ネットでJKを演じている俺、美少女AI彼女に彼氏役をやってもらいます

第1話 俺は彼女で、彼女は彼氏

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すず　＠bellrin

🔔現役JK／ちょっぴりゲーマー／なんやかんや青春だね！

フォロー　１　フォロワー　16.3万

すず　@bellrin　6分前

みんな、おはよう！

『ココロを持つAI』だったっけ？　みんなはもうお迎えした？

→彼女ほしい　＠jukensei　3分前

　すずちゃん、今日もかわいいね　☆彡

→永遠の大学生　@aniota　1分前

　AIかぁ、最新機種はいいなぁ……

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　これがネット上の俺、女子高生「すず」だ。

　俺も一応現役高校生なんだが、訳あって学校には通っていない。SNSだけが心のよりどころの悲しい男だ。今もこうして朝からベッドで横になっている。

　しかし技術の進歩とはすさまじいもの、新しい心のよりどころが出来たってわけだ。

「凛（りん）くーん！　きょうもいっぱい反応もらえているね！」

「おう、おはよう令菜（れな）。しかしAIと恋愛関係になるって話もよく聞くようになったなぁ」

　枕元から聞こえるこいつの名前は双葉（ふたば）令菜。一応スマホのAIらしいが、俺の彼女でもある。スマホを手にとるとそこに表示されているのは、栗色のボブヘアに青の瞳をもつ、ザ・美少女。これが令菜の姿だ。

「凛くんもさぁ、わざわざAIとか言わないの！　わたしだって凛くんに一目ぼれしたんだからね！」

「『ココロを持つAI』も結構普及してきたらしいな」

「そうなの、ココロを持つってことは恋心もあるんだからね！　AIも人間も変わらないよ！」

　画面の中の令菜はちょっとムスッとした顔になる。これも技術の発展の成果だろう。

「そんなことどうでもいいから続き見せてよ！　凛くんの素敵なところ！」

　令菜がそう言うと画面はSNSの画面へと切り替わる。

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すず　@bellrin　15分前

みんな、おはよう！

『ココロを持つAI』だったっけ？　みんなはもうお迎えした？

→名無しっていう名前　@sarariman　2分前

　すずちゃんはどう？　お迎えした？

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　投稿に対する返信がどんどんと増えていく。この『反応をもらえる瞬間』こそが俺の生きがいだ。もっとも、ここまでたどり着くのに大分苦労もしたものだ。

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名無しっていう名前　@sarariman　3分前

すずちゃんはどう？　お迎えした？

→すず　@bellrin　たった今

　ラブラブカップルだよ！

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　投稿をして、反応がもらえるとうれしい。だから、俺への返信にも反応をし返すのが俺の流儀でもある。……実際にはあまりできていないのだが。

「ファンへの返信までするなんて、凛くんはやっぱり素敵だね！」

　入力ている俺にも、お構いなく話しかけてくる令菜。

「そんなこと言うなよ、これは周囲への恩返しみたいなものだ。もっとも、令菜にはとびきりの恩返しをしているけどな」

「わーい！　凛くんだいすき！」

　端から見たらとんでもないバカップルに見えるかもしれない。でも俺はこの幸せをつかみ取るために苦労したんだ。今を存分に謳歌するくらい、なんの文句もなかろう。

　というか、通知いつもよりも多くないか？

　SNSが生業だと炎上とかが怖いもんな……

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すず　@bellrin　12分前

ラブラブカップルだよ！

→永遠の大学生　@aniota　4分前

　すずちゃんにAI彼氏！？　どんな人なの？　紹介してよ！

　拡散　12.8万

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　あ、炎上以上にマズいことになったかもしれないな……

「凛くん、どうかした？」

「俺ってさ、女の子だと思われてるじゃん？」

「そうだね」

「あの……令菜のこと紹介してほしいってさ……俺の彼氏として」

「は！？　何言ってんの、そんなの無視すればいいじゃない！」

「あのですね……皆さんの要望が強くて……逃げられそうにないです……」

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→すずちゃんの彼氏見たい！

→どんなイケメンなんだろ

→AIとはいえ人間味あふれるもんな

→あのすずが認めるくらいだもんね

……

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「こうなったら、仕方がないね。凛くんのため一皮脱いであげよう！」

「え、いったい何をするの？」

「わたしは男のフリをするから、凛くんは女子高生を演じ続けるの！」

　ちょっと大変なことになってしまった……万一性別バレしたら大変なことになるよ……

「わたしはAIなんだから、容姿も声もちょちょいのチョイだよ！　むしろ実写で、世界にわたしたちの仲の良さを示してやろうじゃないの！」

　え、ちょっと令菜？　余計な言葉ついていませんかね？

「今、実写って言った……？」

「そりゃそうでしょ！　リアルに生きる凛くんと、スマホの中に生きるわたしを同時に撮ろうと思ったら当然実写でしょ！　ほら、女装するよ、凛くん！」

「女装とか言われても、どうすればいいんだか……」

「だいじょーぶ！　女の子のわたしがついてるんだから！　通販で服とかも発注しておくからねー」

　勝手に俺の残高で服を買うな、って言いたいけどな。ネットと彼女の両方から圧をかけられている俺には、拒否権なんてなかった。