一緒に行きたいのに…

天川裕司

一緒に行きたいのに…

タイトル:一緒に行きたいのに…


妻「はぁいミホちゃん♪良い子ね〜、ブロッコリーもちゃんと食べようね」


仕事から帰ってきたら、今日も妻はやっている。


「……由美子…」


妻「はぁ〜いお利口ぉ♪よく食べれたね〜♪じゃあ次はニンジンもちゃんと食べよっか♪…あ、あなたお帰りなさい♪ミホちゃん、パパが帰ってきたよ」


「……由美子…!」

俺は妻の体を思いっきり抱いた。

娘の美穂は先年に亡くなっており、

それ以来、妻は心に大きな傷を負ってしまい、

亡き美穂が今でも生きてるかのように

ずっとこうして喋りかけたり、一緒に遊んだり、

買い物へ行く時でさえ美穂の幻影を見たりしている。


もうその姿を見てるとたまらない。


「由美子…!わかった、もうわかったから!…なぁ由美子、一緒に行こう。2人で美穂のところに行こう!」


妻「………」


「…本当はわかってるんだよな。お前もちゃんとわかって…。でも俺たちにはどうすることもできないんだよ!!美穂は…美穂はもう…」


妻「…何言ってるのあなた、どうしちゃったの?そんなに大声出したらミホちゃんびっくりするじゃない♪ねぇ、今日のパパ変ね〜」


「由美子…!」


何を言っても毎日こんな調子で、

俺たち家族は本当に悲しみのどん底に居た。

たった1人の娘が亡くなること…

これがどれほどの悲しみと

大きな不幸と悲惨を持ってきたか。


そして俺はその日、何度目かの覚悟をしようとした。

これまで何度もしようとして出来なかったこと…

それをこの日、俺はやろうとしたんだ。


妻「あ、あなた何してるのよ…」

「大丈夫。これ飲めば、穏やかに2人揃って美穂の所へ行けるから」

妻「えぇ?wどう言うこと?」

「いいから口開けて!」

妻「あっ…」


そして俺もその薬を飲もうとした時、

「くっ…くそぉ……!」

錠剤を2錠口に入れ、

何度も麦茶を口の中に流し込み

飲もうとしても、

口の中で俺の舌がその2錠の薬を堰き止め、

どうしても喉を通すことができない…!

「生きろ」って、

まだそんな事を言ってるのか俺の本能は!!


(妻の姿がそこには無く、主人公は次にテーブルへ)


「…由美子、美穂ぉ…!……ぐぐぐぅ…ぐぉおぉ…」

これから光が差し込むのは遠い先か。

世界で1番愛してる妻の由美子と娘の美穂は、

今でもずっと俺と一緒に居るんだ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=4wE50KHlOUM

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一緒に行きたいのに… 天川裕司 @tenkawayuji

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