第20話 配信するようです②-2 ※ビューワ 1行×32文字以上

  [よし! お金の話をしよう!]


 はっ!

 配信中だったーー。


「ごめんごめん! お金かぁ。この前ね。訓練でスライム討伐に行ったんだ。野外でしかも森の中で戦ったんだけど……場所はいっか。意外なんだけどさ、スライム強かったよ。なんか皮膚とか溶かしてくるんだよね」


  [スライムって強いんだよ]

  [ドラ〇エのスライムが弱いからみんな勘違いしてるよね]

  [最弱モンスターじゃないの?]


「コレなんだけど普通の石というかガラスに見えるよね」


 小さい石がビッシリと入ったコルク栓のガラス小瓶をカメラの前に出す。


  [ピンボケしてる]

  [近すぎ]

  [なんも見えん]


「え? 本当だ! ボケてる。このへん? ここかな。よし、ここだ。これさ~。透き通った石に見えるでしょ? 実はスライムの魔石なんだよ」


  [石にしか見えん]

  [全画面で見てみるわ]

  [スライム何体分なの? めっちゃ石あるやん]

  [え……]


「52個かな。だから52体分。もっと沢山あったんだけどさーーーー。うん」


 みんなが、討伐訓練で森の中にいるスライムを競い合って狩りまくったのを思い出した。

 途中からロング副団長とお茶したり、石を回収して遊んーーん‶ん‶。


  [なんだガラス玉か! やっぱり嘘だな]

  [アレ……]

  [お前、テレビでよくやる人気ランキング見てもヤラセだって騒ぐ

   タイプだろ]

  [喧嘩はやめて~]

  [ん?]


「喧嘩はしないでね。前も言ったけど信じる信じないは自由だから! 信じない人は見ない選択してね」


  [あ]

  [普通のガラス玉じゃさそう]

  [んん?]

  [よくみて]

  [何何何?]

  [おい、おまえら。よく見ろ]


「よく見る?」


 小瓶が映った配信画面を見る。

 5ミリ程度の石が、2センチぐらいに拡大されて画面に映っていた。

 何かあるのかなと5秒ぐらい見続けた。

 透明なガラス石だと思っていたら、石の内部に細かいクラックがある。

 亀裂なのか模様なのかなーーーーっと思ったら、微妙に動いてる?


「私、手が震えてる? アレ、模様みたいなクラックみたいなのがもわ~んと動いてる? なんだこれ? みんなにも見えてる?」


  [いや、ナンダコレってわからんしww]

  [まぁ、手の震えもあるけど……]

  [アハ体験]

  [初めに見つけたやつ、凄いな]

  [俺デース]


「もしかして見えるって事はみんなも魔法使えるんじゃない? しらんけど! 魔石って魔力が含まれてるんだってさ! これさ、くず魔石っていうんだけど」


  [くずww]

  [スライムかわいそす泣]

  [ひでぇww]


「わ、私が初めに言ったわけじゃないんだからね! MP1が含まれていて、魔法を刻印すると使えるんだって! また詳しいことは調べて追って報告するね」


  [なんか面白くなってきた]

  [これで金策できる?]


「そう、それが言いたかった! 脱線しちゃってごめん! そうなの。魔石をギルドで売れるんだって! このく、くず魔石はくず魔石屋しか引き取ってくれないけどね」


  [倒せば倒すほど金持ちじゃあぁ!!!]

  [金は大切!]

  [くずじゃない魔石持ちは強い魔物なんじゃないの? 倒せる?]


「そ、そうだった……。いや、そこは勇者君がいるからね!」


  [勇者がいなければ、ビビは野垂れ死にするぞ]

  [やっぱ、転売だよ]

  [<1,000円>ヴィヴィオラ様へ]

  [買えるのはそっちの世界にもあるものだったよね。スパイスから

   始めるのがいいよね]

  [ナイスサンクスチャット!]

  

「いつもサンクチャありがとう!大切に使うね」

  

  [ナイスサンクチャ]

  [塩、砂糖、あと胡椒か]

  [ナイスサンクチャ!]

  [A5の和牛とかはどうだろう?]


「塩? 砂糖? 売れるの? こっちの世界にもあるよ。あ、でも胡椒はあんまり見てないかも! 確かーー、歓迎パーティーの時に胡椒がステーキにかかってた! 和牛もいいね。こっちは結構赤身肉がでてくるかな」


  [普段まったく見ないのであれば高級品の可能性ありじゃない?]

  [胡椒売れるぞ!]

  [昔スパイスは金や宝石と同じくらいの価値だったんだぜ]

  [あと酒とか?]


「肉もスパイスも酒もいいね。食べ物系ばっかりだけど。フフ。商人ギルドがあるから、そこで売ればいいのかな?」


  [多分、そうだね]

  [生存おめでとう]

  [おめでたい! こっち暗いニュースばかりだったからね]

  

「え? なんかあったの?」


  [あのテロで死んだ人達の遺体が見当たらないっていうニュースが

   毎日だよ]

  [なんか、あの周辺地域入れないようだよ]

  [被害ギリギリ免れた家の人も、追い出されたって取材受けてた]


「木端微塵になったって言ってたけど…………そ、そうなんだ」


  [確かに木端微塵説もあるよね]

  [でも、まったくの破片もないのもおかしいから、それはないな]

  [ヴィヴィも巻き込まれたとか?]


「へ、へぇ……私は普通の召喚かな!?」


  [普通の召喚ww]

  [そうだよね]

  [ジーーーーーー]

  [もうすぐ1時間なのをみんな知ってるか?]


 本当の事言ったら人気配信者になれる! って一瞬思ったのは事実。

 でも、大騒ぎになったりしたら、いつも応援してくれる人が、知恵を貸してくれる人が埋もれてしまう。

 365日の期間限定配信生活だから、それは本意じゃない。

 

「1時間!! まぁ、偉い人が調べているなら何か結論がでるよ。なんか、今日はほぼ異世界紹介で終わっちゃった。フフフ。それもいいよね。今日はここまでにしよう。今日もご視聴ありがとう。バイバイにーにー!」


  [おつにー]

  [おつかれ]

  [おつーにーに]



 LIVEを切る。


通知 入金<1,000円>サンクチャ代が入金されました

   残金<8,252円>


 よし、今は欲しいものもないしとゲーミングチェアから立ち上がり、自室に戻った。

 部屋に戻ると真っ先にドアの前の歯磨き粉で作った三角の山を見た。

 崩れてない! 綺麗な三角の山のまま。

 ピアスはすぐに装着せず、しばらく様子をみたけど、やはり誰かがくる気配はない。

 やはり、監視魔法はピアスで当たりのようだ。

 これで、気兼ねなく配信部屋に行けそう。

 インターネット検索ができないので、みんなの知識頼りが申し訳ない気持ち。

 みんなの知恵・知識のお陰で逃走してもなんとか生きていけそう。

 落ち着いたら、スパイス商人になるのもいいのかもなぁ。

 胡椒は朝食とディナー、食堂でのランチには全く出てこない。

 それだけ、希少価値が高いのなら助かる。

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