第8話 裏社会のボス登場

倉庫で得た情報を元に、李華と佐藤は次の行動を考えていた。街の地下に眠る「強大な力」が悪党たちの手に渡れば、この街は完全に支配されてしまう。李華の戦いはさらに厳しいものになると感じていた。


「地下にある強大な力って一体何なんでしょうか…」


李華が悩むように言うと、佐藤は渋い顔をして答えた。


「おそらく、この町に古くから伝わる伝説だろう。町の地下には古代の力が眠っているとされ、その力を手に入れれば、どんな敵も支配できると言われている。だが、それが具体的に何なのかは誰も知らない。」


「でも、その力が敵の手に渡れば…」


「そうだ。この町は終わる。」


李華は深く息を吸い、気を引き締めた。


「私たちが先にその力を見つけて、守るしかありませんね。」


佐藤は頷き、何かを決意したかのように立ち上がった。


「だが、その前に一つやるべきことがある。裏社会のボスを引きずり出さなきゃならない。」


「ボス…?」


「そうだ。影の男を操っている本当の黒幕がいる。この町の裏社会を牛耳るボスだ。そいつを倒さない限り、賽銭箱が消えたことや、街に潜む悪党たちの動きを止めることはできない。」


李華は佐藤の言葉に重みを感じながら頷いた。


「そのボスを見つける方法は…?」


「俺に考えがある。裏社会でのつながりを使えば、あいつを引き出せるかもしれない。ただ、その計画にはお前の力が必要だ。」


「もちろん、協力します!」


佐藤は少し微笑んで、計画を説明し始めた。


---


その夜、李華と佐藤は街の外れにある高級クラブに潜入することになった。その場所は、裏社会のボスが時折現れると言われている秘密のクラブだった。二人は変装して客として入り込み、ボスの動向を探ることにした。


「ここは、普通の人間はまず入れない場所だ。だが、俺たちはうまく潜り込んだ。気を抜くなよ、李華。」


「ええ、わかっています。」


李華は緊張感を持ちながら、店内を見回した。豪華な内装に、怪しげな雰囲気が漂っている。金持ちや怪しげな連中が集まり、密談や取引が行われているのが明らかだった。


「ボスが現れるなら、今夜しかない。」


佐藤が低い声で言うと、李華は目を光らせた。そして、しばらくして店の奥に豪奢な椅子が置かれ、その前に一人の男が姿を現した。彼の名は「黒龍(こくりゅう)」。街の裏社会を支配している張本人だった。


「…あれが、黒幕?」


李華はその男を見て一瞬息を呑んだ。黒龍は冷酷な表情を浮かべ、周囲の者に指示を飛ばしている。彼の姿からは凄まじい威圧感が漂っていた。


「間違いない、あいつが黒龍だ。だが、奴は警戒心が強い。そう簡単には近づけないぞ。」


佐藤の言葉に、李華は少し考えた後、静かに岡持を取り出した。


「派手に行くしかなさそうですね。」


「やるのか…?」


「ええ、今夜ここで決着をつけます。」


李華は席を立ち、堂々と黒龍の方へ向かって歩き出した。周囲の客たちが驚きの表情を浮かべる中、彼女は黒龍の目の前に立ち止まった。


「あなたが、この町を混乱に陥れている張本人ね。」


黒龍は興味深そうに李華を見つめ、口元に冷たい笑みを浮かべた。


「ほう、誰かと思えば…お前が噂の戦士か。」


「あなたを倒すために、ここへ来たの。」


李華は静かに岡持をバズーカに変形させた。周囲がざわつき、黒龍の部下たちが武器を構えたが、黒龍は冷静なままだった。


「俺を倒す?面白い…だが、お前一人で俺に勝てると思っているのか?」


黒龍が手を軽く上げると、部下たちが一斉に李華に襲いかかってきた。しかし、彼女は素早くバズーカを構え、次々と敵を吹き飛ばしていく。


「岡持、バズーカモード、発射!」


轟音と共に強力な衝撃波が部下たちを次々と倒していくが、黒龍は微動だにしなかった。彼は不敵な笑みを浮かべながら、立ち上がった。


「戦士よ、お前は俺の力を知らない。だが、その力をこれから見せてやろう。」


黒龍の体が不気味に光り始めた。彼の力は並みの敵ではないことを感じた李華は、緊張感を高めた。


「次の一手が勝負よ…!」


李華はバズーカを再び構え、黒龍との直接対決に挑む覚悟を決めた。街の未来を懸けた戦いが、今ここに始まろうとしていた。

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