第20話 闇の痕跡
闇の王との激戦から数日が経過し、李華と佐藤は再び町の日常に戻ろうとしていた。だが、闇の力を完全に打ち破ったわけではないことを二人とも感じ取っていた。町は静かに見えるが、どこか異様な緊張感が漂っている。
李華は中華屋を開店し、いつものように常連客に料理を提供していたが、その胸中には次の脅威に備える決意があった。闇の王を倒したことで、一時的な平穏が訪れていたが、彼女の中にはまだ不安が残っていた。
「闇の力はしぶとい…まだ何かが残っている気がする…」
その時、再び賽銭箱の鈴の音が鳴り響いた。李華はすぐに仕事を中断し、路地裏へと急いだ。そこにはまた新たな依頼書が入っていた。
「影が再び現れた。家族が消え、町の外れに闇の影が見える。助けを…」
李華は依頼書を読み、胸に不安を抱きながらも決意を新たにした。彼女はすぐに佐藤に連絡を取り、再び共に行動することを決めた。
「佐藤さん、影がまた現れたみたいです。今度は町の外れです。」
電話越しに佐藤は静かに応答した。
「分かった。すぐに向かう。どうやら、まだ完全に闇の力は消えていないようだな…」
李華は電話を切り、戦士としての準備を整えた。彼女は再び岡持を肩にかけ、町を守るために戦いに向かう決意を固めた。
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町の外れに到着すると、そこは異様な雰囲気に包まれていた。木々が静かに揺れ、薄暗い霧が漂っている。まるで周囲の空間そのものが不穏な力に侵されているかのようだった。
「これは…ただの影じゃない。何かもっと大きな力が動いている…」
李華はバズーカを構えながら、慎重に前に進んだ。そこには、再び黒い影が姿を現していた。だが、以前の影とは異なり、今度の影は巨大で、まるで町全体を覆うように広がっていた。
「これが…新たな闇の力…?」
突然、影の中から低く冷たい声が響いた。
「よくぞここまで来たな、戦士よ。」
李華はその声に驚き、影の中を見つめた。すると、そこから現れたのは、以前倒したはずの闇の王の姿だった。しかし、彼の力は以前よりもはるかに強大になっているように感じられた。
「あなたは…倒したはずなのに…!」
闇の王は冷笑を浮かべ、ゆっくりと手を上げた。
「私を倒したと思ったか?闇の力は決して完全には消えない。それどころか、お前が私を倒したことで、より強力な力を手に入れたのだ。」
その言葉に李華は驚愕した。彼を倒したことで、かえって闇の力を強めてしまったのだろうか。彼女は焦りながらも、冷静さを取り戻そうとした。
「それでも、私はこの町を守る。どんなに強大な力があろうとも…!」
李華はバズーカを構え、再び闇の王に向けて発射した。だが、闇の王は冷ややかな笑みを浮かべながら、簡単にその攻撃をかわした。
「無駄だ。今の私に、その程度の攻撃は通じない。」
彼は手を振り下ろし、強大な闇のエネルギーが李華に向かって押し寄せた。李華は必死に防御しようとしたが、その力は圧倒的で、彼女は地面に叩きつけられた。
「くっ…このままじゃ…」
李華が絶望に近い感情を抱き始めたその瞬間、背後から佐藤が駆け寄ってきた。彼は再び古い巻物を手にしており、それを広げて闇の王に向けた。
「李華、今だ!この巻物の力で奴を封じ込める!」
巻物から光が放たれ、闇の王を包み込むように広がった。その光に反応し、闇の王は苦しむように後退した。
「なに…この光は…?」
李華はその隙を見逃さず、バズーカを再び構えた。彼女の中で、新たな決意が沸き上がっていた。闇の力を完全に封じ込めるためには、これまで以上の力が必要だと感じていた。
「これが…最後の一撃よ!」
李華はバズーカにすべての力を注ぎ込み、再び闇の王に向けて放った。強烈な光が彼の体に直撃し、周囲に轟音が響き渡った。闇の王はその力に耐えきれず、徐々に消えていった。
「この私が…再び…」
彼はそう呟きながら、ついに完全に消え去った。闇の王は二度とこの町に戻ってくることはないだろう。
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町に静寂が戻り、李華は地面に膝をついた。彼女は疲労困憊しながらも、闇の力を完全に打ち破ったことを感じていた。佐藤が彼女に駆け寄り、優しく声をかけた。
「よくやった、李華。今度こそ、闇の力は完全に消えた。お前のおかげで、この町は守られたんだ。」
李華は静かに頷き、息を整えた。
「ありがとう、佐藤さん。でも、私はいつでも戦えるようにしておきます。町を守るために…」
彼女は再び立ち上がり、町を見渡した。闇の王との戦いは終わったが、これからも彼女には守るべき町と人々がいる。彼女は決して戦士としての役割を忘れることはないだろう。
「これからも、この町を守り続ける…」
李華は心の中でそう誓いながら、再び中華屋へと歩き出した。平和な日々が戻り、町には再び笑顔が広がっていく。彼女の戦いは終わりではなく、これからも続いていく。
### 完
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