魔械ノ戦

てとゴジ

第一話 対面

「魔械紀286年2月1日」タガソレによる陽ノ昇への宣戦布告を皮切りに全面戦争が開幕、戦いは留まることを知らず

同年5月27日23時49分…陽ノ昇の海上防衛施設の一つ「海神ノ檻(ワダツミノオリ)」をタガソレが奇襲し陥落。

陽ノ昇は制海権を失うと同意義の損害を受けた、後にこの戦いを「海神ノ壊(ワダツミノホロビ)」と呼ばれる。

時は流れ同年7月1日第四期、陽ノ昇訓練兵の訓練期間が終了し新兵として戦場に出る者たちがいたその中の一人

朝霧 連は魔械のパイロット部隊の一つ

「第七海上攻撃部隊」に選ばれ格納庫に向かっていた…


「早く来い、新兵」

整備長の冷たい声が静かな廊下に響く

「はっ!はい!」

兵士である朝霧にとって整備長は自身の機体を預ける人、言うなれば命を預ける人だ。その人について来いと言われれば新兵である朝霧は何も言わずについていくしか無い。

「あの!」

朝霧がまだなのかと言おうと口を開けるが

「ここだ」

それを遮る様に整備長は言う、ならばと質問を変える

「あの、俺の機体って何なんですか?」

その質問に対してはぁ~っとため息をつく、朝霧が謝る間もなく続けて

「お前は海上部隊に行くんだからそれ用の機体に決まってるだろ」

整備長の言葉に声を詰まらせる、よくよく考えれば分かることだからだ、だが陽ノ昇に海上用の魔械(マカイ)は無い。そんな考えを繰り返す、そんな中、整備長は一つの機体を指差すその方を見るしかし朝霧にはその機体が新造された機体としか分からなかった

「あの機体がどうしたんですか?」

そう質問すると整備長は淡々と答える

「お前はあの刃タイプ量産型海上機の「刃癸(ジンキ)」のパイロットになったんだよ」

その言葉に朝霧は目を輝かせる、朝霧にとって初めての機体である、それはワンオフ機でも量産機でも変わらない。

刃タイプの魔械は斬撃に特化したシリーズであり朝霧の戦闘スタイルに頗る合う機体だ。

パイロットになった、その一言に朝霧は感謝する

「ありがとうございます!」

整備長は少し困った顔をしながら答える

「パイロットになったのはお前の努力だ、俺は何もしてないぞ?」

朝霧はそんな事は知らないとばかりに頭を下げている

「とりあえず頭上げろって!」

「あっ!すッすみません!」

慌てて頭を上げ整備長の顔を見る

「まぁ感謝するその姿勢は褒めてやる、がこれからが大変なんだ死ぬんじゃねぇぞ」

と言うと整備長は後ろを向いて格納庫の奥に消えて行った

「これが…これが俺の機体なんだ!」

機体に見入っていると放送が鳴る

放送「朝霧三等兵、朝霧三等兵は至急第六兵舎に繰り返す朝霧三等兵は至急第六兵舎に」

「第六兵舎か…急がないと!」

朝霧は駆け足で格納庫を後にする

そのまま第六兵舎まで走り兵舎が見えてくると入口に

一人の兵が立っている

「遅いぞ!新兵!!」

女性の声が聞こえる

「すっすみません!朝霧三等兵到着しました!」

少し焦り気味に報告をすると

???「貴様が朝霧か…私は第七海上攻撃部隊の隊長の荻原 祐希少佐だ(オギハラ ユキ)」

自己紹介をされて朝霧は驚く

「たっ隊長!?」

目の前には隊長と言う肩書きが似ても似つかない華奢な女性だ

「なんだその顔は?私が隊長で不安かね?」

その言葉に朝霧はたじろぐ

「いっ!いえ!決してそのようなことでは!」

強く否定する、すると荻原の返答に朝霧は度肝を抜かれる

「まぁいいさこの部隊は私とお前以外に誰もいないからな嫌でも私が隊長だ」

「え?」

それ以外は声がでなかった、今私とお前以外にいないと言ったのか?そんな考えが頭によぎる、思考が完結する間もなく荻原は続けて喋る

「朝霧三等兵だったか?明日には我々の初任務だ、まぁ初任務と言ってもただの模擬戦だがな、とりあえずはこの第六兵舎が我々の宿だ、部屋は自由にしろ私は寝ている」

朝霧には半分しか聞き取れなかったが思考が落ち着くきっかけになった

「しっ少佐!明日に模擬戦ですか!?」

朝霧の問に荻原は渋々答える

「そうだ、ま、私もめんどくさいんだが」

そう言い残し荻原は宿に入る

朝霧は明日には刃癸に乗り戦う事にプレッシャーを感じる、失敗したら、足を引っ張ったら、一方的に負けたらとマイナスな考えが頭を埋め尽くす、そんな朝霧が出した答えは

「今のうちに訓練場で少しでも動かして十分な練度を持つ!」

と言う簡単だが新兵とって難しい行動だった 

To Be Continued→

以下は登場した専門用語及び勢力解説

(どの回もやります)

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

勢力図

陽ノ昇←全面戦争→タガソレ

他の国達は静観


魔械(マカイ)

魔力を吸収放出する宝石がコア→頭部にある(コックピットは腹)→壊れると機能停止

陽ノ昇にてプロトタイプが作られ救助等に使われていた→兵器転用→タガソレに流出→タガソレが宣戦布告、性能的には陽ノ昇 量はタガソレが多い


魔械石(マカイセキ)

タガソレが発見した宝石 紅い物と白い物がある(白はコピー品安い代わりにあまり吸収しないため魔械に適さないが、家電等に使われる)


刃タイプ魔械(ジンタイプマカイ)

陽ノ昇初の魔械「刃甲(ジンコウ)」及び刃のなを冠する機体を指す全10種類存在しておりその中の一つ「刃癸(ジンキ)」は刃シリーズ初の海上及び海中専用機体である(他の刃タイプも調整すれば海上戦はできる)


刃癸(ジンキ)

陽ノ昇初の海上及び海中専用機

全体的な性能は他の刃タイプに及ばないが

海中及び海上では同じ癸の名を冠する機体以外に無類の強さを誇る、その戦いぶりはタガソレの指揮官に

「この魔械があれば海神ノ壊は無かった」と言わしめる機体、海上ではホバークラフトの様な動きをするため魔力がゴリゴリ削れる。

海中ではカジキのように高速で動く

武装には甲刀よりも刃渡りを短くしたナイフ

「癸丁(キチョウ)」

壱捌式を量産用に改良した、中距離牽制用

「壱弐式ピストル」

脚部にある、海中から敵を攻撃する

「零壱式二連装魚雷」

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