カモミール*文学フリマ大阪12

菫野

カモミール*文学フリマ大阪12

カモミール柄の葉書が届いた日あなたに渡す風船がある


人あふれあふれ零れる胸ぬちのしづかな島に三角座り


地下からのエレベーターがつながつて平行世界にも雨が降る


さびしみの壁の穴へと(あれは目だ)消え入るわたしさよならわたし


渡すといふ言葉に水深2センチの湖がほら、ここ。見えますか


みづいろの物体ばかり集まつてわたしの部屋は空へと沈む


あの沈んだ葡萄はモーヴ色の雨いまてのひらに包まれてゐる


ペチコートの野原に碧が(わたしたち)ひろがりやまぬ(海を渡るの)

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カモミール*文学フリマ大阪12 菫野 @ayagonmail

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