6話 選択の代償【後編】
俺「ん……んん……? 」
自身から発したとおは思えない高い声が聴こえる周りを見ると
よくある知らない天井と窓から見える景色から1階より上の建物で
ある事、そしてベッド回りにカーテンのようなものがある事から病院ではないかと推測が立った。
俺「っつ…… 」
頭も痛いがそれだけじゃない身体全身が痛い手も足も自分じゃないみたいだと顔を覆うように手をはこぶと、か細い白い手が見える。
俺「はああ!? 何だよ俺の手!? ってかこの声何だよ!? 」
思わず驚いて声を荒げてしまう大きな声で身体が軋むような痛みがまた襲ってくる
俺「ングッ…… 」
うずくまりながら耐えていると、スーーーッと引き戸が静かに動く音と共に、タッタッタッと駆け足で入ってくる複数の足音が聞こえる。
竜也「ヨル!? 大丈夫か!? ヨルなんだよな? 」
俺「た…… 竜也…… よぅ…… そうだよヨルだよ 何か手とか小さいみたいだけどさ…… とりあえず看護師さん呼んでくれないか身体がねじ切れそうな痛みが止まらねえ…… 」
断続的な痛みに身体を抱きしめるようにうずくまる。
竜也「おうっ! ちょっとごめんなナースコール押すな! 」
竜也がナースコールを押すと声が天井から聴こえてくる。 竜也がかわりに応対してくれて看護師さんがすぐ向かうと言う事で、少しホッとする。
竜也「苦しい中混乱もあるかもだけど先に言わせてくれ……! 本当にすまん!俺が全て悪いんだ…… ヨルに今後何があっても俺が責任持つしだから本当にすまん……! 」
俺「い……いや…… クッ…… 良くわからないだけどさ…… 状況がわからないのに告白みたいな事いわれても困っちまうぜへへへ」
痛みに堪えながら冗談を言いつつ看護師の到着を待つ
俺「クッ…… 所でその後ろの人は誰? 」
安藤「わたしは、安藤と申しますVR社の人間です。しかしながら私との話よりまずは痛みをどうにかしましょう…… 大変お辛そうなので…… わたしは落ち着くまでいないものと思って下さい。待機しておりますので…… 」
そう言うと、彼女はカーテンから外に出て行く、それとほぼ同時に看護師と医者が到着する。
医者「君は、浅野 よる君で間違いないのかね? 」
俺「はい…… そうです…… 痛みが凄いんです痛み止めとか…… ないっすかね」
医者「そうか、君は失礼だが男性であったが間違いないかね? 」
俺の願いを無視して医者は質問を続けてくる
俺「いや そんな当たり前の事はいいじゃないっすか痛いんすよ…… 何とかして下さい」
医者「そうか、結論から言うと医者として君に投薬指示は出来ないんだ……」
(この痛みで苦しんでいるのに!? どうして!? 俺の意識の無い間に顔でも蹴って恨みでもかったのか……?)
黙っている俺をみかねて医者が言葉を続ける
医者「君はね…… 今何故かわからないが 医学的にも女性になっているんだ…… しかも身長も縮んでいるんだ 原因がわからない以上…… 医者として投薬をしてあげる事が出来ないんだ…… 本当にすまない……」
嫌な医者かと思ったがとても申し訳なさそうに頭を下げるところをみると、とても患者思いの医者なんだと言うのが伝わってくる。
俺(「ん……医学的にも女性……? 」)
心の声と発する言葉がリンクする…
俺「クッ……女性ってあの女性ですか? 」
医者「混乱するのもわかるが…… 君が考えているとおりで 私の補佐をしている看護師さんの性別と同じ女性の事を言っているよ」
説明していると、なぜか看護師さんは笑顔で手をふりふりと振っている。
医者「まあ 投薬は出来ないのだが…… 君が気絶してから病院に到着まで痛みに苦しんで暴れる事は今は収まっている事から 時間と共に減少しているのは間違い無い様子ではあるから 大変すまないがいましばらく病室で過ごしてもらう事になる もちろん…… 急変等で急を要する場合には私の責任で最大限君を助けるから安心してくれ」
この痛みに最低でも数時間は苦しまないといけないのか、そして急変の恐れもあるから病室からも出られないという事実を告げられ絶望から意識を手放してしまう。
医者「ふむ…… 脈等にも異常が無いし 突然の事で混乱してしまったのだろう…… 痛みもあるし眠っている方が彼にもいいだろうから起こさずにいようか…… 何かあればすぐ気づけるように看護師で交代をお願いしてもいいかい? 私はそろそろ行かなくてはいけなくてね」
状況確認と簡単な診察業務指示を伝えると医者は退室していく。
看護師も詰所で業務共有をするとの事で退室していく。
残されたのは、気絶から睡眠へ移行したヨル、竜也そしてVR社の安藤のみ
寝息のみが聴こえる静かな空間となり、竜也のみが気まずいという地獄のような
状況が展開されるのだった
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