RPG
なつよう
プロローグ
「_そなたに、『勇者』の称号を、そして『勇者』に相応しきこの『正善の剣』を与える。」
頭を垂れて王の言葉を聞く。
言葉と共に目の前に差し出された剣を両手で受け取れば。
「!」
ワッ!と割れんばかりの拍手と称賛の声が大聖堂に溢れた。
責任や期待が乗った剣は両手で支えても重々しく、人々の声援は勇者の覚悟を増長させ頭から押しつぶさんとする力であった。
しかし同時に『勇者』という役職が誇らしく、背中を押される感覚に自然と背筋が伸びる。
「謹んでお受け致します。」
真っ直ぐと前を見すえ王に告げる。
勇者の言葉に王は満足そうに頷くと続けて同じパーティである仲間たちへと向き直る。
次々と仲間たちにも役職と相応しい武器が与えられていく。
_勇者は大聖堂の玉座の奥に存在する主神ティニアの像をしっかりと見つめた。
自身が与えられた役割を全うできるよう。
仲間が与えられた役割を全うできるよう。
勇者として恥ずべき行いを決してしないよう。
きっとこの国を救わん。
と。
そう心に誓う。
勇者は正しく勇者であった。
…王が最後の仲間にきちんと授与し終え、人々の拍手と声援が大聖堂を包んで落ち着いた頃。
王の隣に座っていた姫が悠然と立ち上がり、パーティの目の前に降り立った。
「諸君ら、勇者一行よ。諸君らはこの国のために何を求め何を為さんとする。」
天の上からの鈴の音が心に問いかける。
勇者と仲間たちはお互い横並びで顔も合わせることは無かったが、思うことはただ一つであった。
「もちろん__この国のために、平和を求め魔王と魔族を打ち滅ぼさんと誓います。」
全員が一言一句違わず覚悟を口にする。
王と姫が緩慢に頷き王族としての礼を行うと、大聖堂はその日1番の喝采に包まれた。
この日、勇者は『勇者』となり魔王を倒すための冒険の幕が上がった。
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