モノクロ
もにもに
モノクロ
突然たが、私の住むマンションの一階にはコインランドリーが入っている。24時間営業なので四六時中明かりが灯り、季節の変わり目などの繁忙期には、ひっきりなしに客が出入りする。前述の様な感想だといかにも「ネガティブキャンペーン」が始まりそうな気配があるが、私はその程よい「雑踏感」が小さい頃から割と好きだった。人の気配は勿論あるし「ザワザワ」もする。ただ基本的に来る人達の半数以上は一人で来ているし、イヤホンで音楽や動画を楽しみながらマイワールドに籠もっている事が大抵でもあるため「会話」が無いという、ある種の静寂も一緒に同居する。その静と動が交わる感じに魅力を感じていた。
そして最近もう一つ、コインランドリーに「好意」を寄せている理由がある。それは、洗濯という家事に対し、外出という相反しているとも取れる行為を重ねる事で「日常に刺激」が追加される事だ。
オフモードのプライベートタイムに少し「イタズラ」という名のスパイスを加味している感じ。食器洗いやお風呂掃除には絶対に付いてこない「他人の目」という「鬱陶しいがどこか律せられる」変なオマケ的要素が何処か不思議で、そこにもちょっと興味が湧いている。イタズラっ子の異性のことを最初は嫌いだったが、途中から深く取り込まれるような甘い青春…。まあ、私にはそんな経験などは毛頭ないのだが、兎にも角にもそんな感じの魅力がある気がしていて、大雑把に言えば「何か好き」だ。
人が居るけど、居ないような。
オンとオフが入り交じる不思議な時間。
それは白と黒が入り混じって、なんというか不思議なグレーっていう色の感じ。
グレーのもとは白と黒。
つまりはモノクロ。
「コインランドリーってモノクロなんだな」
そうだった。私はこのモノクロをいつか「白紙に黒い文字」で残したいって思っていたんだ。
色々と動き始めた今、そのタイミングがやっと訪れたんだと思う。
「今年も年に一度の小説コンテスト開催が決定!大賞作品は当社の全面バックアップで書籍化を確約!皆も小説家デビューを目指そう!」
そんな日本随一の書籍サイトにある、コンテスト作品の応募要項を、毎年のようにチェックしていた私は27歳になった今、満を持して「重い腰をあげた」。
そんな実行力も判断力もグレー色の私。でもやっと、白いページに黒い文字で精一杯のモノクロを創っていこうと決心した。これはそんな私の「とっておき」のモノクロだ。
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