夜明けのホタル
江蓮蒼月
夜明けのホタル
夜だけは、私の味方だ。ありのままの私を受け入れてくれるから。光の差さない暗闇に身を任せる。ひんやりと纏わりつく闇が心地よい。どこにも居場所がない私は、このまま闇に溺れてしまいたかった。
朝が来た。朝なんて来なければいいのにと何度思ったかしれない。どうして地球は回っているのか、わからない。ずっと夜でいいのに。夜以外はなくなってしまえばいいのに。そう願っても、地球は回ることをやめない。わかってる。
朝食は摂らない。面倒くさい。親と顔を合わせたくなくて。そのまま家を出て、行く宛がないから学校に向かった。
学校にも居場所はない。それでも、家よりは居心地がいい。私は誰にも話しかけられないから。いじめられているわけではない。本当に、みんな気づいていない。目の前にいても探されるくらいだから、これはきっと、本当。
夜だけは、私の味方だ。ありのままの私を受け入れてくれるから。光の差さない暗闇に身を任せる。ひんやりと纏わりつく闇が心地よい。どこにも居場所がない私は、このまま闇に溺れてしまいたかった。
そんな私を、小さな光が照らした。彼は、闇夜に紛れた私を見つけた。彼はホタル。私を明るい世界に引っ張り出した。
夜明けのホタル 江蓮蒼月 @eren-sougetu
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