第3話 練習問題②ジョゼ・サラマーゴのつもりで

一段落から1ページ(300から700字)で句読点ない語りを執筆、段落などほかの区切りも禁止


革命や事故現場…1日限定のセールの開始直後といった緊迫、熱狂、混沌とした動きの最中に身を投じてる人たちの群集心理。

黙読で読んでわかるか


彼女はまだ幼さが残るほおに煤をつけて立ち尽くし間近で雷が落ちた木の如き硬直した体を揺らして怒り狂った人の群れが美しい表通りを埋めつくすのを見るしかなくまた一歩でも進んだらその流れに飲み込まれてしまうことを理解しながらもおそるおそる辺りを伺い小さな声で最初一声をあげ後ろから豊満な婦人に押されれば今度は腹から声を絞り出し見知らぬ男に押されれば必死に己が手をあげて皆々に押されるままに引き離された先ほど自分の兄と判明したばかりの青年の名を呼ぶが答えるものもなく溺れるようにもがきながら小さな頭の中で恐らく彼は群衆の中に己と同じく飲み込まれたのだろうと理解し彼に私たちは一体どこへ行くのと問いかけたがその涙声も同じ建物を目指す人々の熱狂にもみくちゃにされ飲み込まれ熱い人の波の中で気づかぬまま自らも怒れる波となり民衆の果実を奪い尽くした肥えふとり醜い王に退位を促す流れの一つとして存在していてその最中でも心から望むのは目に見える自らの街に兄や父とそしてできれば既に死んだ母と平和に楽しく暮らすことであったからその望みから引き離されていくことも破壊されてしまう通りや宮殿や寺院思い出の場所も居た堪れずに誰かの隣人とも言えず住人でもないただの波となりただただ涙しながら叫び続けるのであった

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