為
ーそれから三十分後。俺は肩で息をしていた。ー
なぜなら三回も射精させられたから。
凛央さんは「若いって凄いな」って言ってくれたけど、アンタも十分若いだろ、と言うと
体力の使い方が男と女とでは全くもって違うと言われた。
男の絶頂…即ち射精と、女の絶頂は根本的に違うものがあるかららしい。
そういう説明もしてもらった。
手で射精を促されながらな。
だから殆ど知識として身につかなかったよ。
「〜だからかなぁ……聞いてるのりおー?」
「あっ、だっ………ッッ…………!」
「…お…………さっきより多くない?」
こんな調子で二回目は絶頂を迎えた。
そして、三回目の射精は口で促された。
要するに咥えられたってことだ。
「ほ、ほんっ!?ッッッァ゙ッ!♡
きっ…汚えってぇっ……!♡ッァっ♡」
「ほんぁいひもひぃのー?
…んっ…!? ひゃぁっ!!?♡」
ただでさえ慣れてない刺激に六秒しか持たなかった。
あったかくてヌルヌルで、刺激もそうだが背徳感や申し訳無さが興奮を加速させていたのが事実だった。
様々な要因が重なっての六秒だが、俺が我慢をしなかったら即時射精していただろう。
それくらい気持ちよかった。
「ごっ、ごぉめんっ!!!」
「…んーん……
「ほ、本当にすまん…。お、俺が…俺が気持ちよくなってばっかりじゃないか……。凛央さんは……気持ちよくないんじゃないか…?」
「……ふふっ、
ゴクッ♡ 別に気にしなくていいのに。」
「もう…三回も出してるんだぜ…?
流石に倦怠感がキてるんだよ。それに、やってもらいっぱなしじゃ申し訳ないだろ。俺にできることがあるなら、やってあげたいんだ。」
そう言うと凛央さんは水を飲んで一息つくと、下に履いているものを順番に下げていった。
「…じゃあ…今度は私が気持ち良くなってもいい?♡」
ズボンが下げられて現れた太もも。
肉付きが良く、思わず触れたくなってしまうくらいには艶やかだった。
そして黒いパンツも下がり、風呂場でも一度見たはずの部分が露わになる。
一昨日の俺は贅沢だったなと思う。
胸や墨に気を取られていて、なんとなく秘部から気が逸れていた。
でも、こうして見ると胸や太ももとは違う
俺はカラカラの口で喉を鳴らしながら、荒い息を何度も何度も吐いた。
股間は痛いくらい膨れ上がっている。
気付けば自分でしごいていた。
「ここ、触ってみてくれる?♡」
凛央さんは恥ずかしそうにしていた。
それが唆った。
演技には見えなかった。
さっきまでの若干痴女感の拭いきれない様子も勿論唆ったし、知識の無い俺を先導してくれたのはありがたかった。
でも、初めて俺の前で
凛央さんの口の中は青っぽかった。
喉に響く苦味が口に広がった。
俺がさっき我慢できず凛央さんに出したせいだとすぐに気づいた。
申し訳ないなと思った。
凛央さんが献身的になってくれているという実感を改めて得て、申し訳なさが溢れた。
あくまでも対等でいたいと思った。
これからは彼女に養われるのにも関わらず、そんな虫の良いことを思った。
けど、せめて溺れないでいようと思った。
凛央さんがくれる快楽に浸ることはあっても、決して溺れないようにしようと思った。
凛央さんを愛すために。
浜岡凛央という個人を愛し続けるために。
「……な…なんだったっけ……
ここか、……ここ…触るよ……?//」
「…んっうん……ふっ…ふッッ……♡」
俺は人差し指と中指を使って、凛央さんの 秘部に触れた。
俺のとは違って毛がなく、すべすべしていた。
そんな肌の触り心地とは別に、凛央さんの
秘部に触れているという意識が、俺の脳に
ある種の快楽をもたらした。
相変わらず絶え絶えに甘い声を漏らしている凛央さんだったが、奥の空洞を撫でたらどうなるのだろうか。
恐らくそこの箇所は敏感なはずだ。
少し湿った感覚を覚えながら、まずは中指だけを侵入させていく。
…少し…指を反らせて……びくびくと振動する膣を…労るつもりで……。
はじめに凛央さんが俺のを優しくしごいてくれたみたいに、俺も凛央さんの大事な所を優しく刺激していった。
これが正しいという保証もなしに、凛央さんが反応してくれる場所を模索した。
壊れかけのものを扱うつもりで、万に一つも痛い思いはさせまいと、慎重に指を動かし、やがて人差し指も同時に挿れれるようになったころ。
「っふ………ンッっ…!?♡」
凛央さんは突然一際大きな声で喘いだ。
「いっ、痛かったか…!?//」
やってしまった、、
俺は背筋に冷たいものを感じた。
でも、それは次の瞬間には安堵と興奮にすげ代わった。
「ちっ…ちがふっ…♡っ…そ、そこ…
……気持ちよかった、…♡」
凛央さんが俺に体を押し付けてよがった。
彼女の乳が俺の鎖骨に当たり、荒い息が耳に直接かかる。
凛央さんが興奮してくれているというのを
直に感じられて、感情の吐露をするならば
楽しかった。
「…っっ…!?♡…っっ…つ……♡♡」
凛央さんの丁度下腹部の中心辺りの裏側。
完全に味を占めた俺は、そこをしつこく
擦るように愛撫した。
「ぁっのっ…♡ッッつっ…っ!♡♡
…ぁッ!♡あっ……!♡はぁッ…♡♡」
俺の首に両手を回しながら喘ぐ凛央さんを
寝転がせてもなお、膣から手は抜いていない。
いつの間にか。
凛央さんに痛みを加えないようにしなければという思いは、自らの利己的かつ
…気持ちいいのかな、
そんな手探りな思いは
もっと気持ち良くしてあげたい、
という発展的な感情へ。
言葉と乳で攻められ、あっけなく精通させられ、完全にリードされていた、
さっきまでの俺は
凛央さんをもっと色っぽい声で鳴かせたい。普段の頼もしい姿からは想像もつかない
そんな熟練めいた感情に目覚めかけていた。
「…ッのりおっッ!♡ちょっとッンッ♡
た、タンマっ、♡」
「…………………あ…」
気付けば俺の指は濡れていた。
びしょ濡れと言って差し支えない程度に。
それが凛央さんの愛液だということは、凛央さんの少し赤い頬を見れば明らかだった。
そういえば 『くちゅくちゅっ』 という至極
それもかなり小刻みで激しいものを。
「……も、もう…イってるからっ…♡」
凛央さんは静かに呟くと、顔を腕で隠した。
…恥ずかしかったのかな、なんて想像して
余計に興奮した。
「凛央さん…//」
「…………?♡」
「もう一回…手でシてほしい…///
た、頼んでもいいか……?//」
一刻も早くさっきの射精時の快楽を味わいたかった。凛央さんを気持ち良くさせてあげられたという優越感と、艶やかな凛央さんの姿に当てられて膨れた興奮を発散させたかった。
「…やだ…♡」
しかし、凛央さんはそれを拒んだ。
「………え……」
俺は承諾してもらえると高を括っていただけに絶望した。
がっかりなんてもんじゃない。
絶望した。
こんな生殺しみたいな状態で終わるのか…?
この興奮を抑えろってか…?
凛央さんのあんなくそエロい姿見ちまったら……そんなん無理だよ………///
凛央さんは全裸のままベッドから降りた。
本当にこれで終わりなんだと確信してやるせない気持ちになった。
凛央さんは部屋からは出ず、白い棚を開けた。そして煙草の箱のようなものを取り出した。
…ライターが無いじゃないか。
煙草じゃないのか……?
凛央さんはぎしっと音を立ててベッドに戻ってくると、その箱を開けた。
「なんだそれ……」
そこには『コンドーム』とあった。
封に入った……風船…………?
「………な、なんだよ…ッ…ッつつ♡
し、してくれないんじゃなかったのかよっ…///」
彼女が風船を取り出したのを認識した直後、もう終わりだと思って
腰が抜けそうになるような快楽が下腹部にじわじわと流れ出す。しかも次の瞬間には、再び奥まで咥えられる始末。
「あ、あがッ……!?♡♡♡」
油断させといて実はシてくれる、という戦法かと思った。なぜわざわざ断った手前シてくれるのか、というのを考える俺の頭は、既に快楽の虜になっていた。
「だ、出すよっ!?♡」
「…まだだめ♡」
「が、我慢できないッ……!♡」
「…………えー…♡」
凛央さんは咥えてから四秒足らずで口を離した。
「じゃあ終わりだなー♡」
「……つッ…ふーっ……ふーっ……♡」
俺は死ぬ気で射精するのを堪えた。
目の前に犠牲を伴ってでも味わいたいような感動があるのに、手を伸ばせば届く位置に極上の快楽があるのに、それを我慢しろと言われるのには、流石に怒りにも似た感情を抱くのが必至だった。
でも、焦らされれば焦らされる分
その爆発に乗っかる悦は増すものなんだろう。
だから、怒りなんて大それた感情は抱かずに済んだ。
「もう収まった?触ってもイっちゃわない?」
「……おう…。大丈夫だ…///」
その確認の後、凛央さんは俺のに風船を被せ始めた。
「コレしないと、赤ちゃんできちゃうから。
しないほうが気持ちいいんだけど、我慢してね。」
「あ…?」
俺はそれを聞いて、初めて〝セックス〟についての展望が読めた。
俺がさっき弄った部分、即ち秘部に、男の秘部を挿れるということ。
それがきっと〝セックス〟。
さっき凛央さんは自分の股を指して
「ここに精子入ると赤ちゃんできる」
と説明をしてくれた。
それこそが〝セックス〟
今までのは前戯、序章に過ぎなかったということか。
本番はこれからというわけか。
俺は締め付けるようなむず痒さを覚えながらも、凛央さんの唾液で円滑に装着された〝コンドーム〟をまじまじと見た。
…これが普通…なんだよな。
「なにぃよしげしげと見てえ。
無い方がいいの?」
「…いや、これが精子を内側から受け止めるのは分かるんだが…、こんな
「んー。まああると無いじゃ全く違うし…。そこは安心したらええよ。」
……これが普通なんだな。
子作りの時以外はコンドーム。
…これが常識。
「まぁ、そんな硬い話は置いとこうよ。
はやく挿れて♡…きゅんきゅんしてきた♡」
改めて〝セックス〟という行為について咀嚼
している俺の思考など露知らず、凛央さんは俺に秘部を見せつけるようにして寝転がった。
それが普段の凛央さんらしからぬ妖艶さと下品さを併せ持っていて、欲情させられた。
彼女が雌の顔をするのは俺だけ。
こんな姿を見せてくれるのは俺だけ。
そんな凛央さんを好きにできるのは俺だけ。
さっきも覚えた独占欲が、またしても脳で悦んでいる。
「い、挿れるぞ…///」
声はかすれかすれだった。
喉に何かを流したいところだったが、この色欲高ぶる状況に流された俺は、流れるような動作で腰を押し付けた。
ぬちっ………
直後、俺は凛央さんと繋がった。
「んっ…♡…ふっ……ふっ!ふえっ!?♡」
気付けば俺は、仄暗い天井を見上げていた。
口の端に違和感がある。
それは布団についていた俺の手に垂れた。
どうやら俺は
我慢することもできず、射精したことを認識することもできず、静かに押し寄せた刺激に呑み込まれ、絶頂に達してしまっていた。
「…もしかして…イった?」
「………………………」
凛央さんが何か言った。
俺は黙ってペットボトルの水を飲んだ。
そして俺のを膣から引き抜く。
みちっ………
コンドームの先はフグのように膨れていた。
白い液体が溜まっている。
それが精子だと、にわかには信じられなかった。
精子にしては量が多すぎた。
こんなにも大量の精子を吐き出したからか、
それとも味わったことのない膣の刺激ゆえか、俺はこの上ない快感を味わった余韻に逆上せながら、涎を垂らし続けた。
「…大丈夫……?」
「………………う…………ん……」
それから数秒後、ぴくりとも動かなくなった俺を見かねて凛央さんは涎を拭いてくれた。
それまで俺は心此処に在らずといった状態で虚空を見つめていた。
不思議なことに俺のは萎える素振りがない。
まるでついさっきの快楽を渇望しているかのように、ぴくぴく動いてる。
意識の性欲という部分だけを反映させたように逞しくもしぶとく反り返るそれは、俺と知性を違えた別の生物のようにも感じた。
「ゴムとっちゃうよ…?」
凛央さんはコンドームを外して口の部分を
結ぶと、まじまじと精子を観察した。
「……ニュウドウカジカみたい…」
凛央さんはそう呟いた。
その時の俺はやっと、ニュウドウカジカという単語の意味について思考できるくらいには脳が回復していた。
勿論ニュウドウカジカの正体については、考えても分からなかったが、射精した影響の倦怠感が挿入も相まって大きく、しばらくは俺の意識を完全に奪うだけの力を持っていたのは事実だった。
「…まだ元気ある?」
「………まだ…全然シたりない…」
「…………そうこなくっちゃあ…♡」
凛央さんは俺のを五秒程度しゃぶると、再びコンドームを装着した。
今度は俺が仰向け、凛央さんが上に乗っかってくるような体勢だ。
容赦なく視界に入ってくる下乳がえっろい。
でも、また蒼い月明かりに照らされた頬の
染まった凛央さんは、もっとエロかった。
「挿れちゃうよ…?♡」
「……頼む………♡…、ん……アッ…♡」
俺はその瞬間初めて挿入、即ち〝セックス〟
の快感をまともに味わった。
まるで締め付けるかのような感覚が、根本から先っぽにかけて襲ってくる。
俺のの裏筋が擦れる感覚と、凛央さんの
それらがこの上ない刺激と快感となって俺の中に入ってくる。
俺のの形状と膣の構造が噛み合っていて、擦れたり引っかかったりするだけでえも言えないくらい気持ちいい。
そしてどうやら凛央さんも気持ちいいみたいだ。
俺達は決して綺麗ではない声で喘ぎながら、汗と唇を絡ませて快楽を貪った。
「、でっ…出るっ!!♡♡」
「あはっ♡あったかい…♡♡」
「っのりおっ!♡激しいってばぁ!!♡♡
やんっ♡ぁ゙ぁ゙あ゙っ♡♡ひゃっ!?♡」
「はぁっ…はぁっ…♡
こ、声…エロすぎだぞ……♡」
「これが…気持ちいいのか…?♡
………もっとっ…ッしてやるよッ……♡」
「ん♡お、おくっ…奥……♡らめっ……♡虐めないでっ…♡それっ…♡
ぐ、ぐりぐりしないでぇっ…♡♡♡」
しかし楽しんでやっていればどんなものにも慣れと上達は来るもので。
四個目のコンドームの封を破った頃には、俺はすっかり〝セックス〟の快感に余裕を持てるようになっていた。
「ッきっ…気持ちいいッッ…♡」
はじめこそリードしなければという思いからか幾分余裕そうにしていた凛央さんも、今となってはどっぷりと快楽に浸かっていた。
……さっき膣を擦っていた時と全く同じだ。
余裕が生まれたのと同時に、また嗜虐的な
思いに支配されようとしている。
しかし実のところ、俺は凛央さんに攻められることを望んでいた。
こう言うのもおこがましい話だが、凛央さんには快楽に溺れるのではなく、俺を快楽に
沈める側でいてもらいたかった。
……だから……。
俺は快楽を過剰に感じているフリをして
凛央さんを立てることした。
凛央さんに挿入している以上気持ち良くないわけが無い。演技をするのは容易い。
しかしさっきまでの感動は何処へやらと、
至極 上から目線な思いが頭によぎったことに、何か不安を感じた。
しかしここで、
「えっ…!?♡♡」
凛央さんは俺の顔を引き寄せ、額にキスをしてきた。
「いつの間にか…攻められてばっかやん…♡
…………な、生意気……♡」
凛央さんは笑っていた。
俺の頬を撫でながら目を見つめられた。
その瞬間、彼女の膣の中の俺のは数段硬さを増した。
いつしか凛央さんの目に感動したことがあった。
一度見たら忘れられないだろう、と。
その感動は薄れてなどいなかった。
俺はその瞳の奥に、底知れぬ優しい炎が
揺れているのを
そして次の瞬間、大きな期待を控えたような満たされた気持ちで胸が一杯になった。
「やられっぱなしってのは良くないかんね♡次…♡わっ…私の番っ♡♡」
「っふっ!!?♡♡」
凛央さんが俺の手を取って、
「今から30秒我慢できたらのりおの勝ちねっ♡いくよっ?♡♡」
「…はあっ?!?♡♡ふっ…ぁ゙っ…♡」
随分と久々に喘がされた気がした。
突然持ちかけられた賭けにとりとめがないと分かっていながらも、秒数を課されたことであらゆる感覚を意識し、
恐らくは、そこで既に彼女の術中に
がっちりと握りしめられた両手。
それは『絶対に離さないぞ』というメッセージであり、凛央さんが俺という存在を愛してくれているという証明になった。
乱れるように揺れる乳。
それは改めて見ると、やはり格別な大きさと柔らかさを感じることができた。
数十分前まではこれを直接見ただけで完全に出来上がってしまっていたが、様々な刺激に慣れた今の俺にも、大いなる興奮を与えた。やっぱり俺は凛央さんの乳が大好きなんだな、と再確認させられた。
そして凛央さん。
さっきまでの快感に歪んだ顔からは一変。
彼女の表情は生き生きとしていた。
さっきの俺のように、この状況を楽しんでいるように思えた。
それが嬉しかった。
やはり凛央さんは、俺をどこまでも満足させてくれる存在だった。
調子に乗った俺に更に上の世界を魅せてくれる、先導者とも言うべき存在だった。
勝手に上に立った気でいた自分が恥ずかしい。
これからも俺は、凛央さんに
「あと25秒ー♡」
ははっ……まじかよ…………。
……………それでこそ………凛央さんだよ。
俺は降参を伝える代わりにゆっくりと呟いた。
「あんたには敵わないな。」
「んー?♡なんか言ったー?♡」
「………降参だって言ったんだよ///」
…そこは聞き取れないんかい
「じゃあ出しちゃえ♡」
凛央さんの赤い髪が揺れた。
それすらもエロかった。
「……うん。……もう…我慢できないよ///」
俺は精子以外も吐き出すつもりで射精した。
凛央さんを心のどこかで見くびっていた。
そんな要らない心も同時に吐き出した。
やっぱ凛央さんは強い。
俺じゃ到底敵わない。
凛央さんと出会えた俺は幸せもんだな。
〚次回:最終話〛
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