第8話 闘争前夜
第一次人類戦争後、海中の覇者となったアトランティス帝国はその圧倒的な力を海底諸国に向けて発し続けたが、地上には依然として敵対国家が存在し、さらに国内には巨大化しすぎた政治組織が蔓延っている。
特にアトランティスの軍事の要たる『
この危機的状況を辛うじて繋ぎ止めていたのがラ・ムー28世である。
彼は全ての権力を握る"皇帝権限"を以って北部地方の
支柱を失った建物が跡形もなく崩れ去るように、
ジリリリリリ……と邸宅臨時本部にある電話が鳴る。
「はい、こちら臨時本部、ギュンター・フィッツェです」
「こちらアンドレア・コルテーゼ。陛下急逝の報で大変混乱されているであろう所申し訳ないのですが、私から一つお願いがあります」
「お願いですか?」
「ええ、
「貴方の言う"来たるべき日"とはいつ頃でしょうか?」
「分からない。だが兎も角それまで武装して待機させておいてくれ。以上」
「了解」
「あと、一つ聞いて欲しい事があるんですけど…」
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「父上、貴族連合軍の配備がすべて完了したと、カレン殿とクラウゼから連絡がありました。"
そういう彼女は肩を大きく動かしながら額に溢れた汗をタオルで拭っている。
「私から伝達。国内の予備の
「了解しました。父上、一つ聞いてもよろしいですか?」
「ああ、なんだ?」
「……別にこれ私一人でやる訳じゃないですよね?」
アンナが30㎝はあろう書類の山をギュンターに見せつける様に抱える。それを見たギュンターは、クスクスと笑い、
「まさか」
といった後、
「ほかの仲間内務局員にも頼んで手伝ってもらって」
と続けた。
「了解」
アンナはそう言うとすぐに作戦本部から飛び出して行った。
貴族連合が"来たるべき日"に備え東奔西走する中、不安定化したアトランティスの政治にIWとIMAの一部派閥が介入を示唆したが、かつて『西部の食人馬』と呼ばれたフィリップモリス・バージニア元帥がテレビ演説において中立を宣言し介入賛成派や強硬派に対し「介入は断固として拒否する」と強硬的な姿勢を示した。
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