チョウセンアサガオ

重い頭と怠い体、眩しすぎる光。ふと目を開ける。

「ああ、良かった。 意識が戻ったのね。」

医師とは思えぬ格好をした見知らぬ女性が私に声を掛ける。周りを見渡すとあたかも病室のようである。

私は何故このような場所にいるのか。

少し前の事を、覚えている一番新しい記憶を探ろうとするが、霧がかったように思い出せない。

「あなたは誰ですか」

そう問うと、女性は実に悲しそうな顔をした。

「そう、やっぱり記憶障害が」

そう言いながら彼女は私のいる部屋から出ていった。後ほど医者を連れてやってきた。

いわゆる記憶喪失などの類を患っていると。また、一時的なものであり、いづれもとに戻ると。

「しばらく様子を見ましょう」

数日経って退院できる頃には大まかに記憶が戻っていった。

「良かったわね」

女性に連れられ、家に帰ると見知った部屋である。良かった、部屋のことも覚えている。

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2024年9月24日 12:50

花屋 高槻 @yanaomu

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