朝焼けに向かって
雪山 玉子
朝焼けに向かって
第一章
目が覚める
周りを見渡してみるとあたり一面草原だった。境目が見えなくとても広い場所だ
近所にこんなところあったかと考えたがそこで気づいた
家がどこにあるか分からない。それどころか、なぜここにいるか思い出せない
私は情報を整理をすることにし、まずは自分の名前は何か考えた
しかし分からない。思い出せない。
仕方なく情報の整理は後にし、周りを探索することにした
空は綺麗な夕焼けだった
第二章
草原を歩いているとうっすらと建物が見えた
建物の方へ行くと歴史の教科書に出てくるような建物だった
私はタイムスリップか?と思ったがそんな儀式をした覚えはないので切り捨てる
扉をノックしてみたが返事はない
廃墟かと思ったがそれにしては綺麗なので疑問に思った
少し考えて周辺を探索することにした
他にも家あるかなーとかお腹空いたなーとか思いながら歩いていると畑が見えてきた
近づいてみると麦畑だった。人は見当たらない
しかし、人は確実にいると思いもう少し探してみることにした
そうして歩き出そうとすると声をかけられた。
「どちら様?」
私は驚い振り返ってみると麦畑の中におばあさんがいた
声が出ない。出そうとしても出ない。
おばあさんは何も言わない私を不思議がったのか近づいてきた
私は怖くなって逃げ出してしまった
がむしゃらに走って走って走ってどこまでも走った
気づいた時には階段の前にいた
見上げてみると、上の方に鳥居があるのが見える
私は階段を登ってみた
階段を登っているとだんだん冷静になってきた
そこでふと、疑問が湧いてきた
さっき人と出会えたのにどうして逃げ出したんだろう?と。考えてみても全く分からない
そう考えていると鳥居の下に来ていた
思っていたよりも階段が短かったようで驚いて立ち止まっていると声がした
「そこで何しているの?」
今度は声が出た
「分からない…」
思ったよりもか細い声で驚いたが声が出たことに安堵した
話しかけてきた人は少し驚いた顔をしていた
その人は巫女のような服装をしていた
「あなた名前わかる?」
その人はそう問いかけてきた
私は分からないと言うと、その人は困ったような顔をして手招きしてきた。
「そろそろ日が暮れるから中に入りなさい」
そう言って建物の中へと私を招き入れた
空は綺麗な夕焼けだった
第三章
その人は”みこ”と名乗った
ここの神社の跡継ぎらしい
神社の名前は聞き取れなかった
そう話しているうちに応接間についた
お茶とお菓子を持ってくると言ってみこさんは部屋を出て行った
応接間を見渡してみたがこれといって気になるものはなかった
そうこうしているとみこさんが戻ってきた
「どうぞ」
そう言ってお茶とお菓子を差し出してきた
お茶とお菓子は特に変わった点はなかった。よくあるものだ
みこさんは向かいの席に座って話しかけてきた
「改めて自己紹介するね。わたしの名前はみこ。ここの神社の神主の娘で跡継ぎだよ。よろしくね」
「あなたもよかったら…名前分からないんだっけ?」
そう聞いてきた
「はい、そうです。気づいたらここにいて。ここがどこか分からなくてえっと…」
そう答えるとみこさんは安心した顔をしていた。それと同時に不思議なことを言った
「じゃあ、まだ帰れるね」
私は不思議に思い質問した
「どういうことですか?」
みこさんは一つ一つ説明してくれた
ここは現実ではないこと
記憶を取り戻せば帰れること
記憶は必ず思い出せること
そして
「記憶を取り戻して帰るか残るかはあなたが決めることができる。だからあなたが望むならここに残っても良いんだよ」
そう言って微笑んでいた
「あなたはこれから行くあてはあるの?」
みこさんは問いかけてきた。私は無いと答えるとみこさんは、なら一緒に探しに行く?と聞いてきた
「みこさんが良いなら…」
そう返せば、みこさんはじゃあ一緒に行こうかと言って立ち上がり部屋の扉へ向かった
私は急いで追いかけると庭の方へ出た。不思議に思っていると
「抜け出すなら庭からだから覚えといてね」
そう言って裏口からみこさんと一緒に外へ出た
空は綺麗な夕焼けだった
『神社の娘より』
まさかわたしが案内するとは思わなかったな
今まではかんたがしてたから、来た時はびっくりしちゃった
でも最後までやり切ることができたよ
あの時はあんなこと言われて悲しかったけどしょうがないよね。考え方が根本的に違うから
まぁ、今までありがと。感謝してる
最後に会えたらよかったなぁ
嘘ついてごめんね
第四章
みこさんにどこに行くのか聞くと
「かんたのとこ。鑑定士してる人だよ」
詳しく聞くと大体のことは見ればわかるらしい
すごいな…
そうして歩いている駄菓子屋さんのような建物が見えてきた
あの建物に鑑定士さんはいるらしい
建物に着くとみこさんは扉を開けて中へ入っていく
私はあとを追うと背の高い男性がいた
みこさんが挨拶し、みこさんと背の高い男性が何かを話し始めた
少しすると、みこさんが手招きをした
「紹介するね。この子がさっき話してた子」
そう紹介された。私は何も言うことができず固まっていると
鑑定士さんが話し出した
「やあ、初めまして。僕の名前はかんた。鑑定士をしているんだ」
よろしくねと言い、手を差し出してきた
私はぎこちなく握り返すとかんたさんは微笑んでいた
みこさんは、私は少し出かけるねと言い出て行った
みこさんが出ていくとかんたさんが話しかけてきた
「君は記憶喪失なんだっけ?」
私はその通りだと言うとかんたさんは
「それじゃあ、早速鑑定を始めようか」
そう言い、鑑定が始まった
占いする人が使ってそうな水晶玉を出してきて何かを唱えると水晶玉が光出した
思わず目を瞑ってしまった
少しすると、光が落ち着き目を開けるとかんたさんは終わったよと一言
「どうでしたか?」
結果を聞いてみると名前と年齢、家族構成がわかったと言った
私は教えて欲しいと言うと、かんたさんはただ教えるだけではダメだと言い、大事なのは自分から思い出すことだと言った
私は意地悪な人だと思った。しかし教えてくれ無さそうなので仕方なく従うことにした
私は何をすればいいか聞くと覚えてることを書き出せばいいと言われた
しかし、私は何も覚えていない。私はムッとして言った
「だから記憶がないからここにきたんです。書き出すものがないのに何を書けば良いですか?」
私はそこでハッとし謝った
「気にしなくて良い。僕の言い方が悪かったね」
そうかんたさんは言い、詳しく教えてくれた
どうやら何かしら記憶を取り戻すヒントがどこかにある
それは私のわずかに残っている記憶の中にあると教えてくれた
「深呼吸して頭に浮かんできた言葉をそのまま声に出してみて」
私はその言葉に従い深呼吸をし、今までのことを思い出しそうとしたが何も思いつかない
そのことを伝えるとかんたさんは困った顔をしていた
私は何かヒントが欲しいと言うとかんたさんは少し考えて教えてくれた
「日と月が交わる時、かな」
私は考えた思い当たることはないかと思っているとある言葉が頭に浮かんできた
ーおかーさん!あたしの名前の意味ってなあに?ー
ーいきなりどうしたの?学校の宿題?そう。__の名前の意味はね…ー
「『日暮れの光のように美しい子』」
「それが君の名前の由来かな?」
かんたさんが話しかけてきた。私はおそらくと返事をするとその調子だと言った
かんたさんはこの紙に書き出してと紙とペンを渡してきた。私は受け取りさっき言ったことを書き出した。書き終わりその下になんの疑問も持たず『詩口 夕陽』と書いた
私は驚いて固まっているとかんたさんは話しかけてきた
「名前は思い出したようだね」
その時ふと自分の名前が詩口 夕陽であることを認識した
名前を思い出し、安堵しているとかんたさんは次は年齢を思い出して見ようと言った。やり方はさっきと同じだと言われたので私は深呼吸をした
少しすると、どこからか声がした
ーあら夕陽ちゃん今日お誕生日よね?おめでとうー
ーありがとうございますー
ー確か今年で16歳だっけ?ー
ーはい。今年で16歳になりましたー
どこかで聞いた声だった。どこで聞いた?誰の声だ?
そう考えているとかんたさんが声をかけてきた
「思い出したかな?」
私は頷く。そして多分16歳と答えるとかんたさんは紙に書くよう促してきた
私は紙に16歳と書くと、かんたさんは次は家族構成だねと言ってきた
私は再び深呼吸をした
ー_めんね。ごめんねっー
誰かの泣き声がする
ー_た来るね。ー
「おねーちゃん?」
私はそう声に出せばかんたさんが話しかけてきた
「思い出してきた?」
私は頷く。姉がいる気がすると言えばかんたさんはその調子だと言い続けるよう促してきた
少しするとまた声がした
ー_____起きそうですか?ー
ー_____ませんー
また誰かの声がする。寒気がした
怖い。さっきは怖くなかった
なのに今回はすごく怖い。なんで?
分からないっ!分からない!
そう混乱しているとかんたさんが声をかけてきた
「…少し休もうか」
そう言われかんたさんは私をソファに座らせてくれた
少しするとかんたさんが話しかけてきた
「何を見たか教えてくれるかな?もちろん無理そうなら言わなくて大丈夫だ」
私は少し迷って話すことにした
「声が聞こえて…おねーちゃんの時は寒気こなかったけど今回は寒気がして…えーっと…それで…」
どもりながらも話していたそうしているうちに私はおそらくあれはお父さんだろうと思った
「多分…お父さんだと思います…」
私がそう言うとかんたさんは何かお父さんに嫌なことをされたのかもねと言い、紙とペンを持って来るといい立ち上がった
なんだか腕が痛い気がする
そうこうしているうちにかんたさんが紙とペンを持ってきた。私は家族構成を書いた。
おねーちゃん、お父さん…そこまでかいて私は疑問に思った。おかーさんは?
私はかんたさんに聞いた
「お母さんもいるんですよね?」
かんたさんは一瞬、顔を歪ませたがすぐに元に戻り言った
「まだ思い出さなくていい」
私が不思議に思っているとみこさんが戻ってきた
「ただいまー。思い出せた?」
みこさんが私に聞いてきた。私は名前と年齢、家族構成を思い出したことを伝えるとみこさんは名前を聞いてきた
「えっと、詩口 夕陽です」
「夕陽ちゃんね!改めてよろしく」
みこさんがそう手を差し出した。私は握り返し握手するとみこさんは満足そうにし、かんたさんに話しかけた
みこさんとかんたさんが話しているのを眺めていると話終わったのか、みこさんが近寄ってきた
「質屋さんのところ行こうか!」
そう言い、外へ出た。空は綺麗な夕焼けだった
『鑑定士より』
子供の頃から家業を継ぐのは当たり前だと思っていた
だから、みこが家業を継ぎたくないといってきたのは随分驚いた
今思えば随分ひどいことをいったと思う。
それでもみこは仲良くしてくれた。本当に優しい子だと思う
大きくなってからは話すことは減ってしまったけど元気にやっているようで安心したよ
記憶喪失の子を連れてきたのは驚いたけどね
きっと頭の良い君なら気づいてるよね。僕からは何も言わないでおくよ
その子のことは任せたよ
第五章
かんたさんのところを後にし、少し歩いていると森の入り口らしき場所についた
どうやらこの森を越えた先に質屋さんがあるらしい
その人は物知りなので何か知ってるかもと、みこさんが教えてくれた
すると後ろから声がした
「みこちゃん?」
振り返ると女性がいた
みこさんの知り合いなのだろう。笑顔で返事をしていた
「かりゅ!久しぶり」
かりゅと呼ばれた人は近づいてきて久しぶり〜と言いみこさんと話し始めた
少しすれば、かりゅと呼ばれていた人が私に話しかけてきた
「初めましてだな!わたくしの名前はかりゅだ。よろしくな!」
そう言いかりゅさんは手を差し出してきた。私は会釈しながら握手すれば満足そうにしていた
「みこちゃん!質屋さんのとこまで行くんだな?わたくしもついて行って良いか?」
そうかりゅさんがみこさんに問い掛ければみこさんは申し訳ないというがかりゅさんは途中何か出てきたら対抗手段がないでしょ!と言い、その後も何か話し合っていたが結局言いくるめられたのか一緒に行くことになった
森を歩いている途中私は自己紹介をした
「詩口 夕陽です。よろしくお願いします」
「よろしくなー!そんなかしこまらなくて大丈夫だぞ!」
それからしばらく歩いていると開けた場所についた。そこでかりゅさんが
「ここで一回休まないか?」
と言いみこさんも同意したので休むことになった
みこさんは少し近くの小川に行って来ると言い、その場から離れて行った
私が座り込んでいるとかりゅさんが話しかけてきた
「趣味とかあるか?」
私は覚えてないと答えるとかりゅさんは少し考えて、今思い出しちゃお!と言った
その時、上の方から音がした。何かが落ちてきたようだ
かりゅさんと一緒に近づいてみると小鳥がいた
どうやら巣から落ちてきたようだ
私は巣を探しているとかりゅさんは嘆いていた
「どうするか。わたくし木登りできないのにな〜」
そこで私は巣を見つけた。見たところそこまで高いところに無いようだ
そのことをかりゅさんに伝えると、かりゅさんはそれなら戻せるかも!と意気揚々と木を登り始めたが途中で足を滑らせ落ちてきた
私は慌てて近寄るとかりゅさんは笑顔で大丈夫だと言った
しかし、かりゅさんは悔しそうな顔で、やっぱり無理だー!と言っていた
「私がやりましょうか?」
そう聞けばかりゅさんは申し訳なさそうな顔をして言った
「全然大丈夫だぞ?それに危ないし…」
そう言っていたが、私はかりゅさんも怪我しちゃだめと伝えると、かりゅさんは申し訳なさそうにしながら小鳥を渡してきた
私が不安に思いながらも木に足をかけるとスイスイと巣まで行くことができた
驚きつつも小鳥を元に戻し下に降りると、かりゅさんが話しかけてきた
「すごい!すごい!もう特技じゃないか!」
そこでどこからか声がした
ー木登り上手だね。特技なのって良いんじゃない?ー
ーそーお?じゃあ特技ってことにしようかなー
私は本当に特技が木登りだったと伝えた
「思い出せてよかったな!」
かりゅさんは驚きながらも言った
そこでみこさんが戻ってきた
かりゅさんはみこさんのところへ行き話し出した
私は二人が話しているのを眺めていると、かりゅさんの袖のボタンが外れかけていることに気づいた
私はかりゅさんに伝えると、かりゅさんは悲しそうな顔をした
「なんだとー!結構お気に入りだったのに…」
みこさんは裁縫セットを持っているからと言い、縫い始めたが苦戦しているのかうまくいかない
「やっぱり無理なのか…」
かりゅさんは初めは笑顔だったがだんだん悲しそうな顔になっていった
みこさんは無理だー!と嘆くとかりゅさんは泣きそうな顔になった
「私がやります!」
私は慌てて言った。みこさんはお願いー!と言ったが、かりゅさんは不安そうな顔でできるのか?と聞いてきた
私は多分できますと言い縫い始める。思ったよりもでき10分ほどするとボタンを縫うことができた
かりゅさんははじめ、不安そうな顔をしていたがだんだん笑顔になっていた
「すごいぞ!夕陽ちゃんはなんでもできるなー!」
かりゅさんは笑顔褒めてくれた
私は趣味程度だと言うとかりゅさんは思い出したか!?と言った
「縫い付ける直前で思い出しました」
そういえばかりゅさんは笑顔でよかったな!と言ってくれた
みこさんも思い出せてよかったと言った
休憩を終わり再び歩き出すと、かりゅさんとみこさんが今日の晩御飯は何が良いか話していた
「夕陽ちゃんは何が好きなんだ?」
私は思い出そうとするが思い出せず分からないと答えると
「じゃあ今日の晩御飯は夕陽ちゃんの好きなものだな! だから晩御飯までに思い出せよ!」
かりゅさんはそう言った。
みこさんもそれに同意していた
私は何かヒントがないか周りを見渡していると、きのこが生えてることに気づく
するとどこからか声がした
ーそれなーに?ー
ーきのこよ。うちのグラタンはきのこが入っているからねー
ー!今日の晩御飯グラタン?やったー!ー
「好きなの…グラタンだ…」
ポツリと言えばかりゅさんが目を輝かせて聞いてきた
「グラタン好きなのか?わたくしまだ食べたことないぞ!楽しみだ!」
かりゅさんがそう言い、みこさんはグラタン久しぶりだなと言っていた
どうやら今日の晩御飯はグラタンに決定したようだ。正直私も久しぶりなので楽しみだ
そう話していると森の出口が見えてきた
「そろそろだな!」
かりゅさんがそう言えばみこさんが同調していた
出口に着くとみこさんはかりゅさんに晩御飯の裁量を集めて欲しいと頼んでいた
かりゅさんはは残念そうにしながらも笑顔で承知した!と言った
みこさんはかりゅさんに”お使いメモ”と書いた紙を渡していた
私とみこさんはかりゅさんと別れ進んで行った
空は綺麗な夕焼けだった
『みこちゃんの大親友より!』
お腹すいたなぁ。このまま死んじゃうのかなって思ってたら助けてくれたのがみこだった
本当に感謝している
一度家の人間が来たときも庇ってくれて嬉しかった
そうだ!言い忘れてたことがあるんだ
お菓子上手に焼けたんだ
また味見してくれるか?もちろんしてくれるよな!
何かあってもなくても頼ってくれな!わたくしはいつでも大丈夫だぞ!
またな!
第六章
かりゅさんと別れ、少し歩いていると機械仕掛けのような建物が見えた
みこさんによれば、あれが質屋さんらしい
建物のそばに着くと不思議な匂いがした
みこさんと共に中に入ると、中年の男性がいた
「いらっしゃーい!何をお求めだい?」
中年の男性が話しかけてきた
みこさんは記憶のカケラはないかと、問うと男性はあると言った
私は譲って欲しいと言えば男性は
「こっちも商売してるからよぉ。それ相当の金がいるなぁ」
それとも同じぐらい価値のあるもんでもあんのか?と言った
私が黙り込んでるとみこさんが話し出した
「それはどうしても必要なものなんです。どうか譲っていただけませんか?」
男性は、それ相当のものと交換するなら譲ってやっても良いと言った
私はそれ相当のものは何かと聞いた。
「自分で考えろ」
男性にそう言われた
私は考えてみたが全く分からない
あと思い出していないのはなんだろうと考えていると、みこさんが男性と話し出した
少しすると話がついたのか男性が話し出した
「嬢ちゃん、話は聞いた。記憶喪失なんだってなー?大変だなぁ。おっと、言い忘れてたな。わっちのことは質屋とでも呼んでくれや」
「で、記憶のカケラだったか?確かに持ってるが簡単には渡せないんでさ。今からあるもんを持ってきてくれたら譲ってやんよ。それか金でもいいで」
私は金額はいくらかと聞くと、とても高く払えそうにないのであるものを持って来ることにした。そもそもお金を持ってないことに後から気づいた
持ってきて欲しいものは遺骨だった。みこさんと私は反対したが、遺骨を持ってこないなら記憶のカケラは譲らないと言われ渋々受け入れた
内容は、この先にある丘に墓地があるらしい。その墓地のどこかにある少女の墓から少女の遺骨を持ってきて欲しいと言われた
私は少女の名前を聞いたが知らないと答えられた。質屋さんに行けばわかると言われ半強制的に追い出された
みこさんと私は不安に思いながら墓地に向かった
墓地に向かっている途中、みこさんから墓地について話を聞いた
墓地は自分が失ったものや捨てたものが現れ、誘惑して来るらしい。しかし全て偽物だと言われ、誘惑に負けないよう口酸っぱく言われた
墓地に着く少し前、遠くの方に桜の木が見えた
墓地に着くと海外ドラマとかに出てきそうな洋風な墓地だった
「さて…ついたけど、ここからどう探そうかな…」
みこさんは悩んでいた。それから少し相談して、とりあえず墓地を一周することのなった
墓地を改めてみると不気味に思えた
しばらくみて回っているとどこからか声がした
ーお前が死ねばよかったのにー
私は驚いて立ち止まるとみこさんも聞こえたのか気にしなくて良いと言い、手を繋がれ進んで行った
少しすると今度はみこさんが足を止めた。私は声をかけたが反応がない
心配しているとまた歩き始めた。私は何かあったの聞くと何もないと答える
そんなことが何回か繰り返しながら進んでいると他のとは雰囲気が違うお墓があった
私が足を止め、みこさんに声をかけるとみこさんも違和感に気がついたようだ
近づいてよく見てみると文字は掠れており読めそうにない
みこさんと私は少し罪悪感があったが、記憶のカケラのためお墓の地面あたりにある石をずらした
中には空間があり骨壺は見当たらない。中を照らし、見てみると奥の方に箱があった
骨壺かと思い、引き上げて開けてみると、そこには手紙らしきものがたくさん入っていた
「ここから一回でようか」
みこさんがそう言い、手紙らしきものが入った箱を持って立ち上がった
私は持っていくのを反対したが、みこさんは最後戻せば問題ないと言った
私は罪悪感があったが、この箱が何かのヒントになることを願って、墓地から出ることにした
みこさんと私は墓地から見えた桜の木に向かった
桜の木がある場所に着くと、みこさんは座り込んだ。私も座り込むと、みこさんと共に箱の中身を調べ始めた
中身は手紙と言えるものは少なく、ほとんどが手紙と呼べるものではなかった
ーあの子に関わらないほうがいいよー
ー私、見ちゃったんだよね。あの子の腕ー
ーえ〜?本当に?あ!ちょうど本人いんじゃんー
ーわ〜。まじじゃん。きも〜ー
ーなんで__なんか巻いてんの?病んでますアピール?ー
ーえ〜。まじ無理なんですけどー
ーこっちみんなよ。きもいなぁー
呼んでいる途中、紙に書いていた内容が流れてきた
そこで気づいたんだ。これは本当に言われた言葉だってことに
みこさんにバレないように袖をめくった。案の定、腕には包帯が巻いていた
私、いじめられてたなぁ
そう思いながら私はみこさんに伝えることなく、他の紙を見た
ー全部、全部お前のせいだ!ー
ーお前なんか生まれてこなかったらよかったんだ!ー
ーお前が全部悪いんだー
ーお前が全て奪った!ー
ーふざけるな…。ふざけるな!ー
ー日向さんはお前を_______ー
ーなんで日向さんはお前なんかを______ー
ー”死んでしまえ”ー
さっきと同じことがまた起こった。またかと思いながらもだんだん思い出してきた
お父さんに殴られていたことを思い出した
でも、仕方ないことなんだ。私がおかーさんを殺したのも同然だから
悪いのは私だから
そう思って俯い向いているとみこさんが話しかけてきた
「これだけ他のと違うね」
そう言い差し出してk差し出してきたのはただ折りたたんでるだけの紙とは違い、しっかり閉じていた
表には『同じ感性を持った少年へ』と書いていた
送り主のなめは掠れて読めなかった
私は直感的に質屋さんへの手紙ではないかと思った。そのことをみこさんに伝えるとみこさんは確かに…?と言っていた
みこさんと私は紙が入った箱と手紙を持って質屋さんのところへと向かった。
質屋さんのところに戻り、手紙を渡すと驚いた顔をしていた
「お、おいこりゃ手紙だろ?俺が頼んだのは遺骨だぜ…?」
質屋さんがそう言ったが私は直感を信じたと言えば、質屋さんは少し考えてから手紙を読み始めた。
少しすると、読み終えたのか質屋さんが顔をあげた。質屋さんは悲しそうな満足そうな顔をしていた
「わっちはこの手紙の価値が嬢ちゃんの欲しいもん以上にあるように感じたもんでなぁ」
そう言い記憶のカケラを渡してくれた
私はそれをどうすれば良いか分からず困っていると質屋さんが教えてくれた
「食べんのとおんなじ要領でやればいいさ」
私は言われた通りにそれを口に含み飲み込んだ
飲み込んだ瞬間、一気に色んな情報が流れこんできた
ー救急車__!!ー
ー______ー
ー意識ふめ_______ー
そこから私は覚えていない
気づいた時には知らない天井が広がっていた
私が起き上がると、みこさんが近寄ってきて話しかけてきた
「大丈夫?痛いところとかない?」
私は大丈夫だと伝えるとみこさんは安心したようなほっとした顔をしていた
すると質屋さんが近寄ってきた
「嬢ちゃんはキャパオーバーしたんだよ。まあすぐ起きたからよかったけどな!」
「記憶も全部思い出したし、これにて一件落着ってか?」
ガハハハ!と少し独特な笑い方をしていた
私は苦笑いしていると、みこさんが真剣な顔をして話しかけてきた
「決断の時だね」
窓から見えた空は綺麗な夕焼けだった
『質屋さんの後悔』
昔から変人と言われてきた
珍しいものを見せても価値が分からないと言われた
そんなガラクタ捨ててきなさいとまで言われたことがある
ガラクタじゃないのに!この世にガラクタなんてものはないのに!なんで分からないんだ!
そんな中初めてわかってくれたのが彼女だったんだ
わっちからみたら天使のようだった。今まで分かられることなんてなかったから、とても嬉しかった
できることならもう少し話していたかったな
第七章
質屋さんに家に帰るように言われ、みこさんと私は神社へ帰った
帰っている途中に見た空は、綺麗な夕焼けだった
神社につき、応接間に向かった
応接間に着くと、みこさんが話しかけてきた
「真実を…思い出した記憶を教えてくれるかな」
私は伝えるか悩んだが始めに言われたことを思い出した
ーここは現実ではないこと
記憶を取り戻せば帰れること
記憶は必ず思い出せること
そして
”記憶を取り戻して帰るか残るかはあなたが決めることができる。だからあなたが望むならここに残っても良いんだよ”ー
私は話すことにした。ここが現実でないのならきっと安全だから
10歳の時におかーさんが死んだこと
それからお父さんに恨まれ虐待じみた事をされていたこと
姉には距離を置かれていたこと
引っ越したが行った先で馴染むことができず、いじめられたこと
ここに来る前の最後の記憶は車に轢かれる直前なこと
墓地で見つけた箱の中に入っていた紙に書かれていたことは実際に言われた言葉なこと
話し終えるとみこさんに今まで頑張ったねと言われた
そう言われ何かが込み上げてきた
抑えようとしたがみこさんが寄り添って抱きしめてくれた
私はついに抑えきれなくなり、涙がこぼれ落ちた。一度こぼれ落ちると涙は止まることを知らず流れ続けた
みこさんは何も言わず、ただ抱きしめてくれた
少しすると涙は止まった。私はみこさんに謝ると、みこさんは謝る必要はないと言った
みこさんは言わなければいけない事があると言った
みこさんは初めに言った事を覚えてるか聞いえてきた
私は覚えてると言うと、みこさんは音信したような顔をしていた
そしてこの世界について話し出した
「ここはね、夕陽ちゃんの夢の世界なの。…驚いた?」
私は頷くとみこさんは現実の世界の状況について教えてくれた
事故に遭い、今は病院にいること
昏睡状態であること
昏睡状態から抜け出すには、この世界から出なければならないこと
一度抜け出したらここには二度と来れないこと
私は嫌だと思った。ここは嘲笑われることもなければ、殴られることもない
こんな幸せな場所から抜け出すなんて嫌だと言えばみこさんは困ったように笑い、言った
「でもあなたのお父さんは昏睡状態のあなたを生かすと思う?」
私が首を横に振るとみこさんはそれでも帰らない?と言った
私は死んだらどうなるかと聞くと、みこさんは夕陽ちゃんも含めてみんないなくなると答えた
私がこの世界から抜け出せばみんなか生きていくのか聞けば、みこさんはみんな生き残ると答えた
そしてみこさんは続けて言った
「みんな生き残る。あなたの心の中にみんないる。わたしたちはいつでもあなたのことを応援している」
辛いし、死にたいと思うこともきっとある。その時は逃げて良いのだとそして私たちのことを思いだして欲しい。味方はいると言うことを覚えていてほしいと言った
私は帰りたくなかった。できることならずっとここに居たかった
だけど、このままみんないなくなるのは嫌だし、何よりお父さんに間接的に殺されるのは癪だった
だから帰ることにした。私はそのことをみこさんに伝えると、みこさんは抱きしめてくれた
応援されてるように感じた。私は抱き返したお互いに抱きしめあった
少しすると、みこさんは帰る方法を話し出した
この神社の奥に御神木がある。その御神木に向かって祈れば帰れると言った
みこさんと私は早速、御神木のある場所に向かった
御神木のある場所に着くと大きな木があった
これが御神木らしい。この木に向かって帰りたい思いながらを祈れば帰れる
私は最後にみこさんにお礼を言って祈り始めた
祈り始めてから少しすると、私の周りが光出した
最後に見た空は綺麗な夕焼けだった
『少女からの手紙』
ーーくんへ
初めて質屋さんと出会ったのは小川だったね
変な形をしている石を探していた時だった
わちき驚いたんだ!まさか同じ感性を持っている人と出会えると思ってなくてね
いろんなことを話したね。楽しかったよ
一生忘れないし、絶対忘れない!!
わちきはいなくなっちゃうけど悲しまないで!また会えるから
また会って、いろんなことを話そう!約束!
それまで何を話すか決めといてね
楽しかったよ!今までありがと
ーーより
第九章
目が覚める
周りを見渡してみるとあたり一面草原だった。境目が見えなくとても広い場所だ
私はあたりを探索することにした
空は綺麗な星空が広がっていた
少し歩いていくと大きな木が見えてきた
近づいてみると御神木なことに気づく
すると、背後から音がした
私は振り返ると、どこかで見たことある女性がいた
「ごめんね」
女性が話し出す。どこかで聞いたことあるような、安心するような声だった
「お父さんには口酸っぱく言っとくね。お姉ちゃんはきっとあなたの味方をしてくれるから」
女性はそう言い、微笑んでいた
「それだけ伝えたかった。元気でね」
あの女性がおかーさんだと気づいた時には誰もいなかった
それと同時に視界は暗転した
暗転する前に見えた空は綺麗な星空が見え、遠くの方には朝焼けが見えた
『無差別殺人事件』
きゃー!!
どこからか悲鳴が聞こえた
嫌な予感がし、その場から離れることにした
夕陽を連れて駅の出口に向かっていると逃げろー!と男性の声が聞こえた。振り返ってみるとナイフを持った人がこちらに向かってきていた
私は避けれないと思い、夕陽に逃げるように言った
夕陽は嫌がっていたが早く!と少し強めに言えば夕陽は走ってどこかに行った
安心していると何かが当たったお腹あたりが温かい
意識がだんだん保てなくなり、ついに暗転した
そこから記憶はない
第十章
目が覚める
周りを見渡してみると病室のようだった
私は、帰ってきたと思った。それと同時に、これから一生みこさんたちには会えないと思うと悲しかった
だがこれは自分が、私が選んだ道だと言い聞かせていると音がした
音の発生源の方に目を向ければおねーちゃんがいた
おねーちゃんが近づき覗き込んだ。その時、目があった
おねーちゃんは驚いたような、嬉しそうな顔をしていた
私が気まずく思っているとおねーちゃんが涙声ながら話しかけてきた
「おはようっ…おはようっ…!」
ごめんね、と言い本格的に泣き始めてしまった
私が困っているとまた扉の方から音がした
見てみると白衣を着た人と看護師がいた。どうやら医者がきたらしい
医者と看護師が診断を始めた
特に異常はなかったようで安心していると医者が話し出した
「いやぁ意識が戻ってよかった。あぁ、すまない。君の状況説明をするね」
そう言い医者は説明を始めた
交通事故交通事故に遭い意識不明の重体だった。なんとか生きることはできたものの、昏睡状態になってしまった
今日は__日だから…事故に遭ってから2週間経ってるね!まぁ目が覚めてよかった!
私は結構重症だったんだなと思いながら話を聞いていた
すると医者は急に真剣な顔をして聞いてきた
「君の腕とか見るとね、痣があったんだ。単刀直入に聞こう」
君は虐待を受けてるかな?
そう聞かれた。まさか聞かれると思わず、一瞬フリーズしたが、タダで帰るわけにいかないと思い頷いた
医者は児童相談所にはすでに通報済みと聞いほっとした
その後、退院について聞いた。様子を見て決めるそうだ
医者と看護師が出ていくと、そばで聞いていたおねーちゃんがこれからのことを教えてくれた
「退院した後は、まだ確定してないけどもしかしたら児童養護施設とかにいくことになるかも…。まぁ…決めるのは夕陽だから…じっくり考えたらいいよ」
おねーちゃんはそれを言うと黙ってしまった。
沈黙が続く中、私はお父さんの元に帰りたくないなと思っているとおねーちゃんが喋り出した
「今までその…無視とかしてごめんね。許されると思ってないけど…」
私は夕陽の味方だからいつでも頼ってね
そう言い微笑んでいた
私が小さく頷くと満足したのか、今日は帰るねといい部屋を出て行った
窓から空を見ると、空は綺麗な朝焼けだった
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朝焼けに向かって 雪山 玉子 @yukidama_00
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