第1話 陰謀

 何故か、原因も分からずに『死者数よりもが多い』町、村が存在する。


 昔の人は皆、口々に「神隠しだ」とか「韜晦とうかいだ」とか言っている。そんな訳がない。バカな連中だ。やれ物の怪だ、妖怪だと、理解し難い現実からの逃避と原因を追究することを諦める惰性で、多くの女子供たちが現に消えているというのに・・・・・・


 私は、村の連中がその閉鎖社会を良いことに、隠れて時代錯誤な「生け贄」の儀式をやっているんじゃないか・・・もしくは程よい人を攫い、外国へ売っているような輩もいると聞く。

 「」と言って、ハイカラな文化を根付かせてそれがオシャレで最新だと国民を洗脳し、女奴隷の商いの正当化をする今の国の政治のやり方すらある。そこに託けて人身売買を行う非国民が介入しているとも聞いた。どいつもこいつも許せない。


 女だけでなく労働力、戦闘員として、奴隷の様に男児を誘拐し死ぬまで働かせる者共も居るんだ。「舵子」「借子」と言ってな・・・・・・


 税金とはまた名を変えた「年貢」を厳しくし、国民を困窮させて身売りや自戒を余儀なくさせ、一部の金持ちがより裕福に成る為だけの制度なんて・・・間違っている。


 「廃刀令」という表向きの名だけが恰好を付けた、要は「刀狩り」により多くの武士、侍たちが立場を失い無力化をさせられ、路頭に迷わせてまた外交という名ばかりの「徴兵」として、強く勇ましい日本の武士たちは御国の為ではなく海外の前戦へと駆り出されて、無念にも死んでいく・・・・・・

 そうして、今の日本は「民族浄化」システムが着々と進められているのではないか。


 勿論、豊臣秀吉が行った「刀狩り」によって、武家と農民、商人、平民とのカーストを生み「切捨て御免」と言いながら、傍若無人な似非えせ侍も多く居ただろう。そう言った「差別」を失くそうという大層に表向きな大義は間違っていない。が、その裏の顔がまるで陽に当たり落ちたより一層な漆黒の影のように、邪悪で最悪ではないか。


 私には、そういった国という規模を転覆させるような力はなく無力でしかない。しかし、絶対にこの非人道的な村の者どもの足取りだけでも着き止めようと、私たちはある村に潜入していた。


 この村は山の奥にある元々は小さな集落だったが、ここ数年で住む者がどこからともなく増えてきて、周辺の集落を吸収しながら大きく拡大してきたらしい。


 ここの調査をしようと思い立ったきっかけだが、『二つ』ある。

 一つは親身にしていた友人がその吸収されていったこの地の出身で、友人本人は上京してきたが両親はそこで住み続けていた。

 だが突然、連絡が取れなくなったそうだ。


 もう一つは、私の知人・・・はっきり言おう、私の婚約者がここで消えたのだ。そして、婚約者である私の彼女とは、その友人の妹でもある。


 私たちは二人で、その友人の家族の行方を辿る為に、私の婚約者を救うために、数少ない友人の親族などと連絡を取り合い、この村への潜入に成功した。

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