第6話 魔法学園の受験①

俺は今、王立魔法学園の門の前にいる。

周りは受験生で混雑していて進みにくい。


これが…学園!

これからの生活を考えるとワクワクしてくるな。


「受験者はこちらでーす!」


声のした場所に行った

そこには運動場並みに広い部屋と机が置かれていた。

机の上には紙があり、それには受験番号と名前が書かれていた。

俺は自分の名前を探した。


『受験番号1番 メリディア』

『受験番号2番 エメリス』

『受験番号3番 リリアーナ・フォン・クローディア』

      ︙

『受験番号220番 トリス』

『受験番号221番 アル・フォン・ジェトラル』


「ここか」


部屋の真ん中の席だった。

受験番号221番で真ん中の席なら、最後の席は受験番号450番くらいじゃないか。

受験で合格する人は200人。

受験者は450人なので、半分以上が落ちることになる。

まあ、俺は猛勉強したので余裕で受かると思う…たぶん(フラグ)


そんなことを考えているとき、誰かが隣の机に座り話しかけてきた。


「やあ。僕はランドリック・リトナード。王位継承権二位だ」


王位継承権を持っていて貴族の『フォンが』ないってことは、こいつ王族か!


「こんにちは。俺はジェトラル男爵家三男のアル・フォン・ジェトラルです」

「うん。受かるといいね」

「はい。勉強してきたので自信があります」

「それは僕も同じさ」


気さくな人だなぁ。こういう人が王になると国も安泰だと思う。


「静かに。これより試験を始めます」


始まるみたいだ。


「これから問題を配ります。合図があるまで問題を開かないでください。もし合図の前に開いた場合、零点とさせていただきますのであしからず」


そう言って、前から順に問題を配っていった。

最初の教科は…歴史学だった。

どうやら問題用紙と回答用紙は統合されているようだ。


先ほど言った通り、テストの点数には自信がある。

フェルノから直接学んだので、高得点は確実!

ああ見えてフェルノは、かなり頭が良いのだ。

このことにより、俺は性格と頭の良さは別物だと知った。


「では、始め!」


一斉に問題を開く音とペンを動かす音が聞こえた。

問題を開いた俺は、これも習った、これは簡単だな、とスラスラ問題を解いた。


俺が問題を全て解き終わった後も、まだペンの音は続いていた。

時間も余っているので、見直しをしようかな。




「そこまで!問題を閉じて、ペンを置いてください」


あっ!俺まだ見直ししてない!

俺、及びまだ解き終わっていない人は渋々とペンを置いた。

そして試験官が問題を回収した。


見直しできなかったとはいえ、不合格はないはず。

問題の引っ掛けとかを深く考えたのだ。一応。

だからケアレスミスはない!そのはず。


…自信がなくなってきた。

といっても、不合格にはならない。これは絶対の自信がある。


過ぎたことを深く考えすぎても仕方ないので、宿に泊まって合格発表の日まで待つことにした。



     *   *



遂に来た合格発表の日、俺は門の前でまだかまだかと発表を待ちわびていた。

まだ朝が早いにも関わらず、周りは混雑している。

やはり皆緊張しているな…。俺もそうなんだから。


「指定時刻になりましたので、学力においての合格者の発表をさせていただきます」


…ゴクリ…


誰もが喉を鳴らした…のではなく、俺だけが喉を鳴らした。


あれ?『学力において●●●●●●』、と言われたのだが。

これで受験は終わりではなかったようだ。


考えれば当然か。

”魔法学園”というくらいだから、魔法ができないと入学できないだろう。


つまり、

――戦闘力があれば学力がなくても合格する――

という考えが強いのだ。


そして紙が張り出された。


学力合格者一覧表

1番〜220番


 1番

 4番

 6番

 9番

 12番

  ︙

 187番

 194番

 200番

 208番

 214番

 220番



そこで一行目は終わっていた。

もし俺が合格しているなら、二行目にあるはずだ。

俺はゆっくりと二行目の一番上に目を向けた。


「――あった」


学力合格者一覧

221番〜450番


 221番

 222番

 225番

  ︙



「やあ、また会ったね」

「え?あ、お久しぶりです」


前回話しかけてきた王族も合格していたらしい。


「合格しましたか?」

「ああ、僕は合格だ。君はどう?」

「俺も合格です」

「すごいな!この試験では落ちる人の方が多いんだ」

「そうなんですか?それほど難しくはなかったようですけど」

「それ僕に喧嘩売ってる?」

「いえとんでもない」


正直合格できないほどではなかった。

他の人にとっては難しかったようだ。


「この試験で合格した者は、実技で不合格でも、入学が許可されることもある。君の魔力は少なそうだから、よかったな」


そうしてひとまず学力においては●●●●●●●合格となった。

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