第11話 ネットショッピングするようです①
通知 入金<800円>
通知 入金<4,500円>メンバーサブスク代が入金されました
残高<5,300円>
おおぉ! 入金通知がポップアップされた。
フラッペ代としてSNSを通じてくれたお金とメンバーサブスク代、いわゆるyouLIVE-siteのヴィヴィオラ配信応援の為の月額費。
残金5,300円……あれ?
今までの私のお金は?
20万円はあったはず。
PCを新調しようと貯めておいたのに!
ふぇぇぇん。私のおかね……。
文句をつけたいけど、配信できないと召喚に応じないってわがまま言った手前、涙をのんで受け入れるよ。
くっ!
ぐっ!!
ひぃ~ん!!!
いただいた5,300円、大切に使わせていただくね。
それにしてもショッピングサイトかぁ
使えるんだったら嬉しい。
早速、youLIVE-siteのショッピングサイトを開いてみる。
youLIVE-site364 ショッピング
いつものショッピングサイトだ。
どれどれ?
頂いた5,300円で……フラッペチーノじゃないけど、今必要なもの……。
そうだ、歯磨き粉が欲しいかも。
歯ブラシはある、何かの硬い毛で痛いけど。
でも歯磨き粉がないんだよね。
いつも愛用していた有名メーカーサントスタの
[販売できません]の文字
「あれ? ダメじゃん。購入できない。じゃあ、これは? これも? これも?」
ほぼ[販売できません]の文字が並んでいる。
えーっ、まったく使えないじゃない。
[販売できません]の文字を何度もクリックする。
すると突然[世界に影響を与えるものは販売できません]の文言に変化した。
「世界に影響を与える……、〖ケルンジリア〗に影響を与えないものならオーケーって事? 何が買えるんだろう? あっ! これなら買える! なになに? 粉歯磨き粉? 粉? どうやって使うんだろう……天然由来100パーセント……」
なるほど、影響ってそういうことか。
ケルンジリアでなんらか材料があって、作成できるものなら購入できるんじゃないだろうか。
推理がただしければ、こういうことだ。
【購入できる シャツ】
素材生地……綿100%
ボタン……ウッドボタン
糸………シルク糸
【購入できない シャツ】
素材生地……ポリエステル95% 綿5%
ボタン……プラスチックボタン
糸………ポリエステル糸
イメージ、中世ヨーロッパぐらいの時代で作ることができるものって感じだね、多分。
いつも使っている398円の歯磨き粉は、この世界に過ぎたものって感じなのかな。
あのフレッシュミントと磨いた感じがでるあの泡々、もう味わえないなんてーー。
「仕方がない。お試しサイズ買ってみるか……520円。天然由来や素材は手間がかかるのか高いんだよね」
買い物カゴに入れて購入ボタンをクリックする。
残金<4,780円>
どうやって届くんだろうとワクワクしてドアの方を見つめていたら、段ボールがトサッとドアの横に置かれた。
「置き配じゃん! 誰が届けてくれたの!」
この配達のスピード。
人間業じゃない。
虎さまが、代理購入して、商品詰めて、配達しているのを想像して笑いがこみ上げてくる。
早速段ボールに近づく。
相変わらず、段ボールが不必要に大きい。
「そうそう! コレコレ! この意味不な大きさ」
フフフ、確かにいつも使っているショッピングサイト間違いない。
ガムテープを丁寧にはがして蓋をあける。
すると、段ボール底に直に白い粉の小さな小さな山があった。
「ケースはどこ! 衛生商品なのに衛生が置いていかれてる」
粉を両手に乗せると段ボールがキラキラと輝きながらゆっくりと薄くなり消えた。
あー、キラキラして綺麗だなぁ……じゃない!
「うわぁん、もう戻ろう」
帰ろうと思ってドアの前に立つと、ドアが自動に開くのありがたいね。
自室に戻ってきた、手に白い粉を直にのせて。
さて、この白い粉改め粉歯磨き粉をどうしようか?
まずは、入れ物を探さないとと部屋をウロウロしていた。
そうだなぁ、この水差しのコップをーー。
コンコン。
ドアがノックされた。
ビクっと身体をこわばると同時に手から粉が雑にコップに入る。
わぁ、粉が!
びっくりして粉が少しコップからこぼれた。
あ~~! 粉がーー! 高かったのに……
「ヴィヴィオラ様、いらっしゃいますか?」
リーナさんではない女性の声だ。
声からすると年配の女性だろうか?
「は、はい。いますよ……」
失礼しますと入室してきた。
この女性は、リーナさんの上司かな?
リーナさんが歓迎パーティーの際「メイド長、申し訳ございません」と謝っているところを見た気がする。
そんなメイド長さんが「寝る前に何か飲み物や夜食はいかがですか?」との事らしい。
戻ったタイミングだったのでびっくりした。
たまたま、タイミングがそれだけだっただけよね?
でも、視線は色々動いているなぁ?
咄嗟に粉歯磨き粉が入ったコップを背中に隠す。
「えぇ~っと、何かありましたか?」
「まだ、起きてらっしゃったのですね」
「えぇ、まぁ。今日は疲れ過ぎで興奮して眠れないっていう感じみたいな? そ、そうだ。寝付けないのでホットミルクとかあればうれしいかな~?」
どこでも眠れる体質で寝付けれないということはないのだが、なんとなく話の流れで注文した。
メイド長さんはかしこまりましたと恭しくお辞儀をした、そして。
「お部屋の外とかに行かれてましたか?」
ドッキーン!
配信部屋に行ってたのバレた?
「い、行っていませんけど……」
「失礼いたしました。先ほど国王陛下が飼っている狼が逃げたようで、部屋の外にでませんよう……」
「おおぉぉぉーかみ? そ、それは危ないですねぇ!」
ちょっと声が上ずってしまったけど、狼が逃げたのならこんな声になるよね!
異世界の狼、象ぐらいの大きさかもしれない。
メイド長さんは部屋を出ていき、しばらくしてホットミルクとクッキーを持って戻ってきた。
「もし、外出される際はお呼びください」
「狼ですもんね。怖いので大人しくしておきますね。ハハハ」
クスりとも笑わないメイド長さんは、そう伝えると机にミルクとクッキーを置いて出て行った。
そうかぁ、狼かぁ、犬を飼うみたいなものかな? って思うわけないよね、私がひねくれているだけ?
いや、地球でも中東の金持ちはトラやライオンとかペットにするからありえるか。
金持ちは怖いもの知らずだなぁと動画を見たことを思い出した。
……う~ん、う~ん、うん。
メイド長さんの口振りと来るタイミング、もしかしたら、何らかの監視がされているかも?
盗聴の魔法とかあるかもしれない、だって異世界だもの。
少し日にちおいてもう一回、鍵を使ってみよう。
気のせいだといいんだけどなぁ。
その結果次第では、お城であまり鍵をつかわないほうが良いのかもしれない。
首から下げた鍵を握りしめた。
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