ヤンデレ女子に生を実感する

稀有旅師-増田

第1話狐女子に化かされて

俺の名前は正兵衛(しょうべえ)

ただのしがない百姓だ。

最近は米も不作で苛立っちまってる。

耕しても幾らやっても実らねぇ米に本当に嫌気がさすぜ。

嫁と子供にも逃げられちまった..。

「昔は米作りも楽しかったなぁ‥。」

そんな事を呟きながら今日も田んぼへの道を歩いていた。

「ん?ありゃぁ何だ?」

俺はあぜ道に一匹の狐を見た。ここらでは珍しい白銀の毛並みの狐だった。

「あぁ、罠に掛かったのか。」

見るとその狐は右の後ろ脚に罠が掛かっていた。

「こりゃあ結構食い込んでんな。」

俺はこいつをこのまま商人に売っぱらちまおうかと思ったが、

こいつを見てると何だか自分を見てるみたいでそういう気が減っていった。

「しゃあねぇなぁ。助けてやるよ。じっとしとけ。」

俺はこいつの罠を外してやろうとした。

でも、こいつは威嚇しやがった!!

「おいっ!動くなって!!敵意は無いっての!!」

真剣そうな俺の顔で悟ってくれたのか。もう動かなくなった。

「そうだ..。そのまま休んどけ..。よし外れたな。もう掛かんじゃねぇぞ?」

外れた狐は足を引き摺りながらもゆっくりと森の方に帰って行った。

「柄にもねぇことしちまったが、まぁ悪い気はしねぇなぁ。」

俺は少し穏やかになった気持ちのまま田んぼに向かうのだった…。



その夜

俺は寝る支度を整えてうっすい布で寝ようとしていた。

その時。

トントントン。

と、戸を叩く音が聞こえた。

俺は眠りを邪魔された苛立ちで少々荒々しく戸を開けた。そして一言喝を入れてやろうと..

「こんな時間にだr..うぉ..」

俺がこんな声を出しちまったのは、戸の先に居たのは白銀の美しい髪を靡かせた

美女だったのだ。あまりにも美しすぎた衝撃で言葉を詰まらせていると、女が

「もし、道に迷ってしまって、今晩だけ泊めてもらえませんか?」

俺は何も考えずに自然と、

「おぉ..いいぜ..」

と、許可を出しちまった。

「まぁ!何と優しいお方、ありがとうございます..。」

ま、まぁ仕方ない事だからな..

「何にもねぇけどよ..上がってけや..」

「いえ大丈夫です..今晩は冷えますから、風を凌げるだけでも嬉しいのです。」

ま、まぁそう言われたら悪い気はしねぇな。

俺は長年使って無い棚から茶葉を取り出して、茶を淹れた。

「安い茶葉だけどよ。こんなのしかねぇんだ。」

そう言って俺は女に茶を淹れた湯呑みを差し出す。

「いえ!上がっているのはこちらの方なのですから..頂きます。」

女は流れるような所作で、茶を飲んだ。

「美味しかったです..。失礼な事をお聞きしますが、この家は貴方様1人なのですか?」

「お粗末さん。まぁそんな感じだ。稼げなくなってな。逃げられちまったよ。」

俺は茶を片づけながらそう言った。

「そんな..貴方の様な優しいお方が..!信じられません..!」

「そう言ってくれるのは嬉しいが、俺は優しいなんて綺麗事が似合う男じゃないぜ?」

「いえ‼︎私が知っている貴方はそんな人ではありません!!..すみませんつい熱くなってしまいました..」

「そう言ってくれるのは嬉しいんだが、お前さんは昔俺とどっかで会ったか?お前さんみたいな美しい女だったら忘れないと思うんだが、一応名前を教えてくれないかい?」

俺はそう女に問いた。

すると女は、

「まぁ!美しいだなんて..感激です! そういえば名乗っていなかったですね。私の名前は恋雪(こゆき)と申します..近々貴方様の妻になる者です。」

俺は恋雪が告げた言葉に固まってしまった。妻?恋雪が?ついさっき会ったばかりのこんな美しい女が?

俺が硬直していると、恋雪が、

「あぁ♡この姿だと分からないですよね..。この右脚を見れば、分かりますか?」

そう言って恋雪は着物に隠れた己の右脚を曝け出した。

「その傷ついた右脚..今朝助けた狐か!!」

「はい♡その通りです♡私あの時貴方様に惚れてしまいまして、もう今日のうちに貴方様と結婚しようという限りです♡」

「そうは言ってもお前さんは狐ではないかっ..人間である俺とお前さんは結婚出来ないはz「だから何だと言うのですか???」」

俺は急に発せられた恋雪の圧に声が出なくなった。

「貴方様は優しいお方なのです!!罠に掛かってしまった私を救ってくださった。ただ1人のお方なのです!!」

「それなのに貴方は自分を卑下して…あぁ分かりました私以外の雌に誑かされたんですね??そうでしょう?そうなのでしょう?!?!」

「あっ♡思い付きました♡貴方を私の術で惑わせばいいんです♡そうすれば、貴方も私を見てくれる、自分を卑下しなくなる♡」

俺は今まで美しかった恋雪の姿がどんどん恐ろしく思えた。

俺は振り返り逃げ出そうとした..

だが体が動かない。俺は恐ろしさの余り息が切れ、動転してしまった。

耳元で恋雪の甘い息がかかる。

「あぁっ♡貴方の驚いた顔、瞳全てが愛おしいです♡家に私を上げてしまったのが運の尽き♡今朝は私が罠に掛かっていましたが、今罠に掛かっているのは貴方ですね♡

残念ですが♡私は優しくないので罠は外しませんよ♡寿命を伸ばして永久に罠に掛けて上げます♡大丈夫ですよ?快楽で貴方をずうっと堕として差し上げますから♡」

「さぁお布団に行きましょう♡私の術で作った柔らかいお布団です♡」

術をかけられたのだろうか.い.し..き..が..







「愛していますよ♡あ♡な♡た♡」





恋雪さん視点も好評だったら上げたいですby主






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