凶星至る
帝都で一つの宣託があった。
近々帝国を揺るがす禍津星が北天より至り落ちる。
心せよ。
そういう宣託だった。
それがどれほどの意味があるのかないのか、多くのものが測りかねていた。
だが、北天つまり公転面直交方向から飛来する彗星には異常なものが多いというのは統計的な事実だったから、北方の帝国貴族はそれなりに北天の天文観測には気を使っていたし、そのために北斗十五天朝などという言い回しもあるくらいには北極星に関する言葉もたくさんあった。
そういう風にいくらか大仰ながら、近年の天文観測と北狄征伐はいささか熱心すぎるほどにおこなわれていた。
それが例えば、巨大な火山の爆発のようなものを引き起こすのか、或いは疫病のようなものなのか想像もできなかったが、なにもしないわけにもゆかなかった。
それが封建貴族というものだったし、それが人類文明の安寧を支える帝国貴族の誇りでもあったからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます