第2話「少女の憂鬱」
私の名前は中島メイ。
漢字で書くと中島五月だ。「なかじまさつき」ではない。「なかじまめい」だ。五月と書いて英語表記の「MAY」と呼ぶ。
この漢字が嫌で名前を書くときは「五月」じゃなくてカタカナで「メイ」と書いている。
私には好きな人がいる。
十歳歳の離れた叔父さん。
私は、叔父さんが大好きだ。彼は優しくて、いつも私のことを気にかけてくれる。叔父さんとの思い出を語りだすととまらなくなるくらいいろいろなエピソードがある。だけど最近、私の心の中には彼に対する特別な感情が芽生えていることに気づいた。私は、彼にどう接すればいいのか悩んでいた。
元々私は引っ込み思案なところがあったのだが、中学の時に友達ができずに悩んでいた私の相談に乗ってくれたのは叔父さんだ。話すのは苦手だったが話を聞くほうが好きだったので意識して同級生の話を聞くようになったら段々と友達が増えていった。
でも今回ばかりは叔父さんに相談できない。叔父さんに対することだからだ。
そんな私の気持ちと裏腹に、うちの学校では「奇跡の世代」と呼ばれる十人の美少女がいる。なんて入学当初から言われてどういうことか私がその一人に選ばれてしまっていた。
あれからもう随分と時間は流れたが、何かある度に私が十大美少女(この呼び方もどうかと思う)のに選ばれたことが話題になっている。友達は「メイ、モテモテだね!」とからかうけれど、私の心の中には叔父さんのことしかない。彼に近づくために、選択授業では叔父さんの授業に積極的に参加することにした。彼の目に留まるように、頑張っている。
*
ある日、友達と話していると、「メイ、佐藤先生に告白してみたら?」と言われた。
どうして私が先生の事を好きか知っているのか聞いてみた。
「ねえ。どうしてそれを知っているの?」
「えっ。ちょっと親しい人ならみんな知っているよ」
私の問いに友人はそう言っていた。一応隠していたつもりではあるのだけどあっさりと周囲に知れ渡っていたみたいでちょっとショックだった。
「それで、メイは佐藤先生に告白しないの?」
「ううん。それはやめておく」
告白なんて、できるわけがない。相手は血が繋がっていないとはいえ叔父さんなのだ。
でも、彼に私の気持ちを伝えたい。
「叔父さんが好き」
たったこれだけ言えば済む。……いや、ただ叔父に対しての好意と捕えられて終わってしまうかもしれないが。
どうすればいいのか答えが出ないまま、考え続ける日々が続いた。
May @kunimitu0801
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Mayの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます