恩讐

一閃

第1話

・沈丁花匂う世間は鬼ばかり

・朧月笑わば笑えすすり泣き

・人生が吾に似たり一葉忌

・留守電の返済催促日雷

・夜半の春絵空事を口ずさむ

・アドレス帳名前並べどひとり除夜

・いつか見た夢とか愛すら遠花火

・聖夜とて吾を温めし慈悲はなく

・月白に糧を欲っして鴉と泣く

・行く春に誰も救わぬ地獄見る

・夢という風船追って朽ちる靴

券売場けんばいじょその日暮らしに舞うアゲハ

を探すムダだムダだと鳴く梟

・何も持たず飛ぶしかないかあほうどり

・何度でも起き上がり小法師春を待つ

・空風に届かぬ言葉二つ三つ

・灯も冴ゆる祈りにも似た「朝は来る」

・欲ありて信心浅くも初詣

・自死すらもめんどくさくて太宰忌迎う

・神、仏賽銭盗む理由わけ知るか

・嘘つきは泥棒の始まりと言う嘘

・修羅場さえ誰かと居ると言う事実

・「自己肯定」無責任な「自己満足」

・失くすもの守るものなく天涯に

・泣かぬよう振り向きもせず恩知らず

・知らぬから優しくもできる他人様

・彷徨の道を照らせ心の月

・生きる理由わけ野望のごとき一陽来復

木偶でぐ坊傀儡師くぐつし見つけて舌を打つ

・がむしゃらに知らぬが仏生きる意味

・生まれ堕ち借銭となりはてる

・祈り虫祈るふりして鎌ふるう

・世を嫌い捨てる前に捨てられる

・百舌鳥来たり明日は我が身の早贄か

・最果てに吾は行けるか赤トンボ

・科戸の風蒼天仰ぐ吾に吹け

現身うつしみとて復讐の果て夜叉と化す

・平等と自由を説く者不を知らず

・弔いの行旅死亡人に舞う銀花

・泣きはらし生得ゆえと諦める

・夢破れて月冴える

・小夜すがらここに居るぞと咆哮する

・眠れぬ夜吾は孤月と語るだけ

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恩讐 一閃 @tdngai1

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