第2章 学園編
第5話 魔法学園へ向かう
今、俺は魔法学園に向かって進んでいる。
魔法学園は領地からはそう遠くないようで、馬車で5日で到着するらしい。
俺恵まれたなぁ。
「アル様なら試験は楽勝ですね!」
「そこまで俺は学力が良いわけじゃないよ?」
フェルノはいつも俺を過大評価してくる。
試験が楽勝な訳ないだろ…難しいから試験なんだよ…。
「実技試験は自信あるよ」
「魔法はどうされますか?」
「そうだね…。攻撃魔法は再現できないけど防御魔法みたいなものなら似ているようなことができると思うから、それで点数を稼ぐよ」
魔法を消すくらい、俺の権能なら簡単さ。
防御ではなく、無効化。これぞ究極の回答!
「そういえばアル様は剣を扱えたのですよね?ならば魔法剣などは如何でしょう」
「それありだよ!なるほど魔法剣か。それなら俺の権能で再現できるし…ブツブツ」
「何かおっしゃいましたか?」
「なんでもない」
そんな会話をしているとき。
「誰か助けてくれ!」
誰かの声!?
「この声は!?もしかしたら俺に何かできるかも。行こう!」
「はい!」
* *
【Side 助けを呼んだ人】
「こいつ、なんて強さだ!」
俺は今オーガと戦っていた。
剣を振り下ろす。
しかしそれはオーガが一歩後ろに下がることで避けられてしまう。
そのままオーガは俺の方に突っ込んでくる。
「GAAAAAAAA!」
なんとか俺は避けることに成功するも、体勢が崩れてしまった。
オーガは持っていた剣を俺に振り下ろそうとした。
まずい――
「大丈夫ですか?」
――キィィン!
周りに金属音が響いた。
「お前は…?」
顔を上げると銀色の髪をした少年がオーガの剣を受け止めていた。
自分の剣を小さい人間が受け止めたことに、オーガは驚いたようだった。
「GA!?」
そのまま少年はオーガを剣で吹き飛ばした。
オーガは木にぶつかり、そして動かなくなった。
「…お前が倒したのか…?すまねえ、礼を言うぜ。名前は何だ?」
「アル・フォン・ジェトラルです。」
貴族にお前とか言ってしまった!
「ええ!?ジェトラル家の御子息でしたか!申し訳ございません!無礼をお許しください!」
ここは全力で謝る!無礼罪なんかで俺の人生終了はさすがに嫌だ。
「いえ、全然大丈夫です。それより怪我はありませんか?」
貴族なのに平民である俺の心配だと…?親の育て方が良かったかもな。
無礼だ!とか言われなくて助かったぜ…。
「ああ、特になんともない。俺はあまり貴族の礼儀を知らないから助かるぜ。俺はノストだ。今はクローバー家の御令嬢の護衛だが普段は冒険者をやっている。それにしてもお前すげえなあ。オーガはBランクの魔物なんだぜ?俺はCランクだってのによ」
俺は万年Cランクである。最近はBランクに近づいたかなと思っていたのだが、オーガに苦戦していたとなるとBランクには上がれそうにない。
チクショウ!早く出世して周りからチヤホヤされたいのに!
「そのランクってどのくらいなんですか?」
「最高がSで、最低がFだ。Cランク以上で熟練した冒険者と言われるようになる。ほとんどはDランクかCランクだが、中にはBランクのやつもいる。まあ、これは少なくはないがな。Aランクにいくやつは中々いない。」
そう、DランクかCランクが多い。俺もその有象無象のうちの一人なのだ…。
「その上のSランクは?」
「Sランクはバケモンだ。本当にやべえやつしかいない。中にはドラゴンを一人で倒すやつもいるんだから、強さはまさにバケモン並みだ。」
何かしなければならないことを忘れているような…あっ!
「忘れてた、御令嬢に周りの安全を報告しないと!お前のことも言っておくから次に会ったらお礼をもらえるかもだぜ。じゃあな!」
そう言ってすぐさま俺は馬車に乗っている御令嬢に報告をした。
御令嬢は何か考え始めたようだ。
あいつ苦労するかもな――そんなことを思いながら、俺は護衛の勤めを続けるのだった。
* *
既に俺は馬車に戻り、目的地へ出発していた。
「俺はオーガを倒せるくらいの力を持っているのか?」
「もちろんです!しかしあんなに早くオーガを倒せるとは思いませんでした!」
「でも偶然かもしれないぞ?」
「偶然だとしても、オーガを吹き飛ばしたのですから力は本物ですよ!」
吹き飛ばしたんだから力はオーガを超えていることは確かだとわかった。
自分の力を過信するのはあまり良いことではないが…フェルノの言っていることも一理あるな。
「そうだね。俺はオーガを超える力を持っていることは確かだと思う」
「アル様のパンチの力は、1万を超えています。オーガはせいぜい400~500かそこらなので、力比べはアル様の圧勝です!」
オーガの見た目はまさに筋肉マッチョだった。
俺はだいたい平均的な体格なので、どう考えても力比べでは負けると思ったのだが…結果は逆であった。
やはりこの世界、ちょーっとおかしいな。うん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます