母
星咲 紗和(ほしざき さわ)
本編
最近、母のことをよく考えるようになった。家族の中で一番の心配性で、「お金が無い」が口癖だ。少しでも問題があるとすぐにイライラしたり、不安になったりして、時には突然パニックを起こすことさえある。その姿を目の当たりにするたび、僕の心もどこかしら疲れてしまう。お父さんと母親の喧嘩が始まると、正直、居場所を失ったような気持ちになることがある。
お父さんは腎臓病で、透析に通っている。だから、お母さんの不安も理解できる。お金のこと、健康のこと、将来のこと——心配が尽きないのはわかっている。でも、母の不安が重すぎて、僕まで気持ちが休まらない日が続く。そんな毎日を過ごしながら、何か良い解決策はないかと、いろいろと調べてみたり、考えたりする。でも、すぐに解決できるような問題ではないことも知っている。
母がイライラしている時、僕は何もできないと感じる。彼女を少しでも安心させたいと思って、手帳が取れるかもしれないことや、医療費の控除を提案してみたこともある。これで少しは楽になるんじゃないかって思った。でも、現実はそんなに簡単にはいかない。お金の問題が解決すれば、全部が良くなるわけじゃない。母の心の中にはもっと深い不安が根を張っていて、それが何かを完全には理解できない自分がもどかしい。
僕は母の苦しみをどうにか和らげたいと考えながらも、どうしたらいいのか分からないまま日々が過ぎていく。母が不安になるたび、僕もその不安に飲み込まれそうになる。父の病状もあるから、家族全体が不安定な状態でいる。それでも、僕には家族のためにできることがあるはずだと信じたい。
最近は母のイライラを少しでも軽減するために、自分なりに工夫している。母の話を聞く時間を作ったり、一緒にリラックスできる時間を作ろうと心がけているけれど、それでも足りないように感じることがある。共感し、寄り添うことが大切だと分かってはいるが、時々自分の感情も抑えきれなくなる。
母の不安を完全に取り除くことは、僕にはできないかもしれない。だけど、母を支えたい、彼女が少しでも穏やかでいられるようにしたいという気持ちは変わらない。僕にできることは、母の側にいて、彼女が感じていることを否定せず、共にその不安と向き合うことなのだろう。それが今、僕にできる一番の支え方かもしれない。
母が今、どんな気持ちでいるのか、全てを理解することはできないけれど、それでも僕は母を見守り続ける。母の苦しみが少しでも軽くなるように、自分なりに試行錯誤しながら、一歩一歩前へ進んでいこうと思う。
母 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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